42/50
ミステリー同好会
茂奈香の所属するミステリー同好会、実は部員数は2名である。
部長の茂奈香、そして西原茜という3年生の少女だ。
西原は何やら霊感があるらしく、茂奈香がミステリー研究会を設立した後、彼女に興味を持って入会してきた。
その為学年は2年上なのだが部長は茂奈香が務めていた。
また、現在では大学受験を控えているため殆どは会に姿を見せておらず、茂奈香は壷の研究が学校でできなくなる事に関して、誰かに報告する必要は全くなかった。
皆が帰った放課後の教室、茂奈香の薄茶色の壷がぽつんと窓辺に夕日を受けて輝いている。
茂奈香はそれをそっと撫でた。
「お腹が減った。帰ろう。」
茂奈香は呟いた。
鞄の中から紫色の風呂敷を取り出し、丁寧に壷を包む。
大判小判がざっくざくの不思議な壷。
実際その壷を持ち始めてからというもの、茂奈香には何かと良い事が頻発していた。
例えば、テストで900点を取れてしまうとか。
テストの帰り道、まかない付きのカレー屋でアルバイトにスカウトされる、などなど。
「アランさんとこ寄って帰ろう。」
茂奈香は鞄と壷を抱えると、教室を後にした。