97.大精霊の加護
〈ユリアン・エルフィネス・ルセル〉
翌朝、といっても払暁前に捕縛隊らと合流することになっていたのでまだ暗いうちに起き出して身支度した。
大公……じゃなかった、伯爵のところにはエラく強い側近だか、用心棒だかがいるそうで、援護を請願されたからだ。
昨夜ベアトリクスが
「わたし一人行けば」
と言っていたが、
「ベアトリクスが心配だよ。みんなで行こう?」
ベアトリクス大感激!
目を潤ませ、顔真っ赤。
小さい声で
「こ、今夜……抱いていただけますか?」
な、なんだと? コイツまでもが可愛い!
ベアトリクスはユリアンよりも25cmは背が高い。それでも可愛いとか。
どうなっているんだ、今生のオレの周りの女達は。
もぅ、これは……愛なのだろうか?
嫌いな言葉の一つだったのに。
あとは正義とかね。他にもいろいろとある。
「明日は朝早いから、今夜はもう寝ようね。だから……明日かな」
「はいっ!」
弾ける笑顔! やっぱり可愛いなぁ、おい!
あんなに憮然とした顔していた真正ビアンの元騎士が……属性多いな……クロエに惚れ、オレで破瓜してオレに惚れ、いまではあんな破顔を見せてくれる。男冥利に尽きるというもの。
但し、厳密にはベアトリクスはオレを男認定していないっぽい。
たまに「ユリアナ様」と呼ぶことがあるし。
まぁ、いいや。
捕縛隊と馬車で移動。
2時間掛けて壁向こうへ。未だ幾分暗い中、あちらの警備隊が
「何事か!?」
と気色ばんでいる。
こちら側の騎士が応じる。
「アウラリア伯爵の捕縛令状の執行である。どけ」
「捕縛令状だと? 我が国は独立国家である。貴国のどのような法の拘束も受け入れるものではない! 立ち去れ!」
「伯爵の独立宣言は陛下の認可を受けていない。よって伯爵は未だ我が国麾下の一貴族に過ぎない。退かねば実力行使するがいかに?」
「そんな理不尽が通るものか! 我らは独立による……」
「制圧せよ!」
歩兵がわらわらと警備兵士や士官達を取り囲みボコボコにして縛り上げている。
何人かを残し、さらに進む。30分ほどで伯爵邸に到着。各門、通用門を制圧して中へ。
歴史を感じる巨大な邸宅へ踏み込むと、エラく美形なハーフエルフ? の剣士が待ち構えていた。
ベアトリクスが前に出る。
「ジュスカ・ラルクか、久しいな」
「ベアトリクス。君が何故こんなところに?」
「それはこちらのセリフだ。だが、お前は元皇帝を見限り早々に逃げた男。どうした? 逃げなくてよいのか?」
「わたしはわたしの満足が得られれば主など誰でもよい。あそこには最早わたしに与えうる何もなかったからな、未練など欠片もない。だがここにはまだわたしに得るものがある」
「ふん、少年性愛男色の変態が。年少者に突かれて悦にいるとは良い趣味だな?」
「君には言われたくないな。気に入った女がいれば力尽くで物陰に連れ込み、のべつ幕無しに致していたではないか? 帝国の強姦魔、略奪のアイアンメイデンに変態呼ばわりされる謂れはない」
「今の私はあの頃とは違う。特定の方々としかしていない」
どうしよう。ツッコんだほうがいいのかな?
いや、変に声掛けてあちら側の変態にロックオンされてもなんだし、ここはダマの一手か。
しっかしスゲェな。帝国の強姦魔? マジやべぇ奴じゃん? それが側近? あ、オレのハーレムはアイツにとっても楽園なのか?
ふと周りを見ると……
みんな「いまさらなにを」とでも言わんばかりの顔。
オレだけが認識不足。
「御託はいい、やるぞ!」
「極級の私に及ばなかった君がなにを!」
シュラン……
おぉ、双方とも流麗なる剣捌き。
ベアトリクスはいつもの直線的な動きじゃない。
彼女は空いた時間にハンナから指導を受けていた。クロエの剣技は参考にもならないからと、固辞した末の選択だ。
その成果は……中々に綺麗じゃないか。フィジカル任せの押し切る剣技ではなく、繋ぐ技の妙。
ただね、相手のハーフエルフもかなりやる。
元皇帝の側近か。宰相が言っていた奴だな。
うーん、ほぼ互角。しかも双方割と全力。こうなると体力勝負か?
マグダは静観しているし……
あんまり時間取られたくないな。
「ハンナ、お願いできる?」
オレは関わらない。これ以上変態とは……
「承知です……双方、そこまで!!」
剣戟が止まった。
「ベアトリクス! まだまだですね。時間もありませんし、代わりなさい」
「はっ!」
「なんだい君は? せっかくの互角な戦いを楽しんでいたのに邪魔をして」
「言いましたよ、時間がないと。さっさと終わらせます。構えなさい」
「ふん、君が楽しませてくれると?」
「いえ、直ぐに終わります」
「……調子にのるな!」
ジュスカが瞬動で距離を詰める。
ハンナが……剣柄で首筋に一撃入れて終了。
早っ!
クロエが闇縛りして奥へ。
優雅に茶を飲む伯爵の前に速攻で到着。即、令状を突き付け捕縛連行。
資産凍結。所領没収。
10時前には代官屋敷へ。
「オットー・フォン・アウラリア伯爵、卿を以下の罪科により拘束する。違法な市民の略取拘禁、奴隷売買、違法薬物取扱い、禁制品売買、そして国家反逆罪。上級貴族としての身分は判決を受けるその時まで保障される。明日、王都へ向け出立することとし、裁判終了時まで、全ての資産は凍結されるものである」代官クヌート
「ふ、不法だ! だいたいが予は独立宣言を行ない……代官、その方とてそれを容認したではないか! いわば隣国の公王を逮捕するなど、どのような法に照らしてもあってはならん大罪であろうが!?」オットー
「伯爵よ、お前の独立など陛下がお認めになっておらん。よってお前は未だ伯爵であり、我が国の一地方貴族に過ぎん」クラウディア
「なんだ、貴様らは? 僭越である、小娘が口を挟むな!」
「お前などに自己紹介など業腹であるが、良かろう。わたくしはユリアン・エルフィネス・ルセル陛下が側妃、クラウディア・エルフィネス・ルセルである」クラウディア
「なにっ?」オットー
「お前如きが様々に画策した矮小なる計画は一夜にして崩壊した。これより先はしおらしく聞かれたことに答え、せめて従順を示し、主上のお情けに縋るのだな」クラウディア
「……資産凍結というが我が資産は……」オットー
「アウラ内にお前が持つ他人名義資産は昨夜の内に代官権限により接収され、速やかに民間の商会へ払下げられた。正当なる元の所有者から正式な訴訟なき場合、一度移転した登記は覆ることはない。いまだ有効な帝国法に記載のある財産に関する法にそう記載されている」エイダ
「だ、だからどうしたと……」オットー
「お前は正式な名義人ではない、訴訟は起こせない。そして名義人はお前の犯罪の実行者として既に捕らえられている。近々死を賜るだろうよ。代官預かりのままだと目録作成や法手続きなどで暫くは塩漬けになるからな、民間の商会へ安く払下げたと言う訳だ」エイダ
「安く……それでも凄まじい金額になるはずだ! そんな金額用意出来る訳がない!」
「こちらのダークエルフであるクロエ・ルセル様は陛下の正妻、王妃であらせられる。しかも稀代の富豪でもある。全額立て替えて下さった」エイダ
「王妃……何故そんな方が」オットー
「あとは、そうだな。お前のところの旗を付けた船には全て拿捕指令が出ている。まぁ、お前は終わりだということだ」エイダ
「あぁぁ……」オットー
「クヌートよ、何か疑義や手落ちはないか?」クラウディア
「……完璧かと。あとは私の専権にて処理致します」クヌート
「資産の買い戻しには適性価格で応じるよう、商会には指示してあります。但し、権限者は貴方のみとしていますので、署名入り書面は必要ですよ」エイダ
「あと教会ですが、不要です。取り壊して何か有用な施設に建て替えなさい」クラウディア
「承知致しました」クヌート
以上でいいかな?
「終わった? それなら次に行こうか」
「陛下、お待ちを」
「……なにかな?」
「ジュスカ・ラルクなのですが、あの者は牢に留めおくことが不可能です。死を賜るか、陛下に同行させるかしなければ……」
「彼、死ぬほどのことを何かしたのかな?」
「いえ、ただ愉悦に関する施しを受けて警備の任に就いていただけですので……犯罪者とは言い難いですな」
連れていく? 新たな変態を?
しかも、多分オレは奴にとってのストライクど真ん中。
「殺そう」
「陛下は法治主義者では……」
「同時に合理主義者でもあるよ。殺すまでもないのならば釈放しては?」
「取り調べは必要かと」
「貴方の職掌だよね?」
「……では釈放致します」
「ボクらが去った後にしてね」
「畏まりました」
ふう、危ない危ない。
オレは女しか掘らない。女専用ボーリングマシンだ。絶対にだ!
「それじゃあ今度こそ行くよ。あとは宜しくね」
黄門様の旅は続く。
助さんはクロエ。
角さんはハンナ。
八兵衛はヘルガ。
弥七はマグダ。
あとは……お銀は誰だろう? くノ一でお風呂が似合う大人の女。
該当者なしか。
あとの3人は旅のお供のトラブル元の藩のお姫様と侍女とか?
ソラの背中で寝転んでボンヤリとそんな事を考えていると……
オレの真上に雨雲が突如発生し、ものすごい勢いで広がっていく。
オレ達を「避ける」ようにして豪雨が叩きつける。そう、避けている。
これは……?
『至りました!』
『ルサルカ? 何に?』
『水の大精霊です!』
『水? 風じゃなく?』
『そうなの。私は水の精霊なの』
『風しか使ってなかったじゃん?』
『風しか機会が無かっただけで、私は水なんだよ』
『あー、ロシアのアレか、ルサールカ。確か湖の妖精だっけか?』
『あ、あるね、ユリアンの記憶に。そう、それ』
『進化したカンジ?』
『うん。ユリアンの魔力沢山もらったから。それにユリアンの眷属化も影響したみたい』
『オレの眷属? なんかいいことあるの?』
『ウフフ、沢山あるよ』
『例えば?』
『絶倫度数倍アップ!』
『な、なにぃっ!? いや、休ませろよ』
『多分飛べる!』
『マジ? それはいーな』
『私は大気との相性がいいからね、私に愛されたユリアンは多分飛べる』
『多分が取れてないな』
『試せば?』
『今度ね』
『さあて、新生、かつ改名ルサールカちゃんを見せてあげる!』
分離した。久しぶりだな。ピンになるの。
そこには腰まで伸ばした水色の髪が艶やかな肢体を彩る……絶世の美女が佇んでいた。
年の頃なら20歳前後。最早罪悪感を感じることもない妙齢の美人が裸で目の前に……あれ? 勃ってる?
「君は……お銀?」
「さっきまでの妄想の続きか……他に言うことはないの!?」
「勃っちゃった」
皆が見る。オレの股間を。
「ソラ、降りましょうか」
「いやいや、この雨どうにかしようよ!」
「あ、ちょっと待ってね……えい!」
水色ビーム? が、天に伸びて……雨が止み、雲が消えた。
「私の進化と解放の影響だから、私の意思で解消できるのよ」
コイツスゲェな。見渡す限りの広さで天候操作とか、神か!
いや、天人か。
「もう私とユリアンは一心同体よ。どんなに離れていても瞬時にユリアンに憑依できるし、ユリアンを呼び寄せることも出来るわ!」
「……クロエからも…」
「ルサールカ、死になさい」
「待って! ダメ! 絶対にダメ!! 逃げないから。ずっとクロエと一緒にいるから!!」
「…………」
やっべぇ。コイツ今マジだった。
このまま降りても雨で水浸しだし青姦出来ないだろうと、街を探した。
程なく発見。
一番良い宿の一番良い部屋を調達して、先ずはルサルカから。
また破瓜した。都度再生?
『痛くない?』
『痛い!』
『スマンのぉ』
『でも新たな始まりってカンジで、コレはコレであり!』
『ってか、締りがスゲェ。ちょと緩めない?』
『やぁだ、クロエに勝つ!』
『無理だから』
そんな念話を交わしながら抜かずの二発。
そして絶倫無双! な憑依を。
朝までやれた。
ヒューマンは順番に脱落し、明け方前に最後のハンナが落ちて、今はクロエしか残ってない。
侍女二人も午前3時あたりまでは頑張っていたが、気絶するように落ちたな。
フ、フハ、フハハハハハハハ!
もはや我に怖れるもの無し!
クロエも……今落ちた。
ん? 最初に落ちたクラウディアがおっきしたね。
コッチくるね。咥えるね。うん、勃っきするね。入れるね。する………と、エイダとヘルガが起きてきたね。
コッチくるね。順番待ち?
あれ? 終わらないね。
オレ一睡もしてないんだけど?
あれ?
侍女二人も参加しだして昼過ぎまで続いた。
あれ?
その街を飛び立ったのはさらに翌日だった。




