表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚されたが無職だった件〜実はこの世界にない職業でした〜  作者: 夜夢
第ニ章 躍動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/76

第57話 旅立ち

 エリンに戻った俺たちの報告を受けた陛下とギルドマスターは静まり返ってしまった。


「そうか……ガレオンは死んだか……」

「はい。大悪魔ヤルダバオトに頭を貫かれ……他の皆さんも黒い炎で焼かれ命を落としました」

「いや、お前たちだけでも生きて戻ってくれてよかった。大悪魔は討伐できたのだな?」

「はい。どうにか」

「そうか……」


 ギルドマスターは俺を見ながら言った。


「お前、リヒトだったか。あとで冒険者ギルドに顔をだしてくれ」

「はい? なにか??」

「世界を救ったんだ、お前をSランクまで引き上げてやる」

「え、Sランク!? お、俺まだ駆け出しですよ!?」

「構わん。大量にSランクを失っちまったんだ。それに大悪魔を倒したという実践もある。受け取ってくれ」

「……わかりました」


 続いて陛下が俺に言った。


「リヒトよ、お前さんにはずっと世話になりっぱなしだな」

「いえ、エリンで暮らす民の一人として当然のことをしたまでです」

「そんなことはない。お前さんは我が国の英雄だ。深く感謝する」

「……ありがとうございます」


 陛下は苦笑いを浮かべ続けた。


「今後この国の勢力図は大きく変わるだろう。滅亡したエイズーム王国は同じ海続きの海洋国家グロウベルが治める。だがそれでは旧イシュタル帝国の件もあるためグロウベルの負担が多過ぎるのだ。おそらく旧イシュタル帝国の土地は我がエリンに与えられることになる」

「そうなったらもう小国じゃなくなってしまいますね」

「うむ。これから忙しくなる。それでだな……コロネの奴も遊ばせておくわけにはいかなくなるだろう」


 それはそうだ。脳筋コロネでも肩書は王女。それにイシュタルの血が半分流れている以上イシュタルの地を治めるには申し分ない。


「アレが大人しく従いますかね? 政務なんかほっぽりだして鍛錬してる姿しか浮かびませんが」

「はっは。バトラーを付ける予定だ。それでだな……すまないが古代迷宮の攻略は中止させてもらいたい。ギルドマスターとも協議し、あの迷宮には冒険者を送ることにした」

「そうなりますか。確かにソロの俺ではこの先厳しくなりますからね」


 ギンジたちは横に控えたまま黙っていた。


「これまでの謝礼としてリヒトには爵位でもと思ったのだがな。お前さん、断るだろう?」

「ですね。俺は冒険してる方が性に合ってますので」

「うむ。お前さん、王家の短剣はしっかり持っておるな?」

「え? あ、はい。マジックバッグにあります」

「うむ。なにかあった場合それを掲げよ。どんな場面だろうが我らエリンが必ず後ろ盾になる。これからはリヒトの思うように生きてくれ」

「わかりました」


 これでエリンからの依頼は終わったということだ。


「あの、コロネはどうしてます?」

「うむ。自分も大悪魔と戦いに行くとか言い出しおったからふん縛って幽閉中だ。死なれたら洒落にならんからなぁ」

「はははは……あいつらしい」

「もう少し落ち着いてもらいたいのだがな。お前さんが落ち着かせる気はないか?」

「御冗談を。俺の手には余ります。俺もまた修行中の身なので」

「惜しいのう。だがまぁ無理強いはできんな。アレにその気があるならとも思って問うてみたが……残念な答えしか返ってこなかったわ」

「でしょうね」


 仲良くはなったがそれはあくまでも仲間としてだ。俺にその気はないし、向こうも意識はしてなかっただろう。それでいい、誰かを背負うにはまだ早すぎる。


「リヒトよ、これからのことは決めておるか?」

「あ、それは──」

「陛下、ワイから少しよろしいか」

「ん? うむ、構わんが」


 ギンジが口を開いた。


「今ワイの故郷エイジア大陸の端にある島国ジパンは魔族と交戦中なんですわ」

「ま、魔族だと!? まさか隔絶から逃れた魔族か!?」


 ギルドマスターがギンジの言葉に反応した。


「ええ。ジパンには冒険者ギルドはない上に鎖国してるもんで情報は外に漏れてませんがね」

「魔族か……一大事ではないか! すぐに冒険者を派遣し──」


 ギルドマスターの言葉をギンジは手で制した。


「鎖国中やいうてるやん。鎖国は冒険者に扮した魔族を国に入れんための措置でもあるんや。魔族の支援者も入れんようにしとる今ワイらが許可した人間しか入れんよ」

「し、しかし万が一負けでもしたら……」

「それはない。ワイの刀にかけて魔族は外に出さん。しかし今状況が拮抗しとるんも事実や。そこで陛下、リヒトをジパンに貸してもらいたい」

「リヒトを?」


 ギンジは陛下に進言した。


「ヤルダバオトを倒したんはワイとリヒトや。その力をジパンに貸してもらいたい。魔族を殲滅したらエリンに返すと約束する。どないやろか」

「……リヒトよ。お前さんが決めてくれ。俺はお前さんをエリンに縛り付ける気はないのでな。本音は手元に置いておきたいが」


 俺は陛下に言った。


「俺は……ジパンに行きます。魔族の狙いはヤルダバオトと同じ。もしかするとジパンには次元を斬り裂ける能力者がいるのかもしれません。魔族と魔王を北の大陸に封じ込めておくためにも確認はしておかないとと思います」

「確かに。そうか、ジパンか……。謎の多い国だ。島国だがエイジア大陸にある国より栄華を極めているという話も聞く。あいわかった、ギンジ殿。リヒトをよろしく頼む」

「もちろん。感謝します」


 その後、俺は首都にある冒険者ギルドでSランク認定され、虹色に輝くギルドカードを受け取った。それから錬金術師組合や宿場町に向かい、みんなと別れと再会の挨拶を交わした。


 そして旅立ちの日。宿場町には三頭の飛竜とこれまで世話になったみんなが集まってくれた。


 ファルコとアクア、リーフと握手を交わす。


「カタがついたら絶対に戻ってこいよ。まだまだ教えてもらわなきゃならん料理があるからな」

「もちろん。ジパンで珍しい食材とか集めて戻るよ」

「リヒト様! 私たち錬金術師はどこにいてもリヒト様の味方です! そんなリヒト様にはこれを!」

「これは?」


 リーフから一枚のカードを渡された。


「それは通信カードです。離れた場所にいても会話が可能なんですよ。冒険者ギルドの通信技術をパク──いえ、原案に試行錯誤を重ねて完成させました!」


 アクアを見るとサッと目を反らしていた。情報を漏らしたのはアイツだな。怒られるぞ。


「ありがとう。ならこれで指示を飛ばすよ。新商品のアイデアとか欲しいんでしょ?」

「はいっ! 引き続きお世話になります!」


 そしてグレッグとガロン、ルールーがきた。


「リヒトよぉ……離れちまうが無茶だけはすんなよ」

「グレッグ……」

「そうだな。リヒト、油断はするなよ。いくら強くなっても油断や慢心で身を滅ぼす奴もいる。常に己を律しろ、そして成長した姿を見せてくれ」

「ガロンさん……。ガロンさんは俺にとって師匠のような存在てした。今の言葉、ありがたく頂戴します」

「リヒト、これ」


 ルールーから剣を手渡された。


「これは?」

「魔法剣よ。全然受け取りにこなかったから持ってきたの」

「あ、わ、悪い。忙しくなってて忘れてた」

「だと思ったわ。使い心地の感想とか聞きたいから絶対帰ってきなさいよ。アンタは……私を救ってくれた恩人なんだから。忘れたら許さないわよ」

「大袈裟だよ。でも……うん、また会いに行くよ」


 全員と別れの挨拶を交わした俺は飛竜に跨り叫んだ。


「ありがとううみんな! 一回り成長して必ず戻るから! それまで元気で!」

「いくでリヒト」

「ああ、いこう!」

「「「「元気でな~~~!!」」」」


 こうしてSランク冒険者となった俺はギンジとアヤメの故郷ジパンへ向け空へと浮かび上がるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ