30.自由の意味と解放される魂
〈ユリアン・フォン・シュワルツクロイツ〉
そして闇の朝を迎える。
毎週思うんだけど矛盾してない?
曇天の光の朝くらいにおかしい。
んん? 他にもなんかおかしな違和感がある。なんだろう?
とりあえず左右の彼女達におはようの挨拶をして身体を起こすと……上体を半ば無理やりクロエ側に向かされた。するとハンナがオレの両腕を後ろへ回して両手首に何かをかけ回す動作をしている。
振り解こうと身を捩ろうとするが、ビクとも動かない。
両の上腕、肩の下あたりをクロエにガッチリと抑えこまれている。手だけで。
無駄な抵抗をしている内に後ろから
「終わりました」
と声がする。
「これってどういう……」
発言の途中で唇を塞がれた。
朝っぱらから超濃厚キッス。
大量の唾液? を流し込まれ、仕方なく飲み干した。
ん? なんか柑橘系? の香りがする。
躊躇してたら溺れ死にしそうな量だった。これはいったい?
その直後、目覚めの違和感の原因に行き当たった。脚が揃わない?
オレ、オムツを履いている?
しかもこのモッサリとした感覚は中におしめも装着されていそうだ。
フルセット。
何故?
いつ?
なんの為?
誰特?
5W1Hが崩壊中。
「クロエ! ハンナ! どういうこと!?」
後ろ手に縛られたオレを何かのシートを敷いたベッドサイドに座らせて、二人は相対する位置で椅子に腰掛けた。
「近頃のユリアンはよそよそしい」
クロエが語り始めた。
「以前は私達を全面的に頼って甘えてくれました。なのに最近は私達に排泄も見せられないと言う始末です」
「成長して羞恥心が芽生えたんだ。人として当たり前だろ?」
「まだ12歳なのに?」
「もう12歳だよ!」
「ハンナ、どう思いますか?」
「まだ、ですね」
「ハンナまで。ハンナは味方だと思ってたのに」
「お味方ですよ。ユリアン様が命じるならば今直ぐ王宮へ赴き国王陛下の首を取って参ります。勿論ワタクシの命など何時でも差し上げますよ。理由の説明などもいりません。一言死ねと仰っていただければ死にます」
く、狂ってる。
「じゃあなんで縛るのさ?」
「ユリアン様のタメになると確信しているからでございます」
「……発案者はクロエ?」
「はい」
再びクロエへ向き直る。
「何が目的なの?」
「簡単なことです。ワタシ達の目の前であの頃のように排泄をして頂き、その処理をワタシ達がする。それだけです」
「明日は登校日だよ?」
「大丈夫だと思いますよ」
「何を根拠に?」
「もうすぐ我慢できなくなりますから」
!?
「薬?」
「さすがユリアンです」
いい顔で微笑むな!
「いつ……さっきのキスか?」
「完璧です、ユリアン。やはり貴方は素晴らしい」
この後地獄にまで堕ちるのに?
……キュル
…………キュルルルル
セルスターターが唸り始めた。
地獄への扉が開きかけている。
創造神とかいる世界なのに、救いの神は居ないというのか?
あ、オレって救世の御子だっけ?
いろいろあり過ぎて忘れかけてたわ。
グゥゥゥ……グル、キュルキュルキュル
クハァァァ! いかん!! 絶対にににににいかん!
あぁ、力むな。力を抜け。平常心だ。平常……力は……抜いたらダメだ!
がんばれ、オレの括約筋。ここを乗り切ってくれたら一生お前に感謝する、本当だ! だから……
一切の余裕がない中でなにか気になってハンナを流し見る。
大興奮中!
よく見るとよだれ出てる!
こ、コイツ。こっち系フェチかぁ!
確かにオレのア◯ルめっちゃ舐めてくるわ。
ちょっと引くくらい長い舌をグイグイと捩じ込んでくる。
そのうち前立腺裏に辿り着くんじゃないかとザワザワしてたんだよ。
あぁっ! くっそぉぉ! 限界が近付いているぅ!!
クロエは……なに? あの無表情。
こんなことしておいて無関心とか、許さない。絶対に許さないぞぉ!
……ぷぴっ。
あ……
ぶふっ、、、、むりゅりゅりゅりゅ…………………………………………
ぷぴっ。
終わってみればなんという開放感。
自由という言葉の意味を今、この瞬間、初めて知ったような気がする。
実践と実感。そして悟りに至る。
修行中の菩薩を脱して仏に至る。
解脱は今、成ったのだ。
お願いだから誰か突っ込んで。上を向いていないと涙がこぼれそうだから。
ハンナがすっくと立ち上がり、傍らに用意されていた大量の布とダストボックスを携えてオレの元へと身体を寄せてきた。
胸元を押してオレをそっと寝かせる。
そしてキレッキレの動作でオムツを外し、腰下に手を入れて持ち上げて、おしめをサササッと外して、片手で両足首を高く持ち上げてお尻を拭く……前に、じっくりと様子を眺めて鼻をヒクヒクさせ、ウットリとした表情を浮かべる。
今、絶対に逆らったり、声掛けしたらダメなやつだ。
テキパキと尻を拭き、ぬるま湯につけたタオルで仕上げ拭きして……
舐められた。
怖っ!
マジだ、コイツ、マジフェチだ!
大人しく新しいおしめとオムツを装備されて一先ず完了?
お腹は落ち着いたっぽいけど、クロエの回が終わるまで装備したままなのかな?
とか考えてたら、ぷぴっ、っと聞こえてきた。
え? いや、オレじゃないよ?
ぶふっ……ビュルルルル……
ばぶぶぶびびびっ…………………ぷぴっ。
クロエが立ち上がりオレの横へ移動し、寝転がる。
そこへ再度布やらなんやらを携えたハンナが歩み寄る。
おいおい、いくらなんでもそれはないだろ?
尊貴なるダークエルフだぞ?
破国の闇女帝だぞ?
人前で脱糞なんてあり得るのか?
……オレに飲ませた下剤はクロエからの口移しだ。当然彼女もいくらかは飲み下している。
人を呪わば穴二つか。
覚悟の上での穴入り。だって事前にオムツ装備してるし。
ハンナにオムツとおしめを外されて大人しく尻を拭かれているクロエの姿を見て思った。
こういうのは幼児の頃だけでなく、老人になって介護を受ける身になれば再び経験することになる。
謂わば人生に組み込まれたローテーションなのだと。
クロエだって数万年? くらいしたらそういうお世話になるかも知れないのだ。
ふっ、なにを追い詰められた気になっていたのやら。
小さいな、オレ。何も分かっていなかった。
視野狭窄になっていたオレの目を覚ましてくれたんだ。二人は恩人……
ハンナがクロエの尻穴を舐めている。
やっぱただのフェチじゃねーか!
危うく感化されるところだったわ。
さすがに全て出しきった感があり、「大きいほうはもう出ない」
宣言をし、昼前に小を放出してからそれをクロエが処理して手仕舞い……とはならず、今度はオレがクロエのおしめ替えをハンナに教えられながら行った。
大興奮!
見慣れていたあそこにあんなにもドキドキしてときめくなんて。
オレにも素養があるのだろうか?
翌週、学院でのトイレ同行はキッパリと断わった。
だってトイレ男女別だし。
ユリアン達の新しい扉はさらに開かれる予定です。




