#16 勉強会
春樹は放課後の教室に1人残っていた。今日は、先日心葉と話していた勉強会の日だ。ただ心葉はさっき先生に呼ばれて今は席を外している。だから今は1人で机を2つくっつけて勉強道具を広げている。そこまで終わって先に始めておこうと席に着いたその時、教室のドアがガラッと開いた。
「よっ、春樹、お待たせ、 ちょっと部活で呼ばれちゃってよ」
「蓮!? どうしたんだ? てかお待たせってどういうこと?」
「何言ってんだよ、お前、 心葉と俺とで一緒に勉強会するんだろ?」
「えっ?」
急に知らない情報が出てきて当惑する。
「えっ、 まさか知らなかった感じ?」
「うん、 僕はてっきり僕と心葉の2人なのかと」
「心葉ってそういうことするもんな〜」
『あいつ〜』と思いながら蓮用の机を1つ付け足した。ただまぁ、2人が良かったというわけでも無いのでさほど気にしてはいない。すると再びドアが、今度はさっきよりも勢いよくバンッと開く。
「お待たせ〜ボーイズ、 心葉様のお出ましだよ〜」
やっぱり心葉だった。噂をすればなんとやらというのは、やはり本当なのかもしれない。
「おいおい、様ってなんだよ、 てか心葉、 お前春樹に俺も来るって言ってなかったのかよ」
「あれ、 言ってなかったっけ?」
「僕、さっき初めて聞いたよ」
「ごめんごめん、 でも春樹、別に1人2人増えても大丈夫でしょ?」
「まぁ、うん、 良いけど」
もういいやと思い、机に向かおうとすると、
「あ、あの、」
最近よく聞くようになった声が飛んできて、慌てて振り返った。そして僕はそこで固まってしまった。そこには勉強道具を抱えてた雪宮さんが立っていたのだ。
―えっ! 雪宮さん!?―
驚いて、そう心の中で叫んでしまっていた。すると隣から
「えっ! 雪宮さん!?」
と、僕の心のスピーカーのように、叫ぶ蓮の声が耳に飛び込んできる。
「心葉、どうして雪宮さんがここにいるんだ!?」
「それはもちろん、一緒に勉強するためだよ」
「その理由を聞いてるんだよ」
「だって、 頭が良い人から教わる方が良いかな〜って」
確かに雪宮さんが頭が良いってのは周知の事実だし、心葉の言っていることも共感できる。だけど、1人2人増えても大丈夫とは言ったが、雪宮さんとなれば話は変わってくる。要するにこの4人で机を囲んで勉強するってことだ。その状況で、果たして集中できるだろうか。
「雪宮さんは一緒にするというのは良かったんですか? 心葉に強引にされたとかじゃないですか?」
「はい、 最初誘われた時は驚きましたが、あまりこういうのはしたことなかったですし、楽しそうだと思ったので、 それに教えるのも、自分がちゃんと理解出来てるか確認するための良い方法ですので」
そう雪宮さんが微笑んで言った。それを見て顔を赤くする男子勢を横目に心葉が口を挟む。
「雪宮さんもこう言ってるし、早速始めようよ!」
そして結局、当初より机を2つ足した状態での勉強会となった。
勉強を始めて20分が経った。勉強会のイメージとして、教え合いとかしてもう少し騒がしくなったりするのかなと思っていたし、雪宮さんもいるということで集中できるだろうかと思っていた。しかし蓋を開けてみれば、案外皆黙々と集中できていて、シーンとした教室にはシャーペンを走らせる音と少しの紙の擦れる音だけだった。
―今のところ分からない問題も特に無いし、今回のテスト意外とでき、、、 あれ、 え、 こ、この問題、 分からないところが分からない、、、―
解説を見てみて、やっと何の要素を使うかが分かった。だけど、解説を見た上でもどうしてこうなるのかが分からない。さっきまで少し考えれば解ける問題ばかりだったのに、急にペンが止まってしまっていた。その問題と似た形式の問題に手を付けてみるが、やはり答えへのアプローチで何の要素を使えばいいのかは何とか分かるが、どうしても答えに辿り着けない。
「うーん…」
「ん? どうしたんだよ、春樹」
どうやら声に出ていたらしく、向かいに座っている蓮にも声が届いていたらしい。
「いや、この問題がわからなくてさ」
そう言って解いていた問題とノートを蓮にも見せてみる。しかし渡して間もなくして返された。
「すまん、 俺もわからねぇ」
「いや、いいよいいよ、 ありがと」
そう言ってノートを受け取って、再度解説を見直そうとしたその時だった。
「その問題ならわかりますよ」
そう隣から聞こえてくる。雪宮さんだった。
「どこが分からないのですか?」
そう言った雪宮さんに、ノートを渡して説明した。
「えっと、 ここの計算が解説で省かれてて、どうしてこうなるかが分からないですね」
すると雪宮さんは、少し考えた後に新しく紙に同じ問題を書いて、僕はそれを渡された。
「では段階的に教えていきますね、 ではまずここの式を展開して整理してみて下さい」
「はい、 えっと、できました」
「方程式の解の個数を求める問題は、x軸との交点の個数を求めたらいいので……」
「えっと、はい! 雪宮さん、 答え出ました!」
「はい、 正解ですね」
―スゴい、 雪宮さんの教え方、要点がしっかりまとめられててめっちゃ分かりやすかった―
「また分からない問題あれば聞いてくださいね」
そう言うと雪宮さんは自分の席の方を向き直し、再び自分の問題集に手を付けていた。そして皆再度集中して各々の問題と向き合っていった。
「あっ、 もうこんな時間じゃん!」
心葉の声で僕も顔を上げて時計を見る。すると既に19時を回っていて、窓の外は街灯と信号の光が眩しく見えるほど暗くなっていた。
「そろそろ帰るか」
そうして各々の勉強道具を片付けて、窓の戸締まりをしたり机を元に戻したりした。結局教室を出る頃には19時半に差し掛かっていた。
「僕、こんな遅くまで残ったの初めてかも」
「確かに、 私も部活でならよくあるけど、勉強では初めて」
廊下に出ると、残ってるのは僕たちだけだったらしく、他の教室も廊下も真っ暗だった。
「何か、夜の学校ってフインキ出るな」
「蓮、 それを言うなら雰囲気な」
「そうだっけか? まぁそんな事はどっちでも良いだろ、 とにかく何か出そうだなって話」
「ヤメてよ蓮」
「いやぁ、じょーだんじょーだん」
そんな話をしながら、僕たちは教室を後にした。そうして真っ暗な廊下を歩いていったのであった。
こんにちは、小鳥遊 雪音です。「#16 勉強会」を読んでいただきありがとうございました。上手く時間が取れず、更新が遅くなってしまって申し訳ないです。 最近、小説書きのためのまともな時間が取れず、折角取れたとしても良い内容や表現が見つけられず進まない、という悪循環に苦しめられている今日この頃です。
そんな感じで進められず、更新が遅くなってしまうので、正直結構書くのに苦戦している、この後書きのお題の話を一旦辞めて、少しでも早く更新できるようにしようと思います。
それで、こうして時間が取れない理由なんですが、私が今年度受験生だからという理由が大きいです。受験生だからあまり小説に時間を割けないというのが今の状況です。
恐らくこれから先も更新が遅くなると思いますが、小説は続けていこうと思っていますので、これからも何卒よろしくお願いします。




