86.打てば響く少女
〈ユリアン・エルフィネス・ルセル〉
波乱の夜会は幕を閉じ、宵闇の中帰宅した。
その日、ずっと頑張ってきたあることが遂に実を結んだ。
自前の防御結界展開!
安息日を物理的に安息化する憧れの術式を取得。
通称愛の巣部屋。中央に置かれた巨大かつ頑丈なベッドの右端の一角に、オレ一人を覆うように楕円の結界が展開される。
触れないし、嗅げない。これ大事。
「クロエお姉様、このような横暴を容認してよいものでしょうか? これでは匂いも嗅げません!」エイダ
「飲んでいただくことも出来ませんわ」ヘルガ
「く、憑依も出来ないとは……特殊な結界のようね?」ルサルカ
「破壊が不可能とは言いませんが、この屋敷は半壊しますね」クロエ
「ユリアン様? 寝る前のおトイレはいかが致しましたか?」ハンナ
あ、ホントだ。つい勢いで結界しちゃったけど、寝しなのトイレは習慣だから行きたいな。
うーん、どうしよ?
「飲んで差し上げましょうか?」ヘルガ
あ、この子にはご褒美だったな。その後ヘルガがもよおしたら今度はオレが飲まされての繰り返し。
ときめきの永久機関。
だんだん色と香りと味がこくなるのでオレはギブするやつだ。
ヘルガはへっちゃららしい。
「お願いできる?」ユリアン
そしてウッカリ結界解除。
咥え込み、直飲みする上級者に感謝しつつみんながいる前で普通に放尿する、何かを欠落させたオレ。天井に目を向けると、そこには今正に顔面着地しようかという女性器が迫る。一瞥して判る。ハンナのだ。
左右の腕にはモッチリとした柔肌の感触がしがみつき、瞬時に身体を横向きにされる。
直後、尻に何かが塗り込まれ、間髪入れずにエクスカリバーが捻り込まれる。最早身体が覚えたその形。
顔面に押し付けられたその性器の匂いはオレが一番性的に興奮する人のものだ。
その人の両太腿に挟まれた頭部ごとうつ伏せにされ、腹の下に潜り込んだ誰かと、飲みきったヘルガが入れ替わる。この時点で勃起している懲りない聖剣。
その誰かの性器にわが聖剣は呑み込まれ、筋肉ダルマの大男に力いっぱい握り込まれたような締め付けで「拘束」される。そして聖剣はそこから抜けなくなる。抜くまでは。日本語の妙なる機微に今日もまた触れてみる。
後ろからの小さいながらもリズミカルで懸命さが感じられる突き込みと、腹下でのある一点のみの拘束。
そこから始まる淫虐のフェスタ。
ああ、赦して。ナオミお姉様。
隙を見せたばかりにいつも以上に粗雑な扱いで……5人に蹂躙されるオレ。
ルサルカが参加しているのは繋がっているから分かる。
だから全員だ。
明日は……もう一人追加か。
ノーマルの子だといーな。
鉄鎖で繋がった足枷と手枷を自分で嵌めたその子は震える手でオレに鞭を差し出してきた。
顔には期待と羞恥と恍惚がない混ぜに表れていた。
「これをどうしろと?」
「わたくしを蹴るか殴るかして床に転がし、足で踏みつけながら蔑んだ目で見下し、口汚く罵りつつ、この鞭で跡が付くほど強く打ち付けて下さいまし」
かなりの上級者?
既に経験者か?
「そうした経験が?」
「御座いませんわ。小さい頃からずっと憧れて胸に秘めつづけてきた……性的嗜好で御座います」
初心者ですらない。
なのに、自力でこの妄想領域まで辿り着いたと?
その方面での自力というか、素養が高すぎ晋作。
「我……ボクにはまだ無理かな。余りにも上級者向け過ぎて」
「誰しもはじめは初心者でございますわ。ユリアン様はおっしゃいました。そのままのわたくしで良いと。天にも昇る気持ちになりました。今更ダメとおっしゃられても……」
……言ったな。確かに。
でもさ、この事態をあの時点で想像出来るか?
あの清楚な姫君が真正のマゾとか。
どう対処するのが正解なんだ?
送り返す……は、外交上あり得ん。
普通にナニして茶を濁すか?
ここまで晒しておいて引き下がるはずもないか。
「ユリアン、ここまでワタシ達に迎合してきた貴方に最早不可能などありませんよ? 叶えて差し上げなさい。仮にも貴方が属した王国の姫君なのですよ、その想いに応え満足させるのは元国民、いえ、貴族の努めでしょう」
「ユリアン様……もぅ、クラウディアは……もぅ、切ないのです。せめて一打ちでも……」
超上目遣いプラス潤んだ瞳攻撃!
くっ、やるしかないのか?
でも趣味どうこう以前に女の子を傷付けるとか、絶対嫌だし……
「ルサルカ、君どう?」
「わたしだっていやよ!」
「……例えばだ。そこにいる娘はあの憎き皇帝の愛娘。あの聖堂で怒りと憎しみに取り憑かれたころの君が、もしそんな素材を差し出されたら……どうするかな?」
ゴウッと黒霧状の何かが吹き出す!
「身体の自由を奪い、床に転がし足で蹴り回して存分に蔑み貶し、鞭で打ち据えてやるわ!」
オーダーそのまんま。
「それじゃあ、ボクに憑依してその想いを彼女にぶつけてみては?」
ギンッという目をオレに向け、憑依開始。
「小娘よ、この怒り、この憎しみ、その身に受けよ!」
ドガッ、
「キャン!」
ガッガッ、ボグッ!
「グフッ! ハァァ……」
「クズの子もやはりクズか? 下賤の者のように這いつくばるが似合いよな!」
「あはぁ……ハァハァ……」
「これでもくれてやるわ!」
ピシッ、ピシッ、ピシッ!
「カァッ!…ウゥゥん!……あぁん…」
「しまいにはよがり声か? この変態め! こうか? こうすればもっと気持ちよくなるのか? どうしようもない歪んだ性欲の持ち主がぁ、ほれ、どうした? あぁん?」
股間に足先を捻り込まれるとクラウディアはよがりながら身体をよじり、股を開いた。
そこへさらにつま先をグリグリと突きこんでゆくと、股間から液体を吹き出した。
「どちらか」は判然としないが、大きく身体を仰け反らし「グハァッ! おぉぉぉ……」というイキ声とともに果てた。
まだ、全身がビクンビクンとしている。
盛大ないきっぷりだ。
いっそ清々しいくらいに。
憑依されていて主導権を渡しても寝なければ意識を共有できる。
だから一部始終をオレも観ていた。
ここでチェンジ。
「ちょっとインチキしたけど、満足してもらえた?」
「ハァハァ……ユリアン様……暗きときも、明るいときも、あなた様に終生の愛と忠誠を誓います。そしてこの生命を捧げます。どうかいつまでもお側においてくださいまし」
「破瓜もまだなのに誓いかい? 気が早いね。どうしよう、普通のもする?」
いや、逆か。破瓜前にするものだよな。婚姻の誓いって。
「勿論です。ユリアン様にこそ捧げます」
そんで普通にしたんだけど、今更? オレの匂いに興奮。
破瓜の痛みはご褒美とばかりに、アグレッシブな彼女。
その後の集団プレイには更に大興奮!
後日、「新しい扉が開きました」と言われた。
良かったね。
アレばっかりじゃオレがキツイ。精神的に。
『ルサルカ、サンキュな』
『ううん、むしろスッキリしたし、たまにはありかな』
『お互いの嗜好が合ったようでなによりだ』
『ユリアンの前世なら有りだったんじゃないの?』
『喜んでやっていた訳じゃない』
『ふうん、もっとスゴイことしてたのにね』
『だから、あれはまぁ、仕事の一環だ』
『まぁ、でもアレの仕返しでもあるんでしょ?』
『………ああ』
『ホントに過酷な人生ね』
『好きこのんで始めたんだけどな。最後は後悔に沈んだ』
『今はどう? 楽しい?』
『半々だな』
『これで半分は楽しいといえるあなたはどうかしてるわね』
『同感だ』




