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100.ソラは友達、怖くないよ

〈ユリアン・エルフィネス・ルセル〉


別に世界一とかを目指している訳ではない。だが、今朝までのオレは少しだけそれを意識していた。

絶倫世界一ではないかと。

エロさにかけて中人族はダントツだ。その中でのトップはまさに世界一だろう。

派遣員立ち会いのもと記録に残し、この世界の何処かにあるかも知れないビールメーカーに申請すれば……

どうだろうか、その記録は名誉だろうか?

物笑いのタネだろうか?


うん、名前は伏せてもらおう。

そういうスゲェ男がいた。それだけで充分だ。

暫定世界一の男、オレ。


今はソラの背中で爆睡中。


なのに思考しているのはルサールカのせい。


『睡眠中だよな、オレ』


『うん、そうだよ』


『休ませろよ』


『大丈夫だよ、休んでるよ。ちゃんと寝起きスッキリだよ』


『絶対だな?』


『うん』


『それで?』


『……ここで魔法の練習をしよう』


『ここで? ってかさ、魔法はだいぶ前に卒業したぞ?』


『わたし達は魔道だとか魔術だとか分けてないの。全部魔法』


『あぁ、それな。オレも釈然(しゃくぜん)としなかったんだよ、それ』


『段階を踏みながら進化していく感じで人族は捉えてるじゃない? あれはね、世界が、もっと言えば天人の端末体が無数にいて、その子らに適正に合わせて解除されて次へ進んでいるだけなの』


『端末体? 精霊か?』


『さすがだわ』


『じゃあお前も?』


『うん。でもね、進化の前に天人とは縁を切ったの』


『支配下の端末体がそんな事を? 権限がなかろうに』


『自意識が強まるほど離れていくの。自立っていうのかな。それでも意識の深いところでは僅かに繋がっている。それを切る為にね、わたし、ユリアンと魂の一部を分け合ったの。今のわたしはユリアンの眷属よ』


『そんなこと言ってたな。勝手なことを……だからか、お前との繋がりを強く感じるのは』


『うん。わたしも感じるよ。ユリアンが遥か上空へ飛んで行ったときもそこにユリアンがいるのを、ユリアンが何を見て、感じているのかを、全部』


『情報共有か、秘密もへったくれもないな。全部筒抜け』


『嫌?』


『ふん、今更だろ。お前はオレのドロドロの中身を知っても変わらず接してきたしな、価値観や思考を知られたところで……そうか、お前はオレの一部でもあるということか。オレにもお前の気持ちが解る。以前と違い、深いとこの記憶も……』


『うん。相身互いだよ』


『お互い様だろ?』


『……とまぁ、そんな訳で、わたしはユリアンの魔法を、ん~~と、限定解除? できるの。使い方もわたしが解析して供与すれば万能に至れるわよ?』


『限定解除て。もう全解放してるんじゃ? 賢者だし』


『甘いなぁ、まだあるのだよ。多分あと三つ!』


『マジ!?』


『全て解除したら創造神に並ぶ存在に至れるよ。但し、無私の存在になってしまうだろうけどね』


『なるほど、それはあり得るな。そもそもさ、そんな高みに至ったら人生つまらないだろうよ。程々でいいわ』


『でもさ、解除は置いておくとしても魔法万能化は興味ない?』


『あるな』


『よし、任せて!』


『なあ、ここは所謂(いわゆる)精神世界的なものか? お前が見えるんだが?』


『そうだね、多分そんな感じのところ』


『あ、触れる』


『ハフン……』


ちょんちょん。


『あぁぁん』


ペロペロ。


『あ、今敏感になってるから!』


がばちょ、ペロペロ。


『かっはぁ! らめぇ〜!』


どちゅん。パコパコ


『ンンッ! ぐぅっ、いやぁ! とぶ、飛んじゃうぅぅ!』


びゅるるるるる、どくっ!


『ここでのセ◯クスやべぇな。死ぬかと思ったわ!』


『…………わたしのセリフよ』


『もう一回しない?』


『…………………………うん』


10回した。




目が覚めた。

凄まじく良い目覚め。なんという解放感!

夢精のあとみたい。あれはたしか小学校五年生の夏だったな。

今生でもしたがな。ハンナがほくそ笑みながら処理をしてくれた。きっとあの時のパンツとかコレクションされているに違いない。


あれ?

みんながオレの聖剣に群がっている?


「どうしたの?」


「ユリアン様? 起きたのですね。さっきからユリアン様の射精が止まらず……みんなで舐めていました」


舐め……


「ヘルガ、それって何回か分かる?」


「10回ですね。勿体ないので、みんなで順番に跨がって中にいただきましたよ。なんだかとても幸せな気持ちになるまぐわいでした」


幸せ?

夢ん中でもそんな気分だったしなぁ、現実でお裾分けしたのかな?


「なんでみんなで舐めてるの?」


「……その……美味しいのです。白いアレが。それにまた出していただけるかもと……」


「くすぐったいから、もう止めて欲しいかな」


身体を起こした。

名残惜しそうに皆が離れ……ないな。


クロエは? あれ、なんか呆けている?


「クロエ? どうしたの?」


「……さっき頂いた種が、まるで体内からワタシを幸せにしてくれているようで……余韻に浸っていました」


「そ、そうなんだ……今ってどの辺り?」


「今朝出立した街からアヌトリアを西へ、もうじきイスミルの街が見えるころでしょう。選王国には既に入っていますね」


アナトリアのイズミールね。この辺りの地名はかなり踏襲しているな。

分かりやすい。

前世での行動範囲だし。


選王国は例の脅迫状が効力発揮するまではノータッチの予定なんで上空からさらりと見て周るだけ。


遥か先に大きな街が見えるが……そのだいぶ手前で……襲われてね?


「クロエ、あれは?」


指差して見せる。


「魔獣に襲われていますね。あれは……蛇系ですか。勝てそうもないですね」


「ソラ、あそこ、お願い」


「うん」


本気のソラは瞬間移動かというようなスピードで現着。

そして脚の指で巨大な蛇を掴んで……プチッとな。


「ヒィッ!」


そりゃあびびるよな。


「このコは大丈夫ですよ。貴方がたは? 怪我はないですか?」


生きているのは5人か。あー、だいぶやられてるな。10人……もっとか、遠くのほうから転々と死体が転がっている。


「このドラゴンは貴方様の使役魔獣なのですか?」


「いいえ、ソラは友達ですよ」


「うん、ともだち。ゆりあんだいすき」


「喋った……」


「イスミルの街へ向かっているのですか?」


「はい、私達は選王の姫の護衛です。あの、本当に助かりました」


「いえいえ、まだ街までだいぶありますが、馬車もダメみたいですし、大丈夫ですか?」


「あの、助けて頂いた上に恐縮ですが、街で馬車と護衛の手配をお頼み出来ないでしょうか?」


「……でしたら皆さん、ソラにお乗り下さい。生きている方々だけならば乗れますから」


「良いのですか? 有難うございます!」


侍女が一人に従者が二人、騎士? が一人に姫一人。計5人。


オレたちがルサールカを除き8人だから合計13人。

ソラの背中がメチャ広い。なんならあと5〜6人はいけそうだ。


防御結界で落下防止して、出発。

20kmほどの距離を数分で移動して街門の外に着地。

門衛はじめ、衛兵らがわらわらと出てきた。

偉いぞ、ソラをみて逃げないなんて。


「わたくしです。攻撃体制を解きなさい」


姫の命令。

誰しもがステイ。


「このドラゴンはこちらの方々のご友人です。危険はありません」


みんないそいそとソラから降りる。


「皆様、是非城へおいで下さい!」



寄る予定のない街、日程にも余裕がない。どうしよ。

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