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異世界召喚されたが無職だった件〜実はこの世界にない職業でした〜  作者: 夜夢
第三章 極東の島国編

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第68話 魔族

 アヤメと今後について話し合った結果、俺は戦に関わらず塔の中で戦が終わるまで待つことになったのだが、一つ問題がある。


「しかしなぁ、食糧がもうほとんどないんだよね」

「それなら迷宮ではなく東の都に行きますか?」

「東の都かぁ……。そうだな、見てみたいかな」

「では明日兄に話してから東に立ちましょうか」

「わかった」


 翌日、新撰組の屯所でギンジと会った。


「お~、久しぶりやな。どないしてん?」

「はい、実は……」


 俺は市場が開いていないため食糧が買えないこと、アヤメと東の都に向かうことを話した。


「ええんちゃうか。戦もワイらの勝ちで終わりそうやしの。連れてきておいてなんやが、アイツら弱すぎて期待外れやったわ。まぁ、ゆっくり観光したらええ」

「はい、では」


 そうして俺とアヤメは東へと向かった。


「リヒト殿! そちらにいきました!」

「ああっ! ハァァッ!!」

「おの……れっ! 無念……ぐはっ」


 道中、潜伏していた魔族の集団と偶然にも出くわし戦闘になった。アヤメは今最後の一人を締め上げている。


「言えっ! なぜこんな所にいる!」

「言うわけ……ねぇだろうが、ははっ」


 洋服を着た魔族はアヤメの顔に血混じりの唾を吐きつけた。アヤメは懐から紙を取り唾を拭うと表情一つ変えずに魔族の左腕を斬り飛ばした。


「ぎあぁぁぁぁっ! 腕っ、俺の腕ぇぇぇっ!」

「次は右を飛ばす。言え」

「クソがっ!! やってみろやぁぁぁぁっ!」

「……そうか」


 アヤメは笑みを浮かべ魔族の右腕を斬り飛ばし、右足に刀を突き刺した。


「ぎあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「次は足だ。このまま斬り裂いて足の数を増やしてやろうか?」

「ぎぎきぎっ! 何されても仲間は売らねえっ!!」

「そうか。ならばもう用はない。楽にしてやろう」


 これ以上追い込みをかけても無駄だと判断しただろうアヤメは魔族の首をはねた。


「リヒト殿、なにやら魔族が怪しい動きを見せております。気配察知は使えますか」

「ああ」

「最速で東に向かいながら魔族を見つけましょう。もしかすると魔族の狙いは東の都かもしれません」

「京都はおとりか。あえて目を向けさせるために……」

「おそらく。嫌な予感がします。少し急ぎましょう」

「わかった、案内を頼む」


 気配察知を使いながら最速で東の都を目指した。数キロおきに魔族が配置されており、俺たちは魔族を殲滅しながら街道を駆けた。


「アイツらだ! 東の都に向かわせるな! ここで殺せ!」

「そんなに東の都にいかれたくないのか。まったく、何を企んでいるのやら」


 東の都に近づくにつれ魔族が増えてきた。魔族は俺たちを向かわせまいとどんどん数を出してきた。


「あれは……そんな! 都が!」

「これは……酷いな」


 沖には黒い大型船が浮かび、東の都は火に包まれていた。


「はっ! し、城は! ……ほっ、無事か」

「急ごうアヤメ。城から魔族の気配がする」

「は、はいっ! こちらです!」


 アヤメと共に城へと向かう。道中火消し隊が燃える家屋に向かい水を放っていたが、焼け石に水だろう。次々に火が移っていく。


「アヤメ! 先に城へ向かってくれ!」

「リヒト殿はなにを!」

「俺は火を消す! キュウ太!」

《はいです! 【水刃】》


 キュウ太を呼び出し俺も魔法で消化にあたった。


「すまねえ、助かる! そっちにチビは妖怪か?」

「仲間のキュウ太です」

《キュッ! キュッ!》


 キュウ太も頑張ってはいるが手が足りない。


「埒が明かないな。仕方ない、イヨを呼び出してみるか」


 俺は隠神刑部のイヨを呼び出した。


《我になにか?》

「イヨ、町が火に包まれて困ってるんだ。どうにかな、ないかな?」

《……力を貸そう。主の魔力は美味いからな》


 どうやら言うことを聞いてくれるようだ。仲間に加えてから毎日魔力を与えたおかげか、信頼度が足りているようだ。


「どうにかなりそう?」

《うむ。我の神通力にて雨を降らそう》


 イヨは空に手を掲げ力を発した。


《カッ!!》

「お、おぉっ! 空が曇り始めた!」


 先ほどまで快晴で渇いた空気が漂っていたが、イヨが手をかざした瞬間から空が曇り始め、雷鳴が響き出した。


「急に空が……まさか降るのか雨が! 天の助けだ!」

「助かる! お前ら消火作業を続けるぞ!」

「「「おうっ!!」」」


 終わりが見えず諦めかけていた消火隊が再び力を取り戻したかのように動き始める。やがて豪雨になり、次々と火が消えていった。


「助かったよイヨ、ありがとう」

《なに、我にかかれば造作もない。ルームに戻してもらおうか》

「ああ」


 イヨをルームに戻すと魔力が減りだした。


「っと、さっそく食事か。でも助かった」


 頑張ってくれたキュウ太もルームに戻し俺も城に向かおうとしたが、港の方が騒がしくなった。


「魔族だ! 黒い船から魔族が上陸してきやがった!」

「な、なんだと!? クソッ、ようやく火が消えかけたというのに!」

「もうダメだ……! 江戸の町が終わっちまう……」


 うなだれる火消し隊の隣を港に向かっていく。


「あ、あんた! そっちには魔族が……」

「俺が戦うよ。誰か城に走ってくれ。アヤメという侍に伝言を。リヒトが魔族と戦いに向かったってね」

「お、俺が伝える! 兄さん、無茶はするなよ!」


 伝言を頼んだ俺は急ぎ港へと向かうのだった。

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