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63.対策が必要

〈ミハイル・フォン・シュワルツクロイツ〉


兄様はすごく強くてキレイで優しくて大好きです。

父様、母様、家人のみんなが兄様は神童だと讃えます。

ボクもそう思います。

スゴク賢くて、聞けばどんなことでも答えてくれます。ボクの従者のクラウスも兄様はスゴイと、憧れだと言います。

ボクにとっても憧れです。


いつか兄様が家を継いだらボクは兄様にお仕えして頑張って支える人になるんだと決めています。



兄様が王都の王立学院へ行ってしまいました。

ボクもあと2年したら行くのだと母様から言われました。

でも兄様が居ない毎日はなんだか寂しくて少し哀しいです。


その気持ちを晴らすために武術と魔法の鍛錬を頑張ります。

兄様のお役にたつ武人になるために。


夏になり、麦の刈り入れの時期が来ました。

みんな大忙しです。

沢山の麦が屋敷の倉庫へ運ばれてきます。


作業が落ち着いてきたら、今度はみんながソワソワしてきます。

お祭りがあるからです。

沢山の収穫が得られたことを創造神様に感謝しお祝いするのです。


領主である父様はこのお祭りに毎年ボクや兄様を連れて行ってくれます。

でも昨年は何故か兄様が来ませんでした。

何度もお誘いしたのですが……父様に聞いたら


「そうだな、寂しいな」


というばかりで理由を教えてくれませんでした。

そして今年も。


でも夜のホールで兄様が不思議な楽器? を携えて父様、母様のお席の脇で音を鳴らしました。


なんという儚くも美しい旋律でしょう。

あまりにも心が因われてしまい身動一つ出来ません。

でもそれで終わりではありませんでした。


また違う旋律にのせて兄様が歌い始めました。

高い声で低調な始まりから抑揚を付け、心に語りかける真摯なる願いと壮大なる広がり。

妙なるは楽器の音か兄様の歌声か……

気付けば泣いていました。

全身が打ち震え、背中には戦慄にも似たナニカが走ります。


未熟なボクにはこの感動と歓びを言い表す言葉が見つかりません。

あぁ、兄様。


歌声と旋律がやみ、ホールには啜り泣く声が広がります。


するとクロエ様が兄様のお側へと参りました。


再びはじまる妙なる旋律、それに続くのは……クロエ様と兄様の合せ歌。クロエ様の美しいお声に兄様の高音の可憐な声が重なります。

違う言語で歌詞の意味はわかりません。しかしそんなことはどうでもよいのです!


なんという……なんという……世界は、人の世はこんなにも浄化され、美しく、高まり……神々しい……そこに…ボクもともに…在りたい



歌唱の終わりと共に神の世界も終わりを告げました。


ボクも、ボクだって、兄様とともに在りたい。



少しずつ人々が我に返ったようにざわめき始めます。その中でこんな呟きが聞こえて来ました。


「天人に連なる御使、その美しさ、可憐さ、そしてあの歌声。まるで天使のようではないか」


カチリとハマりました。

そうです。兄様は天使なのです。

ボクの兄様でボクの天使。

すごくいい匂いのする天使様。


そしていつかボクのあるじになるお方。




〈クロエ・ルセル〉


飛竜デート、クセになりそうです。

そしてユリアンの「半分力雷撃魔導広域落雷術式」はワタシですら戦慄を覚えるほどに過激なる術式でした。

普段のユリアンはあの属性の中でも魔術レベルを特に修練していて、


「細く小さく、いつまでも出し続けられるようにする」


と言っていた。なんの意味があるのだろうか?


それにしても、あれだけの数の同族を殺してもまるで意に介したところが無いとは。しかも、聞けば初めて人を殺めたのだという。

その心の強さにこそ驚かされました。


武人としてはもう一人前ですね。


その後は森を抜けた草原でハンナと三人で星空の下、解放的な交わりをしてから結界を張り眠りました。



翌日は裏切り者の捕縛です。特に何事もなく小事を済ませ、神聖帝国軍の死体処理の為の軍を動かす段取りをし、生き残りの尋問を報告書に取りまとめてから、翌朝、お義祖父様の元へ帰参しました。



帰参前日の夜。屯所では来客用の部屋を宛がわれましたが、


「今日は闇の曜日だよ」


と素気なく断られました。

くっ、ユリアンの精神力が成長している?

誘いにも殆ど乗ってこなくなりました。ワタシのショーツも1日モノでは物足りない?

そういえばハンナのは試していませんね。


「ハンナ、いま履いているショーツはいつからですか?」


「おとといの夜からですね」


「あら? 昨夜は替えなかったのですか?」


「替えを持たずにきましたので」


空間収納からワタシのを取り出します。


「これと替えて下さい」


いそいそと履き替えるハンナ。

脱いだショーツを貰い受け、ユリアンの鼻へ宛てがいます。

無言ですね。


「クロエ様、ワタクシのショーツなどではユリアン様のお気に召すはずが……」


ユリアンの股間に目を向けます。

おや? 

触れてみます。

まぁ!


「ハンナ、歓びなさい。ユリアンが上々の反応を示していますよ」


「え、ワタクシなどに? ワタクシの体臭は普通のヒューマンとそう変わらないと思うのですが……」


「だからこそなのでは? ユリアンは普通が好きですから」


会話の間も手は動かしています。

完全に起立しましたね。

ワタシに背を向け横向きに寝ていたユリアンの身体を仰向けに転がします。


「ハンナ、下着を脱いで顔をまたいで」


笑顔で素直に従うハンナ。

更に怒張するユリアン。

ワタシはユリアンの起立したそれにまたがります。

そしてユックリと腰を沈めて……


たっぷりと頂きました。


ハンナのショーツは切り札として重用されるべきですね。素晴らしい性能です。


あ、結界忘れていましたね。

まぁ、いいでしょう。



翌朝、屯所の兵達がワタシ達をみる目が血走っています。

思い当たる節はありますが、無視ですね。

中には泣いているものもいましたが、これも無視です。


街へ帰参してから晴らすと良いでしょう。


いつ帰れるかは知りませんが。


ただ、ユリアンから指示されて金貨400枚を置いていきました。「慰謝料」だそうです。




お義祖父様の元へと帰参しました。


ユリアンのお義母様と弟、ガンツも到着していました。


ん? 弟、ミハイルといいましたか、何か様子がおかしいですね。


ユリアンにしがみつき、匂いをかいでいる?

そして……

男の子で尚且つ同腹の兄弟でしたよね?

あの入れ込みようは……よろしくありません。


何か策を講じねば。

あの子ではユリアンの負担となるでしょう。

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