#3 代田くんとお隣さん
こんにちは、代田 春樹です。突然だけど、何故かいつもよりやる気がある時に限って、他の要因でそれに集中できないってこと、あるよね。特に勉強の時とかってしょっちゅうな気がする。
今回の定期考査からはしっかり勉強していい点数取りたいんだよね。理由はもちろん雪宮さんなんだけど。あの人は学年トップ争いをするぐらいの成績だからそこまでとは言わないけど、上位30%ぐらいまで行けたら良いなって思ってる。だからしっかり勉強したかったんだよね。
もう一回言うけど、こういう勉強とかしようと思ってるときって、何かしらの邪魔が入ったりするよね。
「オーライオーライ」
''ガタッ''
「おい、当たってる当たってる!もうちょっとこっちだ!」
そう、隣に引っ越してくる人がいるらしく、今その業者がいるのだ。しかもまだ慣れてない人がいるらしく、何かにぶつける音がしょっちゅうするし、それに対する声もまたうるさいしで集中なんて出来やしない。それが朝から続いてるんだから、ずっとしたいのに出来ない状態だ。気づけばもう西日が差してるし。
昨日は結局、あの後から集中できる訳もなく、勉強はできなかった。だから今日は昨日の分まで勉強するぞ。そう意気込んでいざ始めようとした瞬間
''ピンポーン''
誰だよと思ってインターホンを見ると、1人の女性が立っていた。
「隣に引っ越して来た者です。」
「わかりました、今から出ますね。」
そう言って玄関へ向かった。
ドアを開けて相手の顔を見たところで、僕はそのまま固まってしまった。そこには紙袋を持った雪宮さんがいた。
「代田さん?」
「え、えっと、、こ、こんにちは、雪宮さん、、」
「こんにちは、えっと、つまらない物ですが、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
「よろしくお願いします」
「あ、うん、こちらこそ、よろしくお願いします」
「では、失礼します」
「はい、さよなら」
''ガチャッ''
「ふぅ〜〜〜〜」
最低限の会話だけだったのにドッと疲れたな。まさか、あの雪宮さんが隣に引っ越して来るだなんて、誰が予想できるだろうか、いやできない。ほら、突然の事過ぎて変なこと言ってるよ。でも改めて考えるとスゴイ状況だな。この状況、普通の人なら喉から手が出るほどいいよな。もしこれが広まったら――
『此奴があの雪宮さんの隣に住んでるっていうやつか』
『許さん、こんな奴が、許さん』
はたまた
『なあなあ、雪宮の私服見たか?どんなだ?』
『お前ん家行ってええか?もちろん雪宮目当てな』
最悪こんな感じになるんじゃないか?これは避けなくては。こうなればお互いに困ってしまう。とにかく明日からは、何事もなかったように振る舞わければ。
そんな事を考えていた結果、勉強に戻ることなんて出来るわけもなく、1日が終わってしまった。
こんにちは、小鳥遊 雪音です。「#3 代田くんとお隣さん」をお読みいただきありがとうございました。
今回の話はどうだったでしょうか。 実はこの「学校で有名な異性が隣に引っ越してくる」というシチュエーションは私が書いてみたかった内容の中の1つでして、1話を書き始める前からこういう感じの話は入れたいと考えていましたので結構張り切って書けました。まだまだ書きたい内容があるので、それも書けるように頑張ります。
お隣さんになった代田くんと雪宮さんはどうなっていくのか、乞うご期待ください。