表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

#9 雪宮さんと買い物 〜帰り道編〜

 春樹と雪宮さんは買い物を終えて、2人で駅へと歩いて向かっていた。

「ふぅ、結構な量買いましたね、 買い残しは無いですかね?」

「はい、 絵の具、画用紙、毛糸にリボン、 おおよそ私がメモしていた物は買えましたし、大丈夫だと思います」

「ですね、 もう夕方なりますし、帰りましょうか、 そういえば雪宮さん、1つ聞いても?」

「はい、何でしょうか」

「雪宮さんは、なんで小道具の係になったんですか?」

「えっとですね、 少し言いにくいのですが、私、誰かと話すことが苦手で、、、」

「そうなんですか?」

「はい、 特に1対1の時だったり、逆に大人数だったりすると緊張してしまって、、」

「そうだったんですね、 でも今日に限らずですけど、全然そうは思わなかったです」

「そうですね、 代田さんと話すのは緊張しないです、 代田さんは優しくて良い人だと知っていますので」

「あ、ありがとうございます、、」

「そんな感じで私が人と上手に話せないせいで、友達と言えるような友達も作れなくて、、、」

「そうなんですね、 それなら、僕で良いのなら"友達" なりませんか?」

「え?」

「友達が欲しくないわけでは無いんでしょ?」

「まぁ、そうですけど、、、 こんな性格なので、多分ですけど私と友達になっても楽しくないと思います、」

「別にそれは関係ないんじゃないかな」

「えっと、、 それはどういう、、」

「お互いが『友達になりたい』とか『仲良くなりたい』って思ってることが大事だと思います、 それにそもそも今日僕は楽しかったですよ」

 そう言って隣を見る。

「そう、ですか、」

 そこには戸惑いの色を隠せていない雪宮さんがいた。だけど2人で駅のホームに着いた頃にはその戸惑いは喜びの感じられる色へと変わっていた。


 そのまま帰りの電車に乗った2人は、空いていた席に座り、何事もなく家の最寄り駅まで帰ってきた。

「やっと着きましたね、 流石に足が痛くなってます、、 雪宮さんは大丈夫ですか?」

「疲れてはいますが、もう駅まで帰ってこれたので大丈夫です」

「そうですね、 後は家に着くだけだし、何事もなく帰れるでしょう」

 そう言いかけた春樹は、ホームから出て目を見張った。

 雨が降っていたのだ。

―どうしよう、傘持ってきてない… 走って帰るにしてもそこそこ雨強いし、今日買った荷物を濡らすわけには行かない、それに雪宮さんもいるんだからそれも無しだ―

「雨、降ってますね、 代田さん傘ありますか?」

 ―ちょうど思っていた事を聞かれてしまった…―

「ないです… 少し勿体ないですけど、そこのコンビニで傘買ってきます」

「それなら私折り畳み傘あるので、入りますか?」

「え?」

「少し狭くなると思いますが、それでも良いのならどうぞ」

「でも、、これって、、あの、、あれになりませんか?」

「ん? あまり分かりませんが、入って良いですよ、 それに家隣なんですし」

「あっ、はい、 じゃあお言葉に甘えさせていただきます、、」

 雪宮さんの傘に入った春樹は、家の方へ歩いていった。


「あ、雪宮さん、傘は自分が持ちますよ、 傘に入れてもらって、さらに傘も持ってもらうだなんて、流石に悪いですので…」

「そうですね、 じゃあお願いします」

 そう言って春樹は傘を受け取った。

 何か余裕そうな春樹だが、実際はは精神が瀕死状態だった。

―狭いってのは分かってたけど、それにしても近すぎだよ!もうホント肩が殆ど当たってるんだよ! それに雪宮さん、これ、相合傘になってるって事わかってますか? 分かってませんよね、 これ見られたら何も言い訳できませんよ!―

 雪宮さんと2人で帰るということを想像し、望んだ男子だなんて数が知れないだろう。ましてや相合傘をするだなんて、高望みすぎて逆に望む者は少ないかもしれない。そんな状況に春樹は耐えられるはずも無く、もう歩く事しか出来なず、傘に落ちる雨音しか聞こえない状態になっていた。


「代田さん、今日はありがとうございます、 ナンパみたいに話しかけられてた時もそうですし、私の『友達』になるって言ってくれたことも、ありがとうございました」

と急に話しかけられた代田は、あまりの近さに横を見ることもできないまま、

「そんな感謝されるような大層なことしてませんよ」

なんて前を見ながら返答した。

「いえ、代田さんはそう思われるかもしれませんが、私にとってはとても嬉しかったです、 いつも相手から近づいてくるので、ちゃんと私が『友達になりたい』と思ったのは代田さんが初めてだったんです、 そんな代田さんと『友達』になれたのが嬉しくて」

「ありがとうございます、 と言いますか感謝したいのは僕の方ですよ、 恐らく僕1人だったら、今日だけで買いきれませんでした、 そしてそもそも僕、高校に入ってから誰かと出かけるといったことをしてこなかった身なので、最初がこんな厚く楽しいもので良かったです、 改めてありがとうございました」

 2人のお互いの感謝合戦はそのまま続き、いつの間にか家の前まで来ていた。

「今日はありがとうございました、 また明日」

「そうですね、こちらこそ代田さん、ありがとうございました」

 そう言ってそれぞれの家に入って、2人の長い長い1日は幕を閉じた。

 こんにちは、小鳥遊 雪音です。「#9 雪宮さんと買い物 〜帰り道編〜」を読んでいただきありがとうございました。そして、今回はうまく話の区切りが付かず、結局これまでの約2倍の字数になってしまいました… 長かったと思いますが、読んでくださりありがとうございます。このような点も、追々思い通りにできるようにしていきたいです。

 さて、今回のお題は「国語と数学、どっちが好きか」です。率直に言います。私が好きなのは「数学」です。特に僕は特別な数字が好きですね。わかる人にはわかると思いますが、「タクシー数」というものが好きです。知らない人の為に説明します。「タクシー数」というのは1729という数字の事です。この数字は「2通りの3乗の数の和で表される最小の数」であり、1³+12³と9³+10³の2通りで表せられます。なぜこの数字が「タクシー数」と呼ばれてるかというと、ある時ラマヌジャンという名の数学者がいました。その人が死ぬ前に弟子の1人に「何か面白い数学の話をしてくれ」と言ったところ、その弟子は何も思い浮かばず「来る時に見たタクシーのナンバーが1729という平凡な数字だった」と言った。するとラマヌジャンは「2通りの立方数(3乗の数)の和で表される最小の数だ」と指摘したとされていることから「タクシー数」という名前になりました。 このようにちょっと他と違う特徴を持った数字が、特別感があるところが好きですし、「他にも全然関係とかが無い数同士がこんなところで共通点が」みたいなことがある事も好きですね。 こんな理由から、私が好きなのは「数学」です。

 今回で3話分にまで続いていた「雪宮さんと買い物」が終わりました。2人にとってとても分厚い帰り道になった今回、突然の雨から雪宮さんと相合傘になり、精神を保つのがギリギリになった春樹。そして今まで友達が作れなかった中、春樹と「友達」になれた雪宮さん。 2人はこの日を忘れないでしょう。 ただし、文化祭はこれからです。これからどんな出来事が2人を待っているのか、どうかお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ