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異世界召喚されたが無職だった件〜実はこの世界にない職業でした〜  作者: 夜夢
第一章 始まり

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第32話 古代迷宮

 入念に準備を整えた俺は古代迷宮へと向かう冒険者たちと連れ立って首都を出た。


「Eランクねぇ。噂じゃ一階層からDランクの魔物が出るらしいから気をつけろよ?」

「はい、ありがとうございます。無理をするつもりもありませんしね。興味本位です」

「だははっ。冒険者っていったら迷宮だもんなぁ。わかるぜ」


 連れ立った冒険者はCランクとBランクの二つのパーティだ。どちらも歴戦の猛者のような風格を感じる。


「みなさんは冒険者歴長いんですか?」

「ん? まぁそこそこだな。俺のパーティメンバーは同じ村の出身でなぁ。首都にきた理由も畑仕事が嫌だったからっつー理由でな」


 畑仕事が嫌で冒険者になりBランクとは驚いた。


「それをいったら俺たちもだな。若い内は夢を見るもんだ。もう若くないがな」

「私たちもそろそろ引退かしらねぇ。最後に迷宮でひと稼ぎするつもりなのよ」

「リーダーたちは結婚資金貯めなきゃならないっすもんね~」

「「ば、ばか野郎!」」


 Cランクの方はリーダーと魔導士風の女性が付き合っていて結婚を夢見ているようだ。


 Bランクパーティは騎士、シーフ、神官、戦士。Cランクパーティの方は戦士、魔導士、シーフ、狩人。どちらもバランスがとれているように思えた。


「そういえばあんたギルドで回復してなかったか?」

「えぇ、スキルを磨くためにですが」

「つーこたぁ神官か?」

「いえ、器用貧乏ってやつですね。剣も使える神官ってところです」


 俺は両手を上げ腰に下げている剣を見せた。


「戦う神官って。面白い奴だなぁ」

「あはは。ソロなので色々考えてやってます」


 するとBランクパーティのリーダーが尋ねてきた。


「ずっとソロでいくつもりか? 上を目指すなら仲間を作った方がいいぞ?」

「上……'ですか。俺そういう出世欲みたいなのないんですよねぇ。目立たず自分を鍛えてのんびり暮らすことが夢っちゃ夢ですねぇ」


 全員が俺を見ながら口を揃えていった。


「「「「枯れてるなぁ……まだ若いのに」」」」


 そう言われてもこれが偽りのない俺の生き様だ。


 それから二つのパーティの歴史を聞きつつ数日移動し古代迷宮の入り口に辿り着いた。入り口は階段になっており近くには倒木や枯れ葉が寄せられていた。おそらくだが倒木と積もった枯れ葉やらで入り口は隠されていたのだろう。入り口前には真新しい小屋がありギルドの職員が雇った警備が常駐している。


「お疲れ様です。冒険者カードの確認にご協力を」

「ああ。みんなカードを」


 最初にBランクパーティがカードを掲げ迷宮に潜っていった。続いてCランクパーティも同様に迷宮へと潜った。そして最後に俺だ。


「ん? Eランク? 一人かい?」

「はい。あの、なにか問題でも?」

「いや……。ここは一階層からDランクの魔物が出るし罠もあるのだが大丈夫か? 死んでも責任はとらんぞ?」

「大丈夫です。今日は下見で古代迷宮がどんなものか知りたくてきたので。でもいけそうなら何日か潜るつもりです」

「迷宮を甘くみるなよ? すでに死者も出ているからな」

「もちろん。命は惜しいし無茶をする気はないですよ」

「ふむ。気をつけてな」


 そうして俺は一人古代迷宮へと潜った。長い階段を降りると石造りの広場に出た。その先には大きな扉があり、横には魔方陣が設置されていた。


「これが転移魔方陣か。先にいったパーティはもう入ったのかな。よし、まずはジョブをシーフに変えてと」


 今回の目的はシーフのレベルを上げることだ。それと最近首都周辺では基礎レベルも上がりにくくなってきたため基礎レベル上げもしておきたい。


 扉に手を触れると視界が歪み、気づくと迷宮の中にいた。目の前には石壁があり松明の火が揺らいでいる。


「おぉ~……ファンタジー……。男の子の血が騒ぐな」


 迷宮はランダムスタートだ。入るたびにスタート地点も下に続く階段の位置も変わる。同じ一階層でも先に入ったパーティと合流できない理由はこれにある。


「さて、慎重に進むか」


 シーフで罠察知をしつつ、狩人の気配察知と気配遮断も忘れない。真っ直ぐ続く道を歩きながら足元にある罠スイッチを見つけては解除していく。


「一階層の罠はそれほどでもないみたいだ。数も少ないし順調かな──っ! 魔物の気配だ!」


 前方から近づく魔物の気配を察知した俺は魔物の姿が見えるまで身構えた。


《大オオオ……ゴガァァァッ!》

「スケルトン……か。それなら!」


 俺は剣を抜かずにスケルトンに向かい手をかざした。


「ターンアンデッド!」

《アァァァァァ……》


 スケルトンの足元から光の柱が現れ一撃でスケルトンを倒した。消えたスケルトンは宝箱を残した。


「なるほどなるほど。敵を倒すと宝箱になるわけね」


 宝箱の色は銅色だ。罠察知を使うが罠はなし。俺はさっと宝箱を開いた。


「なんだこれ?」


 宝箱には錆びたナイフが一本入っていた。


「ゴミ! 紛うことなきゴミ! 期待外れだよもう!」


 そうは言ったが探索は楽しくて止まらなかった。現れる魔物はスケルトンやアニマルゾンビ、ボーンドッグと神官の魔法があればさほど苦労なく倒せる程度だ。


「おっと、罠だ。やっぱりあったか罠付きの宝箱っ! 楽しい……楽しいぞ古代迷宮!」


 もはや自重もなにもない。俺はただひたすら童心に帰り現れた魔物を全て倒し宝箱を乱獲しながら先へと進み、気がついたら十階層のボス部屋前にいた。


「……ヤバい。楽しすぎてすっかり我を忘れて潜ってきてしまった」


 ここまで約五日。多めに持ってきた食糧も半分以下になっていた。魔法主体の戦い方だったので魔力を回復するために多めに休憩したことが仇になった。だがおかげでシーフもマスターしたし、今後罠に苦しむことはない。


「なかなかコスパいいんじゃないか迷宮。五階層から先は宝箱も銀色とか金色も出たし。中身はポーションとか金貨とかだったけど単純にありがたいな」


 ボス部屋に入る前にしっかりと回復し、俺は初めてのボスへと挑むのだった。

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