#1 プロローグ
「どーしてああなったーー!!」
僕は、誰もいない部屋で悲痛な叫びを上げた。
「今日は席替えをするぞ!」
先生が張り切って言うと、急に教室は騒がしくなった。まぁ僕、代田春樹にとっては、ただ場所が変わるだけのことで、場所の良し悪しなんてなんら関係ない。
「俺らめっちゃ近いじゃん!! 」
「またアンタと隣かよ...」
「教卓の目の前じゃん〜。サイアク〜〜。」
僕たちのクラスの席替えは、くじの完全ランダム性だ。だからこんなに盛り上がるのだろうか。
「僕は12番か。ということは、」
一番後ろの窓側から2列目、いわゆる「当たり席」と言われる場所だ。僕的には黒板が見えにくいから、出来れば前の方が良かったな。もう起こったことだから仕方がないけど。
そんなことを考えながら移動すると、隣になるであろう人は既に移動し終え、外の青空を見ていた。
「隣は雪宮さんか。」
雪宮菜々美――成績優秀で運動神経も抜群、加えて容姿も整いすぎて、モデル活動でもしているのではと疑われるほど。何もかも普通な僕とは、まるで生きている世界が違う。
僕は「雪宮さんとは話したことないな」と思い、結構言葉を考えてから
「雪宮さん、これからよろしく。」
と結局何とも定型的な挨拶をする。関わりなしって言っても隣の席だからね。仲は悪くしてはいけない。なるべく最初は好印象でいたい。
しかしそんな考えは甘かったのかもしれない。
「……よろしく」
(ん? あれ?)
雪宮さんは外を見たままこう返した。人によっては嫌われていると思うような声色で。
「どーしてああなったーー!!」
僕は、誰もいない部屋で悲痛な叫びを上げた。
結局あのあとは一言も話さずに学校は終わった。正直あの後何があったのかほとんど覚えていない。あの時は第一印象とか考えていたからか、あんな感じで返されるとは思ってもいなかった。
雪宮さんの僕の印象はおそらく良いものではないだろう。でも原因になりそうな事が全く身に覚えがないんだよな。まあ今は原因を考えるしかないか...……
そんな事を考えてる内に寝落ちしてしまった代田だった。
こんにちは、小鳥遊 雪音です。この度は「僕の隣は雪宮さん」を読んで頂き、誠にありがとうございました。今回初めて小説を書かせて頂きました。そのため、変に感じる表現などの至らぬ点も多々あったと思いますが、善処していく予定なので、その点よろしくお願いします。
不定期ではありますが、随時次の話を投稿する予定なので、もしよろしければそちらの方も読んで頂けると幸いです。
繰り返しにはなりますが「僕の隣は雪宮さん」を読んで頂きありがとうございました。これからも何卒よろしくお願いします。