表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/283

13.護身のためにできること

〈ユリアン・フォン・シュワルツクロイツ〉


食堂のなかへ入り席に着く。クロエとは向かい合わせだ。


いつの間にか心が平静になった。さっきまでの変な思考は鳴りを潜めてクリアな状態に。

なんだったんだ? あれ。


ともあれ今更ながら空腹感がすごい。

二食抜いてあの激しい運動をしてさらに半日だもの。

半分ほど食べすすめたところでクロエから話しかけられた。


「昨日はごめんなさい」


「ん? まぁ、うん。」


「身体はなんともない?」


「今は大丈夫ですよ。それに途中からクロエ様、癒しの魔力を何回もボクに流してくれてましたよね」


「あぁ、あれは癒しではないですよ」


「え? 違うのですか?」


「えぇ、回生の術です」


「回生?」


「精力の回生ですね」


「…………始めて聞く術ですが」


「ワタシも良くは覚えていないのですが、多分10回目以降に……ユリアンの回復力が萎えてきたので……確かまだ薄っすらと明るい時間帯くらいに使い始めて、深夜まで何回使ったのか覚えていませんわ。そうですか、癒しの効果もあったのですね」


ひょっとしたら始めて見たかもしれないクロエの満面の笑みに戦慄した。


「…………痛かったです」


「え?」


「あそこが、多分使われすぎて痛かったです」


笑顔のままクロエがフリーズする。


「下腹部全体に鈍痛があって、休ませて欲しくても手放してくれなくて、いくらお願いしても口で口を塞がれて無理やり黙らされて……」


給仕をしているハンナが目を見開いてオレを、そしてクロエをみる。まるで何か信じられないモノでも見るように。


「……怖かった」


クロエはまだフリーズしたままだ。

このまま畳み掛ける。

生き残る為に。ノーセックスデーを勝ち取る為に。そして回数制限と時間制限の制約を得る為に。

この支配からの卒業? するために。


「クロエ様は好きです。でも昨日のクロエ様は……嫌いです」


クロエが椅子から崩れ落ちた。そしてそのまま床にへたり込むと動かなくなった。

あれ?

どうしちゃったのかな?

ハンナが恐る恐るといった具合いに近寄り、クロエの顎下に手を入れて持ち上げ顔をあげさせた。

白目剥いてるし。

口からはよだれがこぼれて、まぁ、あれだ、失神してるね。これは。

うーん、オレの片想いなんてたかが知れたもんだけど、昨日から今朝にかけての彼女の様子から鑑みるに彼女からオレに向けられた想いってのは超重量級なのだろう。

その重力に骨まで押し潰されそうなヤツ。


クロエを自室のベッドへ寝かせる。

椅子に腰掛け彼女の寝顔? を眺める。

黄金比という言葉があるが、そうした表現に照らしてしまいたくなるほどに整った顔立ちだ。

浅黒の肌は離れて見ていてもキメ細やかな張りのある滑らかな美しさだ。

その肌を彩るように白銀に煌めく豪奢なプラチナブロンドは腰のあたりまで真っ直ぐに伸びており、神々しいほどの立ち姿を際立たせる。


まぁ、今は失神中だけど。

鼻すじがとおっており、絶妙なサイズ感で顔面のシンメトリーを保証している。

凛々しくも形のよい眉の下には今は閉じられた瞼に長く伸びた白銀色のまつ毛が並ぶ。

もし瞼を開いたならそこにはガラス細工のようなエメラルドカラーのつぶらなひとみが待ち受ける。

この瞳に見つめられるだけで男女問わず心奪われるだろう。


そしてどんな小鳥のさえずりよりも耳に心地よい声を生み出すその唇は鮮やかな発色に包まれたプルリとした、それでいて凛々しさを湛えた、相対する者によってその趣と印象を変化せしめる不奪の至宝。

まぁ、オレのだけど。


無遠慮かつどストレートに言って『絶世の美女』で『至高の麗人』だ。

もっといけるけどきりがないからこの辺で勘弁だ。

今生でこの女に童貞切って貰えたことは生涯の自慢だな。

初めて死を意識させられた記憶とセットだけれども。


さて、ほぼ確実にこの女はオレを手放さないし何時だってオレの側にいる、或いはオレを側に置く。

そしてオレは謎の存在『救世の御子』だ。

そんなオレに目を付け引き込もうと画策しているのは2大宗教勢力。オレの日常にはまだ絡んでこないけど、既に暗躍しているらしい。


父はオレを保護するためのよすがとして現在の爺さんだけでは足りないと考えていて、国を、もっと具体的に言うなら王家を後ろ盾にしようと考えているのだろう。

父の学院推しはそこでの人脈作りに励めとのことと理解している。

これには爺さんも賛成なのだろう。

なんなら爺さんの発案説もあるか。

でもね、クロエがオレに侍り続けるなら他の護衛とか守護勢力とか、もういらないんじゃないのかな。

オレ自身も人外レベルに強くなったし。


いやいや、調子にのってはいかんな。

上には上がいることを昨日骨身に叩き込まれたばかりだろ。

冗談抜きで怖かったし。過剰な程の身体強化を何度も重ね掛けして、癒しも常時発動しっぱなしでなんとか乗り切ったんだから。

実際鋤骨や骨盤を5回骨折して、内蔵は多分どこかしらが8回は潰されてる。

チ〇コは複数回モゲかけたし。

そんな恐怖と生命の危機の最中にも勃起できる我が精神力と精力の凄さよ。いや、まさかのMか?



うん。オレとクロエのペアならどこへでも行けるし、誰にも止められないだろうさ。

ま、学院くらい行ってもいいか。

そろそろ王都へ移行します。


本作にお付き合いいただけそうならばブックマークとご感想を是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ