表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/283

72.ドライ・リッター

〈ユリアン・フォン・シュワルツクロイ〉


昼過ぎには現地へ至る。


戦場上空を旋回しながら観察する。

山岳地帯の街道を通す谷間に戦力が集中している。

周辺の尾根筋に少数の兵は見られたが、斥候だろう。

ここより離れた谷筋には両軍とも抑え程度の兵が伏せてあるのみ。


つまり街道の谷間を制すれば戦闘は止められる。

現在も激戦を繰り広げているそこは断崖下を流れる渓流を除けば幅100mほど。


よし、戦術は決まった。


「あそこに風弾を撃ち込んで両軍を引き離す。その後ボクら三人で下に降りて両軍を分断。双方の停戦命令が届くまで個別に応戦。極力死なせず無力化してね。でも自分の命を一番大事に。いいね?」


「私は?」


「ルサルカはソラに乗ったまま上空待機。端っこから抜けようとするヤツがいたら軽くお仕置きして。夜は退避して休憩してて」


「うん!」


「それじゃあいくよ?」


「「「はい!」」」


風弾はルサルカが撃った。


双方共吹き飛ばされて20mくらいの空隙ができた。

そこへ飛び降りる。


口上はクロエに頼んだ。


「聞け、愚かなる中人族共よ。我が名はクロエ・ルセル、いにしえに破国の闇女帝と呼ばれしダークエルフである。この戦場は我が主、ユリアン・フォン・シュワルツクロイツが預かる。直ちに戦闘を停止し、双方の母国へ引き取るがよい。聞き入れること叶わぬ者は……己の命を対価として我に挑むがよい」


ま、待ってぇ! なんでオレの実名公開してんのぉ!?

なんで掛かってこい的な煽りしてんのぉ?

そんなん打ち合わせになかったじゃん!


ダメだよ。共通認識にないことしちゃぁ! 合同プロジェクトで一番やっちゃいけないやつだよ、それ。


あぁ、もう!

しかも風魔術術式で拡声してるし。

今この戦場でクロエに次ぐもっともホットな有名人、オレ。


あ、何人かが武器構えてる。

ほらぁ、殺る気じゃあん。


もぅいいよ。やるよ。


ふと見るとクロエを挟んだ向こう側のハンナが既に舞っていた。多対一で圧倒してる。殺してないだろうな。


あ、きた。


その後は前後からワラワラやってきてはドッカンドッカン撃退した。主に槍の石突き側を使って。

とはいえ共和国側からはほとんど来ない。たまにくるのは傭兵かハンターらしき人達だ。正規兵は一人も動いていない?

あ、クロエが名乗ったからか。共和国正規兵は手出ししない。けれども興味本位でよそ者が腕試しにくる。

それでもクロエはヤバいからオレとハンナへ挑むのか。ショボいなぁ。


日が落ちる頃には街道とその周辺を戦闘不能者達が埋め尽くす。


残った者たちも打つ手無しを悟り脱力していた。


夜間は通常においてはほぼ戦闘はしないらしい。

こちらも敢えて結界を張っていない。

そもそも分断して結界張れば良いじゃないかという案もあったのだが、それだと兵が分散して山向こうの複数の谷筋に戦局が展開しかねない。だから敢えて目立って、受けて立ったんだ。


選択と集中をここへ釘付けにする為に。


推定だが、帝国側はあと数日。共和国側は明日には停戦の使者が来るだろう。

そうなれば相手するのは完全に片側だけだ。だいぶ楽になるだろう。



因みに、夜間も気を張るオレ達には誰にも言えない秘密がある。

三人ともおしめとオムツを装備しているのだ。


大はシッカリ出し切った上で装備し、小は風魔術を駆使して乾かしつつ滴るのを防止している。

戦場では戦いながらのお漏らしも珍しくないと聞くが、オレのクロエやハンナのそんな姿を他人に見られたくないと主張した結果だ。

ハンナが感激していたな。

ふっ、自らオムツ着用を主張する日がくるとは……F1ドライバーも着けてるって聞いたことがある。仕事に必要ならば是非もなし!!


まぁ、匂いはどうしようもないけど。



翌日、昼前。共和国側の戦闘行為が完全停止した。

だが撤退はせず200mほど戦線を後退して待機している。


帝国側は先陣を入れ替え元気に挑んでくる。


この頃にはクロエはともかくハンナとオレにも二つ名が付けられていた。


ハンナは「狂乱の舞姫」と「狂信戦姫」だ。狂信?


そんでオレは……「黒天令嬢」と、多分槍ばっかり使ってたからだと思う「シュワルツランツェンリッター」だ。よし、リッターならばセーフだ。薔薇の騎士の場合はアウト。

後者には頭に「フロイライン」が乗っかることがままあったことを付記する。

お嬢さんね。


男認定されていない。


因みにユニット名は

「フロイライン・ドライ・リッター」

だ!

お嬢様三騎士!


今直ぐ商標登録を。



翌日、早朝。

帝国側から見知った人物が一人で歩み寄ってきた。

ガイウス卿だ。


膝を着く臣下の礼を取り、声掛け後、直る将軍。


「陛下、まさかこんなところで至尊のお方ご自身が驚愕の武を振るっておられるとは。臣は武人としても改めて膝を折るより他ございませぬ。お見事にごさいます」


「陛下って……これで停戦は成った、ということで宜しいですね?」


「ははっ、各方面の作戦群にも撤収命令を出しましたゆえ。共和国側はいかがでしょうか?」


「昨日から戦闘を停止しています。かの国ではクロエは国母として崇敬されていましたから、直ぐに話しはまとまりましたよ」


「なんと……我が国の新王と共和国の国母が伴侶……なんと尊きことか……」


「とにかく、速やかに兵を引いて下さい。監視要員も不要です。私達はそれを見届けた後、帝都へ当面の穀物を持ち込みますので、離脱します」


「おお、穀物が手に入りましたか?」


「私達が所持しているのは100,000t程です。後日、北方より……多分300,000t程は持ち込めるかと」


「で、では、民は生きられるのですね?」


「配給がうまく行けばですがね。但し、この事態を招いた強欲な貴族や聖職者と言う名のクズ共には救いなどあってはならないと私は考えます」


「はっ、勿論にございます。その件につきましては宰相が万事手配をしております。王都ご帰還の折、ご下問下さい」


その後は双方の軍トップが「終戦協定」に調印し、紛争地域から順次軍を引き揚げた。



その日はさすがに皆で水浴びをして身綺麗にしてから結界内で爆睡した。

起きたら寄って集って犯された。

ルサルカも参加している。

ホントに受肉しているかのような質感だ。しかも破瓜の感触まである。上位精霊の緻密さがスゲェ。


ソラの上でも前後からセクハラを受けつつ2泊で帝都に着いた。


前回同様塔上に着地。



挨拶もそこそこに、穀物を指定された倉庫5箇所へ納入し、直ぐにヴァン・ヘルムート王国へ出立した。

ここへ来て気が付いたのだ。


「夏季休暇あと3週間?」


国家の大事に関わりながらも学院の無断欠席が気に懸かる小市民っぷり。オレがオレであるゆえに。


先にフランシア王国へ。



エランさんに案内され10箇所に保管された150,000tの穀物を受領。

礼をして慌ただしく出立した。



そしてエイダの元へ。

あとは100,000tもあれば事足りる。どうかな? どれくらい買えただろう。


200,000t買い入れていた。

預けた資金は半分しか使っていないとして残りを返却してきた。


え? 12歳の女の子がどうやって?

ミュラー公爵は自領へ帰参しているし、他に何か宛が?

一体どうやって……


「ユリアン、エイダの有能さが少しはわかりましたか?」


「少し?」


「少しです。あの子の能力はこんなモノでは有りません。ユリアンはこの能力を我が物とするのです。ヘルガ同様に彼女に破瓜を」


「……前にも言ったけどボクは……」


「勿論ワタシ達がお手伝いしますよ。しっかりと立つように補助します。ご安心を。それに……褒美のお約束、忘れていませんよね?」


「……今は……急ぐから」


「ええ、用事を済ませてからで大丈夫ですよ。あ、ユリアン。いま履いている下着を下さいな」


エイダ用か? もうそこまで精神が侵食されているのか?

誰一人、誰一人としてノーマルがいない。

そしてオレ自身ももはやノーマルとは言い難い。


クッ……


ま、いっか。

普通にクロエやハンナの前でフリチンになって下着を手渡し、別の下着を受け取りいそいそと履く。

あの一件いらい、こいつら相手に羞恥心はない。

ただね、一人だけフリチンというのは絵的にどうかとは思う。


よし、帝都へ戻ろう。

あれ? そういやガイウスさん、王都って言ってたな。帝都だろ、なんで?


あそこの宰相は多分まともだ。

宰相に癒してもらおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ