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21.ハンナ・フェルナー

〈ハンナ・フェルナー〉


30歳にして処女喪失を果たしました。


クロエ様からユリアン様と関係を持ってはどうかと勧められた時は余りにも思いがけないことで、激しく気が動転してしまった。


「あのクロエ様」が自分以外の女をユリアン様に触れさせるなど絶対に有り得ないこと。

その有り得ないことをご自身からワタクシに勧めてくるなんて、何かの罠か、からかわれておられるのかと勘繰らずにはおられません。

しかし、具体的な段取りなども併せてご説明いただくうちに本気なのだと理解しました。


そしてワタクシ自身はどうしたいのかと改めて聞かれました。



主家のご嫡男に性の手解きをする侍女の話など耳にしたこともごさいますが、ワタクシは生憎まぐわいは未体験の処女でごさいます。

しかもユリアン様はすでにクロエ様という得難い伴侶を迎えられ、夫婦の営みを既に高頻度で熟されておられます。

そこでワタクシが果たせる役割りはないと断言できましょう。


しかし、クロエ様の問いかけは「ワタクシがどうしたいか」です。

…………したいです。



ユリアン様が赤ん坊のみぎりから乳母不在の折にはミルクをあげたり、排泄物の処理、お着替えなど、お忙しい奥様に代わりワタクシが一番ユリアン様に寄り添って参ったのです。

勿論乳母としてヒルダさんもおられましたが、いつだってユリアン様のお側にはワタクシが侍り続けて参ったのです。


だからでしょう、ユリアン様がお産まれになった直後から一個の人格をお持ちであると感じ取り、以来お話しをたくさんいたしました。

発音が未熟なため返事は曖昧なものでしたが、ワタクシのお話しは理解なさっておられるようでした。

やがて首がすわってくると首を縦か横に振って問い掛けに対する正否を意思表示できるようになられました。

当時、ワタクシだけが知っている秘密でした。

それともう一つ、ユリアン様には秘密があります。


凄くよい匂いがするのです。

それは花や香草のような嗜好性なものではなく、ワタクシの女としての根源に触れてくる、そう、言うなれば魅惑の香りを放つオスの匂いです。

ユリアン様は既に自我をお持ちです。直に匂いを嗅ぐのは不敬に当たります。


幸い、ユリアン様のお召し物の洗濯などもワタクシの仕事でしたから、自室でこっそりと衣類の匂いをかいで自分を慰めていました。

ユリアン様がハッキリとお言葉を口にされて大騒ぎになった少し後、クロエ様がやってきました。

同性のワタクシがつい見惚れてしまうほど美しいダークエルフのお方で、ユリアン様に魔法や勉強を教えて、お世話もされるそうです。

クロエ様が任に就いてから1週間後くらいでしたか、ワタクシにも頻繁に話し掛けてくるようになりました。

そしてユリアン様の匂いの話しとなり、お互いが同好の士であることを知りました。

因みに、クロエ様からも良い匂いがします。


それから約5年、幸福な日々が続きましたが、クロエ様は契約期間満了を持って子爵家を離れてしまいました。

ただ、ワタクシには「5、6年後には戻ってきます」と言い残していきました。

それから約5年、10人を超える男達から結婚の申し込みがありましたが、ユリアン様からは離れがたく、全てお断りしました。



ワタクシは元々は騎士爵の家の子女です。小さな頃から武門の子として手解きを受けて、戦えるメイドとして雇用された身です。


ユリアン様付きとされ、やがて侍女へと引き上げていただき、このまま枯れ果てるまでユリアン様にお仕えするのだと心に定めたものですが、ある日、突如飛竜に乗って再訪されたクロエ様は不穏な雰囲気で旦那様と相対しておられました。


あの余裕のなさに、ひょっとしたらという考えが浮かびます。

あの方は5年ものあいだあんなに大好きだったユリアン様から離れていたのです。絶対にアレが不足しているはず。

気がつくと旦那様へ慄然とした顔を向けるクロエ様の腕を取って走り出していました。


侍女になってから与えられたワタクシの個室へ大急ぎで飛び込みます。

放心状態のクロエ様から手を離し、隠しモノ用の細工を施したストッカーからコツコツと収集した宝物の一つを取り出しクロエ様の鼻先へ差出しました。

それを両手で包み込むようにして顔を埋めて無心に匂いを嗅いでいます。

足元が覚束ないくらい嗅覚へ集中しているのがあぶなっかしくて、背後に椅子をあてがい座らせます。

すると即座に自慰を始めるのですが、あまりに本能的で手が上手く動いていないようです。

ワタクシはここに至り最後までお世話するのもあの頃のご恩返しと思い定めてお手伝いすることにしたのです。


クロエ様からはユリアン様ほどではないものの、とても良い匂いがします。その匂いを嗅ぎながらのお手伝いは少し興奮しました。

数時間に及んだクロエ様の自慰が終わった頃には利き手が痙攣して動かなくなってしまっていました。

そしてクロエ様の秘部から溢れ出た蜜により指先から肘まですっかり濡れてしまいました。


正気となったクロエ様にはワタクシの下着などに着替えていただき、その夜はワタクシの狭いベッドで並んで寝ました。

やはりクロエ様は良い匂いがします。

その夜はその後も忘れられない夜となりました。


多分、クロエ様はそうした出来事に対して負い目なのか感謝なのかはわかりかねますが、恩を返そうとお考えなのでしょう。

そしてこの申し出は踏み出さねば終わりの最後の機会。


一時期は母性を以て慈しんだ愛しい赤ん坊であった人を、恐らくは歪んでいるであろう性欲の捌け口としてしまってよいものか。

30歳のワタクシにはもはや嫁ぎ先などない。しかしそれは自分で選んだ道です。

この先もお仕えし続けるために戦闘力は維持できても女としては枯れていく一方。いったいどうしたらよいのか。

捧げる、処女を? 30歳の?

遣り方がわからないから12歳のユリアン様に我が身を委ねる?

どうしたいのか?

可愛いユリアン様を性欲の捌け口に?

ワタクシは……


そうなのだ。ワタクシはユリアン様に抱かれたいのではなく、抱きたいのだ。

匂いを直に嗅いで満喫し、ずっと妄想してきた愛撫をしたいのだ。

この先身体は劣化するばかり。まだ体型は維持出来ていますが。

いくなら早いうちがよい。

そしてできるならば……ユリアン様の子種を頂戴してもう一度赤ん坊からお世話をしたい。

主に下の。


「クロエ様。お願いいたします」



終始ユリアン様はワタクシに優しく触れてくれました。

子種だって何度も注いで下さりました。

ワタクシはユリアン様に破瓜され女にして頂いたのです。

ユリアン様の二人目の女。

なんと甘美なることか。


それに、どのような形であれ、またユリアン様のお下のお世話ができるなんて夢のようです。

二人目の変態です。

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