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103.そは神の祝福か

〈ユリアン・エルフィネス・ルセル〉


もうね、国王だって身バレしているのに女装して属国の晩餐会にへっちゃらで参加するオレ。


勿論へっちゃらなんかではない。かなりの葛藤(かっとう)はあった。

でもね、同時にその葛藤が無駄だとも認識している。


はぁ、そして実地の歌唱テスト。まぁ、ウケは良さそうだ。多分。

あんな呆気に取られた顔されたら実際の処は分かりゃしない。

でも過去の経験上ではオッケーだと判断できる。



部屋へ引き上げて部屋着に「久しぶりに」着替えて、お触りなしで落ち着いて読書。

マジか。なんて優雅なひととき。ものすごい充実感だ。

読書を終え、ベッドへ。端っこに横になっていたらクロエが来て真ん中へ移動させられた。

く、来るか? と、身構えたが、大丈夫だった。

バンザイさせられて両サイドから脇の匂い嗅がれているけれど、お触りはない。


うんうん、いーよ、匂いはただだし。好きなだけ嗅ぐがいいさ。


さあ、明日は模擬戦だ。早く寝て体調を整えよう。

おやすみ〜



翌朝。オレを除く7人の激しいバトルの跡が……よく起きなかったな。オレ。


『わたしが入れ替わってたからだよ』


『あ、そういう……サンキュー』


『すごかったわよ、この子達』


『見ればわかるよ。ん? ルサールカは寝てただけ?』


『クラウディア対応』


『あ、お疲れ様。聖剣は?』


『使ってない。規則違反らしいよ?』


『ハハハ、そーかー。自主的な取り決めは守るのか』


『あれ? ヘルガがいない』


『あの子はみんなの掛けられて床で寝てる』


『可哀想が過ぎる!』


『ハンナに後ろばかり掘られて……なんか目覚めたらしいわ』


『可愛いヘルガになんてことを……』


『あとはベアトリクスが凄かったわ』


『……誰が犠牲に?』


『3人娘全員』


『どのような?』


『やめないのよ、ずっと。みんな狂ったように……助けを求めて叫んでいたわ』


『誰か助けなかったのか?』


『他は他で……忙しいというか』


『ルサールカ、オレに安眠を有難う』


『どういたしまして』


さてと、起きるか。


オレが動き出すとハンナとクロエが目を覚まし、朝の湯浴みへと向かう。

部屋に戻ると他の子達も起き出してきた。取り敢えず湯浴みに行かせる。


それぞれ互いに手伝いながら身支度をし、食堂へ。

朝食を頂きながら姫の恨み言をツラツラと聞かされ、お茶を頂く。


一度部屋へと戻り、黒騎士装備に。

ヘルガも魔道士装備をして、ギルドへと出かけた。



9時30分頃ハンターギルド到着。

ギルドマスターに伴われて修練場へ。

そこには変態剣士ジュスカ・ラルクがいた。

え、どうやって追いついた?

寄り道したとはいえ空路のオレ達に追いつくわけが……海路か?

あり得る。


ジュスカは慇懃(いんぎん)な礼を取り挨拶をしてきた。


「二度目となりますね。陛下。私が貴方様の試験官となります。ジュスカ・ラルクと申します」


「そうだね、二度目だね。ところでこの街までの移動が早すぎない?」


「風属性が得意な魔導士が操船する高速船に乗りました。昨日着きましたよ」


そんな便利な船があるんだ。勉強になるなぁ。


「それにしても陛下はお人が悪い」


「ん? 何がだい?」


「陛下が男性だったなんて」


ゾッ!!


うぁぁぁぁぁ…………怖気が奔った!

コイツ、目、目が!

完全にロックオンしている!!


「ユリアン、殺しましょうか?」


クロエ? それは……有りだな。


「い、一応模擬戦してから。ね」


「陛下。私はそちらの戦闘侍女にはしてやられましたが、陛下にお仕えし、騎士としてお側仕えする分には私は優良なる人材かと。その自負も御座います。模擬戦でご判断頂き、是非配下へ迎えて頂きたいと」


「人材は間に合ってるよ」


「男同士だからこそ分かり合えることも御座いましょう」


ねえよ!

お前とはな。


よし、さっさと終わらせよう。


「ギルドマスター、開始を」


「身体の慣らしなどは……」


「不要です」


「私が柔軟運動の手伝いを……」


「不要だと言っている」


「それでは、ルールの説明を。

・模擬戦であり、生命の取合いは禁止

・修練場の外へは出ない

・魔導、魔術は範囲術式使用禁止

・私の停止合図に従う

以上、必ず厳守。双方よいか?」


「「承知」」


うわ、被った。


「それでは、開始!」


5mほどの間合いから瞬動で一直線に突っ込んでくる変態。

……真正面、半径50cmほどの範囲にくまなく常人には見えない槍突きを展開した。

正面から突っ込んでくるヤツからは更に見えにくいだろう。


と、飛んだ。圧縮水。斬った。

けど軌道は変わらず。

ドゴォ!

ヒュ〜、ベタン。


…………死んでないよな?


終始動きは見えていたし、瞬殺できたろうけど一応剣技を検分しようかと軽く相手してたのに、上に飛んじゃダメだろ。ただの的じゃん。


「ギルドマスター、これってどうなんでしょうか。あんまり戦った気がしないのですが?」


「あ、いや、見応えはありましたが……元々頼んであった特級ハンターと戦いますか?」


「はい」


「……あ、すいません。逃げたみたいですね」


「……もういいです」


「ではヘルガ様の模擬戦をやりましょうか」


ネクストステージへ。

ヘルガの相手は特級のハンターで、魔導士だそうだ。

しかも擬似魔力無効化持ちだとか。


もう、見えたな。


「模擬戦、開始!」


キュィィィィィ……ツィン!


「ぐがぁ! バカな? 突き抜けるだと!? や、まて、待って、負けだ! 降参する!!」


そりゃあね。本物もやっつけてんのに擬似じゃあね。

分岐なしの一本で楽勝だった。


「こんなの聞いてない! 見たことないよあんな術式。絶対大魔導士とかだろ? あの子。模擬戦でこんな……うわぁ、手に穴開いてる!」


治癒をかけてあげた。


「あ、どうも」


その後、3人で講習を受けた。「数百年ぶりだから」という極級ハンターと一緒に。

オレもヘルガも上級スタートということになった。どんなに強くても上級からなんだってさ。

初級からだとどんなに早くても上級まで5年はかかるそうなんで、だいぶお得だ。

父も家を継ぐために上級までで引退してるしな。

そういやあ、ハインツさん元気かな? 11歳までのオレの特級師匠。

本職は領の兵士だから実家へ行けば会えるだろうけど。


かなり端折(はしょ)ったらしい講習を終えたらもう夕刻。

今夜も選王の城でお世話になることが決まっている。ただし、今夜は来客を受け付けず。

そして明日は出立だ。


今夜はクロエ達、たっての頼みで、湯浴みは翌朝となり、食事してお茶して、読書して、寝た。


もはやアチラ方面では超人と言ってよい精力を持つオレだ。実は少し……いや、かなり溜まっている。

だがしかし、憧れのレス2連泊。いや、可能なら3連泊を決めてみたい。

試されているのはクロエ達だけではない。オレ自身の忍耐力をも試されているのだ!



翌朝。

いや、人んちのベッドルーム、よくもここまで散らかせるな。

いったいどんなプレイをしたらこんな……いや、こんなもんか。


自身が参加していないと実感がないだけで、普段からこんなものだな、うん。


でもまぁ、人んち……


『……おはようユリアン』


『おう、おはよう。なんか疲れてね?』


『うん、昨日はかなりハードだった』


『え? 参加したのか?』


『いいえ。ただね、見ていて欲しいって言われて……もぅ、心を病みそうな痴態を散々見せつけられて……あれってさ、ユリアンの妻達なんだよね?』


『……そんな……でも普段からオカシイじゃん? こいつ等。今更……』


『言っておくね、ユリアンは3連泊? とか考えているけどさ、今夜もほっといたら……ホントに気がふれるかもしれないよ?』


『2連が限界?』


『2連もヤバい。クロエがもう少しでクラウディア殺っちゃうとこだった』


『加減! 出来なかったカンジ?』


『……うん』



そして全員無言の起床を迎える。

怖い……


クロエは昔のように表情が抜け落ちている。


ハンナは殺人鬼のような澱んだ、濁った目を……


エイダは口元だけが嗤っている。嗤っている。嗤って……


ヘルガは……この子、無表情とか出来たんだ。ダメだよ。この子にこんな顔させちゃあ。


クラウディアは口元に冷笑を浮かべている? これは……サディストの冷笑だ。180°転換しちまったのか?


マグダとベアトリクスはさ、妻でもないじゃん。それなのに……元々の無表情を見せられて、何故オレが心を痛めなきゃならんのか?



「みんな、おはよう」


「「「「「「「…………」」」」」」」


これまでか。


「2日間休めたお陰でずっと抱えていた下腹部の鈍痛(どんつう)がスッカリ引いたよ。今夜は宜しくね」



ウォォォォ……!


暗雲の切れ間から陽光が降り注ぎ、世界が祝福を受け歓喜に満ち溢れている!


幻視ではない、今まさに目の前の人々が祝福を受け取ったのだ。

その瞬間に立ち会ってしまったのだ!


花が咲くとはこういうことか。



こうも求められると……割と嬉しい……かな。



マグダ、本気の笑顔はそれなんだね。

みんなが可愛い。



朝食をいただき、支度をする。


「姫、2泊もお世話になったね。有難う」


「いえ、本来は生命をお助け頂いた御礼です。まだ足りないくらいですわ」


「いやいや、充分ですよ。またお会いすることもあるでしょう、その際にいくらかでもお返しをしたいものです」


「そうですか……それでは抱いて下さい」


「性的なのはなしで」


「わたくしは……わたくしはユリアン様に破瓜されるまで処女を貫きます!」


「……脅さないで下さい」


「本気です」


「……それでは名残り惜しいですが、これにて失礼いたします」


ソラに魔力注入をする。


「今日の魔力、スゴく美味しい」


「おや? 言葉がまた流暢になったね?」


「うん、さっきの魔力でまた進化したみたい。スゴく美味しい魔力だね」


「ソラってさ、男の子? 女の子? なんか話し方が女の子っぽい」


「多分女の子。だってユリアンのこと大好きだもの」


「妻はこれ以上は……」


「ぼくは眷属になるの。たまに注いでくれれば満足だよ」


何をだよ? 注ぐ? 魔力だよな?


そのうち人間の女の子に変化(へんげ)とかしたりして。質量保存の法則無視して。

ファンタジーだよなぁ。



そして飛び立った。


海を渡りキリシア選王国へ向けて。

濁音取っただけ。

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