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101.断腸の思い

〈クロエ・ルセル〉


以前にもありました。

あれは確かユリアン、ハンナと共に初めて帝国へ入り込み、住民が皆殺しになったあの街に立ち寄ったあとです。

翌朝にした際、スゴく気持ちのよいまぐわいでした。

あれと同じ、いえ、あれ以上に満たされた……


普段との違いは何でしょう?


あの時と今回。


…………強いて挙げるならば、ユリアンから求めてのまぐわい?


今回は睡眠中、何らの外的刺激なしに自ずから起立し、あまつさえ射精にまで至っている。

ワタシ達からの求めに応じるのではなく、ユリアン自身の気分がノッての射精。それを受けるだけで、そう、運動による施しなしに途轍もない満足と幸福感が(もたら)された。


たった一回の射精を受けただけなのに。

しかも口にしたソレはとても美味に感じた。


ワタシは……なにかとんでもない間違いを今迄犯し続けてきたのではないだろうか?


ユリアンからその気にさせ、求められてのまぐわいならば毎回アノ幸福感が得られる?


ユリアンにも散々言われてきたではないか。「もっと休ませて欲しい」と。我々は求め過ぎたのか……


娘達を見回す。

今朝までの異常な回数を熟したユリアンへの満足度はかなりなものであった。

しかし、各々一回ずつに過ぎない先ほどのまぐわいに対する満足度はそれを凌駕するように見える。

いや、確実にそうであろう。


一度皆で話し合おう。

体制の大変革が必要かもしれないのだから。



そんな事をボンヤリと考えていると、ユリアンが魔獣に襲われている一行を見つけ、助けることに。

巨大な蛇の魔獣はソラに握り潰され絶命した。

ソラはドラゴンですからね。蛇如きでは相手にもなりません。


優しいユリアンは生き残りを街へ運んでやります。

そこで御礼にと歓待の申し出を受けました。


うむ、良いタイミングです。

ワタシの仮説をここで証明出来るか検証してみましょう。

そのためには、ユリアンを排した話し合いの場が必要です。


「ユリアン、受けましょう」


「え? でも休校期間が……」


「それの遵守は最優先事項ではありませんよ?」


「でも学院長が……」


「問題ありません」


「…………何が目的?」


「重大事案の発生に伴う女達による会議の開催です」


「……ボクは出なくていいんだね?」


「ええ、ルサールカも……いえ、ルサールカ。貴女も会議に出なさい」


「わたし? ユリアンに筒抜けになるよ?」


「構いません」


ユリアンが選王の姫の申し出を受け、イスミルの街へと入りました。



兵士へ従者達の亡骸回収を命じて、直ぐに用意された馬車へ乗り込みます。

ソラは上空待機ですね。

あとで城内の修練場へ誘導するとのことです。


選王は不在だそうで、関わり合いにならないという予定は一応果たせましたが……


「ユリアン様は……陛下でいらっしゃいますよね?」


「……何故?」


「飛竜に乗り、ダークエルフ様と側妃様を伴い……ドライリッターそのものではないですか。聞き及ぶ風体にも合致しておりますし」


「……ただの旅の……女の子たちの護衛です」


「それはご無理が……」


「護衛です。ただのユリアンです」


「……ではユリアン様。そこにわたくしが加わることは……」


「無理です」


「何故でしょう?」


「絶対に無理です」


「では、こちらに滞在中だけでも……」


「あり得ません。もう……無理なのです」


中々に粘るな、小娘。歳はユリアンよりやや上くらいか?

嫁ぎ先も決まっておろうに。


それにしても、ユリアンの拒絶が強めだな。かなり煮詰まっているか?

やはり体制を見直さねばならんな。

我らの幸福感のためにも。


「娘、もうよかろう。これほどに強く拒絶されておるのだ、諦めよ」


「…………父が政略結婚を企図しております。わたくしと陛下の……」


「ユリアンが目指す国家運営に政略結婚は何も()するものがない。それにユリアンの妻たるもの、なにかしらの頭抜けた才を持つ者ばかり。ただ見目の良いだけの娘など、女装したユリアンにも劣る」


「……女装された……陛下?」


む? 目に光が?


「是非拝見致したく!」


「晩餐まで待て。一宿一飯の礼として披露しよ……」


「クロエ!? ダメだよ? 何勝手に決めてるの?」


「ユリアン、今夜はユリアンが建国フェスとやらで皆で歌おうとしているあの合唱をこの娘に聞かせてやろうではありませんか」


「それは構わないけど……女装とはなんの関係もないよね?」


「揃いの衣装」


「確かに案はあったけど、ま、まだ出来てないだろ?」


「それ用ではないけれど揃いの衣装は作ったではありませんか」


「あ、あれは……いくらなんでも」


「良い予行演習となりましょう」


「……姫、湯浴みは出来ますか?」


「はい、勿論です。すぐにご用意を致しますね」


なっ! 湯浴みだと?


「ユリアン、まだ早いですよ?」


「なんか話し合いするんでしょ? ボクは浴室でユックリさせてもらうよ」


二兎を追うものは……


「姫よ、会議用の部屋を用意出来るか?」


「勿論です」


ここで()む無くユリアンと分かれた。




「まだ推測の域を出ないが、ユリアンが心から求めたまぐわいには我々にも多大な満足と幸福感を(もたら)すのではないかと考え至った。そこでルサールカよ、お前に問いたい。先刻、お前はユリアンに憑依(ひょうい)していた。そこで……なにがあった?」


「ユリアンに求められてしたわよ?」


「くっ、うむ。それは……10回か?」


「うん、それくらい。魂で繋がりながらだから……スゴく気持ちよかった……うん。気持ちよかったの」


魂だと? 比喩ではなかろう。くそぉ、いずれはワタシとて……


「終始ユリアンが求めたのだな?」


「うん、ま、お互い様だけどね」


先回のあの時は恐らくは皆殺しされる民を気にかけながら、ワタシ達に抱擁と温もりを求めたのだろう。


今回は魂の一部を分け合った眷属とのまぐわいに過剰なほどの快楽を得たことによるものか。


であれば、ワタシの推論はほぼ的を射ていよう。


「これより暫くの間、我々からユリアンへのお触りを禁止する」


「「「「「「なんですって!」」」」」」


「ユリアンからの求めがあの幸福感を生むのです。涸れ果てるまで求めては、ユリアンはあの悦びをワタシ達に与えてはくれないでしょう」


「やっと気付いたかぁ」


「まるで解っていたかのような物言いですね?」


「前から言ってるじゃない、もっとユリアンを(いたわ)れって」


くっ、聞き流していました。が、確かに言っていましたね。


「クロエお姉様。具体的にはどのくらいの期間我慢すべきなのでしょうか?」


「エイダ、それは分かりません。しかし、あの精強なるユリアンが3日と空けることは不可能かと。お触りは禁じますが、匂いは嗅いでも良いでしょう」


「でもパンツは1枚しかありませんが?」


「ヘルガ、直に嗅げば良いのですよ」


「叩いていただけない……」


「……クラウディア、ルサールカにお願いしなさい」


「憑依しないで直に? それは……」


「あの皇帝の部屋にあった絵の1枚は聖女ですね?」


ゴゥッ!

相変わらずの瞬間発火っぷりですね。


「その意気でクラウディアを可愛がってあげて下さい」


ドゴォォ!

ガッガッガッ、ボゴ、


「ハァン! キャン、クァハァ……ブハァ!」


「もういいですか? 一旦やめなさい」


「ハァハァ……強めで……とても良かったです」


「はっ! つい! 大丈夫?」


「今夜続きをお願いしますね」


「…………うん」


「まぁ、このように各自がするのは構いません。エクスカリバーも使用して構いません。とにかく、ユリアンから求められるまでは接触禁止です。いいですね?」


こうして話し合いを終えました。


そしてみんなで湯浴みへ向かいましたが……ユリアンはちょうど出るところでした。


「こんな時間に……珍しいね。ボクはだいぶユックリさせてもらったよ。少し散歩してくるから、ごゆっくりね」


街へ出る気ですね。

まぁ、コチラにはユリアン探知機があります。湯浴みを終えたら後を追いましょう。


ワタシとハンナが相互に身体を洗い、娘達はベアトリクスとマグダが洗っていますね。

ここにはかなり大きめの浴槽があり、洗体を済ませてから皆で湯に浸かりました。

これは……良いものですね。



できればユリアンと共にゆったりと。

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