#2 雪宮さんと消しゴム
突然だけど僕、代田は隣の席の雪宮さんに嫌われている(勝手な予想だけど)。しかし、隣になったからには嫌でも関わらなければならないだろう。だからどうにかして普通に話せる程度にはなっておきたい。手っ取り早いのは、しっかりしてると思われることだ。これが昨日の悩みと睡魔との激戦(?)の結果導き出した答えだった。
今日は物理の小テストがある。運よく比較的得意な教科だから、ここで高い点を取れば良いスタートを切れるのではないかと張り切っていた。
いざ始まろうと筆記用具を取り出そうとして、僕はその場に凍りついた。
(消しゴムが……無い……)
昨日は珍しく2時間半ほどテスト勉強をしたからそこそこ自信あったのに。慣れないことするといつもこうなる気がする……
書き間違えずに解いたらいいとも考えたが、早々に誤字して絶望する未来しか見えない。
こうなれば隣の人に貸してもらうしかないか。マイナスからのスタートになるだろうが、この小テストで成績が下がってしまうとなると元も子もない。
「雪宮さん……消しゴムを貸してもらっても良いでしょうか?」
「どうぞ」
「ありがとうございます」
案外すんなり貸してくれたが、その声はブリザードのように冷たく感じた。その後はすぐに前を向き直して集中していたし。
消しゴムを貸してもらったお陰で、テストは無事終わった。思っていた通り1問目から書き間違えたから助かった。
「本当に助かりました。ありがとうございました。」
「はい。」
やはり雪宮さんの声はブリザードだった。
心にそこそこの傷を負った僕は、「テストどうだった?」と騒がしい教室の中、1人ポツンと席に座ることしかできなかった。
因みに、テストは満点だった
こんにちは、小鳥遊 雪音です。「僕の隣は雪宮さん」の第2話をお読みくださりありがとうございました。
今回の話、どうでしたでしょうか?前日に頑張ったのに消しゴムを忘れて努力が水の泡になりかけた代田くん。皆さんもこういう経験ありませんか?彼は、消しゴムを借りたことでそうなる事は避けれましたが、雪宮さんから冷たい声色での一言を貰いました。それは単にテストの日に消しゴムを忘れた代田くんに対して引いているからなのか、それとも他意があるのか。真相をお楽しみください!!