18 防衛戦
随分間が空いてしまいました……すません。
年末年始忙しかったのに加えて、他にも色々あって忘れてた+スランプ気味になっちゃった部分が……いえ、言い訳ですね、何でもないです。
ともあれ、更新します。どうぞ。
殴る。ひっかく。殴る。ひっかく。殴る。ひっかく。
ひたすら殴ってひっかいて、目の前に迫ってくるゴブリンやコボルドを倒していく。それだけを……自分に与えられた役割だけをこなしていく。
一回、後ろの方から、聞き覚えのある男の声――真田ではないが――で、『ぐあぁああっ!』って悲鳴が聞こえてきたんだが、非常に気にはなったし心配もしたものの、あえて振り向くのを我慢して、目の前の相手と戦い続けた。
幸い、その悲鳴は一度っきりでそれ以降聞こえては来なかった。
おそらく、バリケードを超えてきたやつに誰かが襲われて、しかしすぐに敵は仕留められた。ケガ人も、回復班の人が治療したんだろう。
悲鳴どころか戸惑いの声も、後にも先にも聞こえては来なかった。作戦は十分にうまく機能している。
元々、無傷で終えられる戦いとは思っていない。そんなに甘くはないだろう。
ただ、どれだけ過程で苦労したとしても、死人が出なければ十分、俺達の勝利だ。
それだけ見据えて、殴ってひっかいて、を続けていたら……何百回それを繰り返したかわからないくらいになったところで、ふっと、その集団が補充されずに途切れた。
追加でポップして来る様子も、ない。
これはひょっとして、と、俺と麻里奈が顔を合わせて、歓喜の笑みを浮かべそうになったその瞬間、
―――STAGE CLEAR!(1/5)
視界の端に、そんな表示が出て……残念ながら、笑みは直前で、微妙な苦笑に変わってしまった。
……あーはいはい、クリアはクリアでも、『ステージ』クリアね……五分の一ね。
☆☆☆
―――後方。最終防衛ライン。
「……また、おかしな表示が出たな……小林係長、これは何だと思う?」
「単純にというか、見た感じそのまま取れば……5つある『ステージ』のうちの1つが今、終わったというところでしょうね。この戦いは全部で5回戦あって、それら全てを今みたいに乗り切れば、本当の意味でクリア、ということになるんだと思います」
総務課長・成田は、『なるほどな』と納得したような表情になった。
今回、自分達がいる防衛ラインのはるか前の方で戦いは全て終わってしまっているため、彼らに今のところ出番はなかった。
ゆえに、物資も体力もまだ万全のままだ。心理的には……さすがに緊張や不安もあって、多少は消耗していなくもない、というのが正直なところだが。
「すると、一緒に表示されているこのカウントは……」
「次の『ステージ』が始まるまでの、猶予というか、準備時間でしょうね」
『STAGE CLEAR』の表示と同時に現れた、『00:10:00』のカウント。
徐々に減り始めているその『10分間』の間に、武器の修繕や傷の治療、水分補給などを済ませ、次の戦いの準備をしておけ、ということなのだろう。
「誰が考えたルールなのかはわからんが……つくづくゲーム扱いしてくれるな。まあいい、都合がいいのは事実だ。全員、準備を済ませておけ! また10分後には戦いが始まるぞ!」
「補足するなら、ゲームってもののセオリー的に言って、次出てくる敵は今回の敵より多分強いのが来る! 次はより奥側のラインまでくるかもしれない! 何が来ても大丈夫なように準備しておけ! トイレ行っても構わないが、3分前には戻ってきて持ち場で待機! 以上!」
☆☆☆
10分の準備タイムはあっという間に過ぎ去った。
俺と麻里奈は、幸いトイレとかは先に行ってあって大丈夫だったので、簡単にストレッチと水分補給をして、後は座って体を休めながらその時を待った。
そして、10秒前になったところで立ち上がり、その時を迎えると……カウントゼロと同時に、さっきと同じように、空間から大量の魔物が湧き出してきた。
しかしその姿は……ある意味予想通りではあるが、さっきの連中とは違うのがあちこちにいた。
ゴブリンやコボルドに混じって、動物型のモンスター……犬や蛇、狼が混じっている。
攻撃力そのものは、ゴブリンやコボルドと変わらないかむしろ低い程度だし、耐久力はもっと低いからすぐに倒せる。
ただ、すばしっこい上に姿勢が低いから攻撃を当てづらい。狙って殴るのが難しい。
今回も『呪いの鈴』のおかげで、大半は向こうから襲ってきてくれる。食らいついてきたところをさっと引っ掻けばそれだけで倒せる。今言ったとおり、こいつらは耐久力はだいたいゴブリン以下だからな。
なんだったらちょっと腕を動かした程度の動きが、肘とかを使った攻撃判定になったらしく、攻撃したつもりもない所にいた狼が消し飛んだ。……この分だと、噛みつかせながらラジオ体操でもしてればかってに全滅しそうだ。
ただしそれは、全部が全部俺に噛みついてきてくれればの話で……さっきのゴブリン達よりも多い数が、俺と麻里奈を無視して後ろに抜けていく。
すばしっこい上に体が小さいあいつらが相手だと、弓矢による狙撃も難しいようで、半分以上がさらに奥のバリケードも突破してしまっていた。
そして、真田達が守る次のバリケードを、ゴブリンよりも素早い動きで最初の狼が突っ込んで突破し……
―――ドォン!!
発砲音にしか聞こえない、結構な轟音が響いたと同時に、その1匹だけでなく……その後ろとか近くにいた奴まで含めて、全員吹き飛んだ。
「すばしっこい奴にはショットガンだなやっぱ」
「ホラーゲームでも犬系の敵とかにはこれが一番手っ取り早いもんな。ハンドガンは当てるの難しいけど、面攻撃だと楽でいい」
犬や狼系の相手が突っ込んできたら、ゴブリンみたいな『亜人型』の敵を相手にするよりも苦労するだろう。
噛みつかれてそのまま何もできずに集団に襲われて……なんてことにもなりかねない。
だからこそ、そういうのが来たら迷わず散弾銃を使うと事前に決めていた。
弾薬は消費することになるが、そのつもりで大量に回収してきたんだ。いくらでもとは言わないが、じゃんじゃん撃ってくれ。節約してて死人が出たとか笑えないからな。
あと、せっかくの範囲攻撃だから、1発で2~3匹くらい吹っ飛ばしてくれるとコスパ的にも嬉しいかもしれない。……言ってること滅茶苦茶でごめんな。できればでいいから。
しばらく戦っていると……出て来たよ、動物系の中でも特に強い奴らが。
虎が2匹に、熊が1匹。
こいつらは狼達と違って、攻撃力も耐久力もゴブリンなんかとは比べ物にならないレベルだ。噛みつかれたり引っ掻かれたりしたら、ダメージもおそらくはけた違いだろう。
ただし、どちらもボスクラスではないようだが……それでも、ゴブリン達でいう『ホブゴブリン』のような上位種よりもさらに上の力を持っている。種族としてそもそもかなり上のレベルに設定されてるんだろうな。
ショットガンでも1発や2発じゃ倒せない……どころか、怯ませることすら難しいかもしれない。
……まあ、すぐ全員消し飛ばしたけど。
3匹中2匹……虎と熊が俺に襲い掛かってきてくれたんで、狼と同様、食らいついている間に殴って倒す。
虎は2発で、熊は3発で動かなくなり、砕け散るように消滅した。
残った虎1匹は麻里奈の方に襲い掛かっていたが、麻里奈の薙刀で滅多切りにされながらも食らいついていたが、既に虫の息っぽかった。
視線だけで『手伝うか?』と問いかけたが、麻里奈は首を横に振るだけで答えると、至近距離から串刺しにしてとどめを刺していた。
逃げたりすり抜けずにこっち来てくれる分には、相手がどれだけ強かろうが怖かろうが、楽勝だし大歓迎なんだよ。無敵だから俺達。
動物系モンスターは、どうやらその3匹が最後だったらしい。
後続が湧き出てくることはなく、ステージクリアの文字が再び現れて……俺達はほっと息をついた。
その後はまた、さっきと同じ準備タイムに入ったんだが……ここで嬉しい誤算というか、予想外のことが1つあった。
最前線で無双する俺達は、さっきもこうして、戦いが終わった後でドロップアイテムをまとめて回収していたんだが……その最中に、あの虎と熊が落としたと思しき武器が転がっていたのだ。
熊のドロップ武器は手甲で、『暴熊の手甲』という名前。おそらく、見た目やドロップした敵から察するに、俺のこの『タイラントクロー』の劣化版じゃねえかなと思う。
もう1つ、虎の方は……『猛虎の牙』という名前で、槍だった。それが2本。虎も2率いたから、1匹1本落としたってことだろう。
性能としては、ボスドロップの武器にはやや及ばない程度。それなりに強力な部類に入る。
槍2本は、真田達が守ってる戦国風隙間バリケードで活躍できるだろう装備なので、回収して急いでそこに持ってって『これ使え』って渡しておいた。
しかし、手甲の方は……正直微妙だ。
強い武器なのは間違いない。今言った通り、劣化版とはいえ、俺の『タイラントクロー』と同じ系統の武器なわけだし。
ただ、コレ拳で戦うっていう性質上、敵とゼロ距離で戦うことになる代物なんだよなあ……。
必然、敵からの攻撃も食らうリスクが跳ね上がるわけで……回避しつつ拳で戦うことになれている、プロボクサーみたいな人でもない限り、逆に危険だと思う。
それか、俺と同じ『ARD』の人に使ってもらうかだが、俺と麻里奈以外にはいないし。
武器としては使わず、防具として使うのはどうか、ってのも無理だ。……こんなところまで俺のと同じようにしてくれなくてもいいだろうに、この『暴熊の手甲』、着けると逆に、わずかだが防御力が下がるようになってる。なおさら危なくて使わせられん。
せいぜいが俺の予備武器扱いかな……
おっと、そんなことを考えている間に、カウントゼロ。
第三ステージ開始だ。
第三ステージは、第一と同じでゴブリンやコボルドなんかの亜人系だけが出てきた。動物は出てこなかった。
ただし、さっきは出てこなかった『上位種』……ホブゴブリンやコボルドソルジャーなんかがちらほら混じるようになっていた。
こいつらは攻撃力も耐久力も、役職(?)なしの雑魚ゴブリンや雑魚コボルドより高い。俺と麻里奈はともかく、防衛ラインの連中は油断できない戦いになる。
数もさらに多かったので、役職持ちを含む結構な数が俺達よりも後ろに流れていってしまった。
中でも厄介だったのは、盾を持ってる個体だ。
どうやら一定確率で相手の攻撃をガードしてしまうらしく、狙撃のために放った矢すら、『ガキン』という無慈悲な音と共に防がれてしまって……撃った人が目を疑って驚いていた。
……が、
―――ドォン!
さすがに、ライフルによる狙撃までは対応できなかったようで。
この2日間の間に新たに用意できた武器の1つだ。
ゾンビ系の敵が出る、あるいは出そうなエリアを探索していた最中に発見した武器で、弓よりも長距離で、高威力の弾丸を、反応不可能な速さで撃つことができる。
バリケードを乗り越えて我が物顔で進んでいたコボルドソルジャー(盾所持)の頭に風穴が開いたのを見て、職員達が『すげー……』と感心していたのが見えた。
上位種でも急所に当てれば一撃か。頼もしいな。
ただこのライフル、1丁しかない上に、ライフルの弾丸自体もあまりない。ハンドガンの弾やショットガンの弾よりもドロップ率が低く、弾丸もあんまり確保できなかったのだ。
なので、このライフルを任せているのは、役場職員の中でシューティングゲームが一番得意な奴である。一撃一殺、外さないつもりで撃ってくれ、と頼んで託してある。
その狙撃をも潜り抜けてきたやつは、真田達が頑張って相手をしてくれている。
さっきからショットガンの射撃音もちょいちょい聞こえてくるし、痛みをこらえて武器を振るっているらしい雄叫びも耳に届いてくる。……いい意味でも悪い意味でも、騒がしい戦場になって来ちまったな。
第三ステージの最後は、予想通りと言えばそうだが、ゴブリンキングとコボルドジェネラル……系統の『ボスモンスター』が出現して襲ってきた。
ゴブリンキングは問題なく倒せたんだが、コボルドジェネラルの方がちょっと焦った。
ヘイト稼いでるにも拘らず、俺達2人を無視してまっすぐ後ろの方に走って行ったもんだから……『はぁ!?』って思わず叫んじまったよ。
何か、一定の条件を満たしている相手を狙う的な設定でもあったのかね? ゲームだとよくあるよな……一番体力が低い敵から倒そうとするとか、より多くのキャラクターが集まっている場所を優先して襲いに行くとか、そういうの。
そういう設定を想定してなかったのはミスでしかないな……。
しかもそのコボルドジェネラル、あろうことかバリケードを攻撃して『破壊』しやがって……そのせいでそこを通って取り巻きのコボルド達も結構な数が浸透してきて大変だった。
主に真田達が。
幸い、大部分は弓矢とライフルの狙撃で何とかなった。動物系よりは遅いし動きも単純だから、ここまでの戦いでより感覚がつかめて狙い打てるようになったのかもな。
しかし、結構な数が真田達の戦国時代風隙間バリケードまで来て……しかもそこすら『破壊』されちまったもんだから大変だった。
ガチの合戦の様相になって、防衛メンバーも治療メンバーも大忙しだったらしい。
言うまでもなくコボルドジェネラルが一番の強敵で、生半可な攻撃じゃ怯みもしなかったので、何人か攻撃をまともに受けて倒されてしまった。
防具やアクセサリーで固めてたおかげでショック死こそしなかったが、復帰不能なレベルの痛みとショックで動けなくなって……
そこに追撃を咥えてとどめを刺そうとしたコボルドジェネラルだったが、真田が部下に命じて、虎の子の秘密兵器、グレネードランチャーをぶっ放して直撃させたおかげでさすがに怯んだ。
弾丸が8発しか手に入らず、ライフル以上にうかつに使えない秘密兵器だが、使いどころとしては完ぺきだったと思う。
その隙に槍で集中攻撃し、動きだしそうになったところで顔面にショットガンを決めるとさすがに倒れこんだので、とどめに真田がそこで棍棒で滅多打ちにして倒すことができた。
……という話を終わった後に聞いた。
そんで真田達は、『謝るとかなしな? こうなる可能性も当然覚悟して俺達だって頑張ってたんだし、お前らが一番最前線で頑張ってんのは知ってるから文句何てなにもねえから』って機先を制して言われてしまった。ありがたい話だ。
そしてその後、第四ステージだが……
「ここでこいつらか……夜でもねえのに出てくるとは」
うめき声と同時に大量に出現したのは……ゾンビの大軍だった。
「あー……覚悟はしてたけど……きっついぃ……ビジュアルなんとかしてよぉ……!」
「麻里奈……いけるか? 無理そうなら……」
「い、いや、ギリ大丈夫。明るいからまだ、きちんとモンスター枠として見れる……と思う」
そう言いながらも顔色が青いし変な汗がにじんでる麻里奈が心配だ。
なんか後ろの方からも、『きゃー』とか『ぎゃー』とか男女問わずの悲鳴が聞こえてくるし……いや、無理もないっていうか、むしろ気持ちはわかる。正直俺も怖ぇもん。効かないとわかってても。
ゾンビ達は、攻撃力は別に高くないし、動きは全モンスター中で一番と言っていいくらいに遅いしで、決して『強い』わけじゃないんだが……それを補って余りあるほどに、ビジュアルの凶悪さと、タフさが厄介すぎる。
しかも、主な攻撃方法が噛みつきな上、集団で向かってくるので……余計にビジュアルが酷い。
攻撃しても構わず、よろよろとした動きで近づいてきて噛みついてきて、前後左右から同じようにゾンビが群がってきて食らいついてくる構図の絶望感は尋常じゃなかった。見てるこっちの気がおかしくなりそうだった……。
……って、俺がそうして襲われてる様子を見てた真田が言ってた。
こいつら、『タイラントクロー』の攻撃でも2~3回ブチ当てないと倒れないから厄介なんだよ……しかもこいつらにゼロ距離で接近戦とか、何度も言うけど目の前の景色が最悪すぎて気分が悪く……。
あっちの方で麻里奈も『あああぁぁあぁああ!!』って絶叫しながら薙刀で乱舞してるし……それでも迫ってくるゾンビ達にちょっと泣きそうになってるし。
ただ、こいつらを効率よく倒す方法も一応用意してはある。2つほど。
1つ目は、銃火器を使うことだ。
ここ最近ゾンビを狩っていて思ったことなんだが……ゾンビってただ単にタフなだけじゃなく、1回の攻撃でのダメージ上限が決まってるんじゃねえかと思うんだよ。
そもそも、俺の攻撃(攻撃力3桁)で3発必要なのに、真田の棍棒(攻撃力50)で4~5発、ハンドガンだと10発弱って、明らかにダメージ量バラバラだもんな。計算してみると明らかにおかしいってわかる。
仮にゾンビのHPが100だとしたら、1回につき20ダメージの攻撃なら5回当てれば倒せることになる。
同様に、1回につき50ダメージの攻撃なら2回で倒せるし、1回で100ダメージの攻撃なら1回で倒せるわけだ。
しかしゾンビ達は、『どれだけ攻撃力が高くても、1回の攻撃で30以上のダメージは負わない』というような設定で守られているように感じる。
これだと、20ダメージ×5回はともかくとして、50や100といった少ない回数で倒せる攻撃力で殴っても、30しかダメージが通らず、結局4回は最低でも攻撃しなくちゃいけない。
だから、攻撃力と攻撃回数で計算すると、倒すまでの総ダメージ量が明らかに釣り合ってない、なんて事態が起こるんだと思う。……めんどくさい仕様だな。
ただし例外が1つあるようだ。銃火器系の武器を使ってクリティカルを出すと、頭部がはじけ飛んで一撃で倒せる。
そしてそのクリティカルだが、ハンドガンだと十数回に1回程度、ショットガンやライフルだと頭部に当てればほぼ確定で発生する。グレネード……はさすがにもったいないので使わんが。
そんなわけで、ゾンビは銃火器で相手をするのが一番効率がいいと思われる。少なくとも、俺達みたいな攻撃度外視で暴れられるような奴でなければ。
なので、ゾンビが出てきた場合の特別な対応として……真田達が守るラインに、銃火器を持った部隊が合流してきて、主にハンドガンでゾンビを片っ端から倒していくことになってた。
その筆頭が、『対策室』でハンドガンをしょっちゅう撃ってて割と慣れ始めていた石栗さんである。バリケードで身を守りつつ、ヘッドショットでゾンビ達をどんどん仕留めていった。
ハンドガンの弾はたっぷりあるので、焦って全然当たらないとかでもない限りは問題なく対応できるし、いざとなればショットガンで一撃で倒せるし。
クリティカルが出なくても、ハンドガンの連射速度……すなわち連続攻撃が可能な速さは、弓矢と比べて雲泥の差だ。何発も立て続けに当てればあっという間に倒せる。
……ただし、何度も言うようにビジュアルは最悪だ。
ただのヘッドショットでも、頭から血しぶきが上がる上に、クリティカルだと首から上がボーンって感じになっちゃうので……戦ってる最中に気分が悪くなる奴が続出した……。
そして、ゾンビを効率よく倒す方法、もう1つは……こちらもレアアイテムの『手榴弾』を使うことである。
この手榴弾も、銃火器と同じくゾンビを一撃で倒せるアイテムなのだ。ダメージ上限を突破できる仕様でもついてるんだろうか。
数はあんまりないので乱用は無理だが、密集してるところに投げ込んで爆殺したりするほか、ちょうど俺を中心にゾンビ達が群がってきてるところで、俺が足元にそれを叩きつけて自爆するような形で使うと、一気に大量に吹き飛ばせる。
昨日一昨日に実演して見せた時は、真田から『効かねえとわかってても微妙な気分になるからできればやめねえ?』って言われたが。
ゾンビ映画の終盤とかで、自分の命を犠牲にして主人公達を救うために自爆でゾンビを大量に道連れにする系の仲間……っていう展開を思い出すんだとさ。
……気持ちはわかるけど、無敵だから安心しろよ。
あ、でも間違っても俺と麻里奈以外はやるなよ。多分死ぬから。
そんな感じでゾンビの大軍も討伐完了。
終わってみれば、真田達の第三陣以降に進入できたゾンビはおらず、けが人もいなかった。なんだかんだで動きが遅い奴らだし、それを集団で対処できたこともあって、噛みつき攻撃を食らった者は1人もいないという快挙だった。ノーダメだよノーダメ。
最前線で戦ってて攻撃食らいまくってた俺らは……まあ例外で。
ただ、さっきも言ったように、攻撃被弾死亡演出、全てにおいてビジュアルが最悪すぎて、気分悪くなって嘔吐したり泣き出したりしてリタイアした者が多数いた。
思わぬ形で精神面にダメージ残してきやがってあいつら……本当面倒くせえ……!
「……麻里奈、お前は大丈夫か?」
「……ちょっときつい。でも、ちゃんと10分で立ち直るようにするから……」
「わかった……無理はするなよ。ちょっとくらいなら俺1人でも耐えるから」
……さて、今ので5分の4終わったわけだな。
ラスト1ステージ……果たしてどんなのが出てくるやら? 楽な戦いじゃないんだろうが……ここまで来たら何が来ようがクリアしてやろうじゃねえか……!
続く!




