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12.クロエの場合③

〈クロエ・ルセル〉


考えが極まってきたところでユリアンの呼吸が変わった。目醒めたようだ。


すると躊躇いなくワタシの乳首を口に含んで吸っている、


「ん…」


思わず声がでる。


なんということでしょう!


絶対に避けられ嫌われて排除されるとの考えは誤りで、彼はあれだけのことをしたワタシを赦し、さらに求めてくれるだなんて。


なんという器の大きさ、なんという慈愛、ユアハイネス。我が誇りたる君よ。

やはりワタシは全てを貴方に捧げよう。そして貴方の欲求を全身全霊を以て満たすと新たに誓おう。

今度は優しく丁寧に。ワタシは前例に学べる女だ。

11歳の手折れそうに繊細な幼子を今度こそ慈しみをもって包み込むのだ。

そして淫らに愛でるのだ。


それから小一時間ほど掛けてじっくりと、しっとりと、隅々まで、改めて我が愛し子を味わい尽くした。


その後は隣室に控えていたらしいハンナに頼んで浴室の用意をしてもらい2人で湯浴みをした。

もう一度ユリアンの身体を確認したがやはり怪我や痣などはない。

かなり鍛えたのだろう。この歳で若年のドラゴンより頑強な身体を作り上げた努力と研鑽には頭が下がる。

ホントに良かった。生きてて。

彼の武術の師にもなにか褒美を与えなければ。


身も心も満たされたワタシはその精神だけならば大魔導士を凌駕し賢者に至ったようなものだ。

明鏡止水の境地に、何事にも動じぬ剛健なる精神がともに我が内にある。

心も身体も通じ合ったユリアンとの間には最早些事たる言葉すら不要。

ただ共にある、それだけでよいのだ。

いや、それがよい。

なので無言でユリアンに付き従う。

服を着替えてから子爵の執務室へ共にゆく。


そこでは既に話し合われ決定されたことの再確認が成された。

ユリアンには初耳な事柄もあっただろうけど。

部屋が同室とかは有無を言わせない。

学院に行かずに廃嫡をと申し出たユリアン。学院にはユリアンに集りそうな害虫共をまとめて退治するために是非とも同行する旨、子爵には言い含めてあるので取り決めに従った展開になる様、ユリアンを諭している。

なかなか出来る男だな、さすがお義父様。


ユリアンが子爵家を出て独立するのならむしろその方が良い。

中人族の貴族などエルフからしたらなんの価値もない。

それよりもワタシと世界を旅して周るのだ。

同じ景色を眺め、同じ歓びと苦しみを負って、共に塵と成り果てるまでの真実の旅を。

2人ならできる。


だがそれもユリアンが成人してからだ。

不老化の秘法はいつでも施せるが、身体が最も成熟した頃に照準したほうが良いだろう。

だから今は鍛錬と研鑽を積み増しながら世代の身内達と日常を過ごせばよいのだ。

100年と経たずに会えなくなるのだから。

その代わりにワタシがいつまでも連れ添う。だからユリアンは孤独にはならない。

死後も連れ添う予定だし。


子爵の元を辞するときユリアンからごく小さな腹の鳴る音が聞こえた。

そういえば二食抜いていたな。

魂が通じ合っているはずのワタシ達ではあるが、気持ちは通じても固有名詞や動詞、助動詞などは通じない。

方法はある。念話だ。

エルフや有角族辺りは使えるのだが中人族では存在すら伝わっていないはずの魔導レベルの技術だ。

今度教えよう。

でも今は


「お食事にしない?」


と、微笑とともに語りかけてみた。

ユリアンは素っ気なく返答してから通りかかった家人に昼食の用意を申し付けていた。

希少なはずのワタシの微笑をスルーするユリアン。その不動の魂にはやはり大器を感じざるを得ない。

……素敵。


食事の準備が整うまでスイートルームで待機することになった。

テーブルセットの椅子に座るユリアン。ワタシは二人掛けのソファにやや半身になりながら背筋を伸ばして座る。2人の距離は3メートルほどか。


あのただひたすらに可愛らしい幼子が……自分で言うのも何だが劣情の化け物と化して野獣の如き破壊力もそのままに襲いかかったワタシを魂が浄化される程に満足させたうえに自信を持って放った微笑も跳ね除け平常心でエスコートまでしてくれる。

素敵。


そんな彼と目があった。慌てて視線を逸らしてしまった。

いや、なんか恥ずかしい。

でもやっぱり大好きな彼を目で追ってしまう。だってこれはワタシの本能だもの。

やっぱり素敵。

あ、また目があっちゃった。再び視線を逸らす。今度は斜め上方。

2秒と待たずにまた見たくなって……………………………

これを18回繰り返したところで食事の呼びかけが掛かった。


彼の後ろに控えつつ廊下を歩く。

本気で移動すれば数秒でたどり着く道程をゆっくりと時間を掛けて歩いていく。

ユリアンの後ろ姿を見つめながら。

成長し、比類なく素敵になったユリアンはやっぱり背中も素敵だ。

あぁ、このまま後ろから抱きついて胸を、股間をまさぐってそのまま始めてしまいたい。ダメかな?

いいよね?

だってユリアンの器は凄まじく大きいもの。ワタシの可愛いワガママなんて鼻で笑って赦してくれるはず。

そして食事よりもワタシを欲しがってくれるはず。

今朝のように。


さぁ……って、いけない、いけない。うっかり闇系の精神干渉魔導の魔力が漏れ出てる。

長老対策で待機状態にして使わずそのまま忘れていた術式が誤作動してしまっている。

レジストできない中人族なら精神錯乱起こすレベルの魔力が……ま、ユリアンなら平気か。


今も泰然として歩いてるし。

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