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24.黒騎士誕生

会社の先輩から「お前の文章には読めない漢字が多すぎる」と指摘されました。

多分ここでもそうなのかもしれません。すいませんでした。

ここからは難読かな? と思える漢字にはルビをふるようにします。今後もヨロシクお願いします。


以前投稿分も順次付記して、読みやすくなるように補正してまいります。

会社の後輩から「文章が硬くてなろうっぽくない」と指摘されましたので……

〈ユリアン・フォン・シュワルツクロイツ〉


ガンツ工房へやって来た。3人で。

支払いはクロエがするからと言って引かない。

まぁね、地方の子爵家令息の小遣いはそんなに多くはないし、クロエの資産は大国の国家予算くらいあるそうだし、今も増え続けているから永遠に無くならないと豪語しているしで、お任せにした。


年上のパイセンに奢ってもらう弟分的立ち位置。

パイセン、その分今夜頑張るッス!

あ、今日は安息日だ。残念。

昨日前払いしたってことでヨロ。


いや、モゲかけの慰謝料?


そんなこと考えてたら奥の工房から次々と運び込まれた木箱が店舗中央に設えたテーブルの上に置かれてゆく。

野次馬と化した他の客や店員達。

えらい注目度高いなと怪訝に思っていると、最後にあの小さいおじいさんが現れた。


前回同様、クロエの前に跪き礼を取る。挨拶の口上を述べたあとこちらに向き直る。

まずはオレからご挨拶。

「ご無理を言って申し訳ありません」


少し前、ハンナから聞いたんだ。

このガンツ工房は王国一の鍛冶工房で、ガンツ本人は大陸でも3指に数えられる鍛冶職人であると。

弟子による通常のオーダーメイドでも3年待ち。主のガンツはもはや生ける伝説と化した神職人で、余程に気に入った客でないと応対すらしてもらえず、ここ数年は手慰み程度の鍋とか包丁とかを打つばかりで武器や防具一式を手掛けるのは数十年ぶりだとか。それがオレ用。マジか。

まさか対価として美少年なボクの身体を所望とか?

ダメッ! ボクにはクロエたんとハンナたんがいるからその気持ちに応えられないの。



「いくら支払えばよいか?」


「クロエ様から金を貰うなどあり得ませんな」


「そうもいくまい。お前の業前に対価を付けられないなど、エルフの沽券(こけん)にかかわる。それにワタシは吝嗇(りんしょく)と侮られたくはない」


「貴女様がどう思おうともワシは貴女様の臣下のつもりでおります。主のために腕を振るって金を得るなど末代までの恥にて」


ザ・中世!

封建の主従か?


まぁ、時代設定はその辺りだけれども。


ほっといたら明日の朝までやってそう。

そろそろツッコむか。


「ガンツさん、これらはボクのための品ですよね? であれば支払いはボクがするべきです」


それからクロエに向き直り、


「クロエ、ボクにお金を貸してくれないかな?」


そんでハンナを見て、


「剣と槍と防具一式。ガンツさん作だといくらくらいかな?」


ハンナは一頻り考えてから応える。



因みに、この世界に紙幣はない。国家信用と偽造防止技術の兼ね合いから考えて無理もない。

だから価値ある実物貨幣が流通している。

なんたら共和国とかいう鉱山を多数抱える独立国家が製作する硬貨が数多の国家で流通しているのだそうな。我が国も同様。

種類と単位は

 ・小銅貨×10枚=銅貨1枚

 ・銅貨×10枚=銀貨1枚

 ・銀貨×10枚=金貨1枚

 ・金貨×10枚=大金貨1枚

となる。

領にいたころは貴族だからと買い物なんてさせてもらえなかったけど、王都にきてからはちょくちょくショッピングに出かける。

その実感としては金貨が1万円くらいかな。金額の呼び方は各国でいくらか異なるらしいが、ここヴァン・ヘルムート王国ではマルクだ。ドイツじゃん。名づけも概ねそうだし。でもクロエはフランスっぽいな。



「表現としては『城が買える』金額かと。ワタクシは城の金額など存じませんが、知り合いの男爵家創始の際に領地を望むならば最低限の支度金が大金貨2,000枚だと聞いたことがございます。その内の半額を居城に投資するものと仮定し、その上で強いて申し上げれば大金貨1,000枚ほどでしょうか」


話し方が理路整然としていて、なんとなく納得させられる説得力。

でもホントはあくまでも私見、想像の類。

クロエをちらりと見るとウンウンと頷いている。


さすがハンナ推しのクロエ。

どさくさに紛れてキスしてたりするしね。


ん? 大金貨1,000枚……1億円!? 国宝か!!


するとガンツさんが色めき立って、


「旦那様、貴方からも受け取れません!」


金額否定ではないのね。

ってことは適正か或いは低いくらいか。


ってか、旦那様て。


「ガンツさん。貴方とクロエとの間にどんな関わりがあってどのような恩を受けたのかボクは知りません。それは知り合ったのがほんのひと月前だからで、つまりボクとガンツさんとの関わりはこれから始まる真っ白な間柄なのです。それなのに知り合いの知り合いというだけで貴重な品を無料で提供され、ただ受け取るのでは貴族としての名誉に傷が付きかねません。父にも叱られるでしょう。どうかこの若僧の顔を立てると思し召して正当な対価をお受取りくださいませんか?」


長台詞!


頑固ジジイが両手拳を握りしめ唸っている。

もうひと押し。


「クロエのレイピアの手入れも請負っておられましたよね? そちらは無料ということでいかがでしょう」


困り顔を向けてくる。

もう落ちるな。


「ハンナはどんな武器を使うの?」


「ワタクシですか? ショートソードを2本とスローイングナイフ数本ですね」


「図々しいかとは思いますが、今いった装備もサービスしていただけますか?」


斜め下を見据えながらガンツが呟く。


「これからもおいで頂けますか?」


にっこり笑って、


「勿論です。クロエと共に伺いますよ。お茶とお菓子の用意をお願いしますね」


やっとガンツが笑顔を見せた。

落ちた。


金は後日クロエの代理人が持参することに決まり、兎にも角にもブツを見ようということになり木箱の蓋を開けた。


最初に頭に浮かんだのは「マジか」だ。

剣の刃はキラキラ輝くのではなく鈍色の黒。

槍も。そして防具一式も全て艶消しの黒一色だ。


「ブラックナイト、黒騎士か」


と独りごちる。


一先ずは装着されては? と勧められ、クロエとハンナに手伝って貰って身に付けた。何かの付与が為されているらしく、軽いというより重量感がまるでない。しかもフィジカルアップしている実感がある。

なによりも驚くのは一切の締め付けや可撓域の阻害がないこと、そして音がしない。

そう、歩いても腕を振ってもガチャガチャ音がしないんだ。

これってすごくない?


腰にロングソードを装着し。さらに槍を持つ。中庭に試し斬りの用意があると言うのでそちらへ移動。

ギャラリーも一緒に移動。


巻藁とかではなく、直径20cmくらいの丸太が5本地面に突き立っていた。

あと厚みがありそうな1m四方くらいの鉄板も。

先ずは槍をどうぞと鉄板を指し示された。

柄を両手で引き絞る。腰を落としてタメをつくり、5mほどの距離を一気に踏み込み槍を突き出す。

ほぼ抵抗なく鉄板を突き抜けた穂先を引き戻し、連続して突きと引き戻しを繰り返して20回で円形に突き穴を作り出す。

最後に残った円形頂部の接続部を槍で突くと多角形の円盤みたいになった鉄板のパーツがかたんと落ちた。


スゲェ槍だ。マジか。厚み20mmはある鉄板をこんなにしちゃうなんて。

周りもざわついている。

ガンツも驚愕の表情だ。


いや、アンタが作ったんだよ。自分で打って驚くとか。

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