第二章 最強の異能ファイター 第一話
俺のひょんな言葉から〈革命の神様〉v.sレヴォルーションの戦いが始まった!
いやいや、この戦いに何も利点はないっす!今すぐ無意味な戦いを止めてくれ、俺が愛を断れば良いだけの話だから!
「貴様…まさか私に勝つ気で居るのか…?」
「そのセリフ、何回目だよ?
今までそう言って来て僕から勝利を勝ち取った事、ないよねぇ~?」
「今回こそ…貴様から勝ちをもぎ取って見せる!!」
アハハ…俺はどさくさに紛れて安全な場所へ避難したから身の安全は確保出来たが、あの二人の戦いは苛烈なものになる!下手すりゃこの学園の半分が消し飛ぶぞ!?
「安心しな、もう一つ宣言する!
お前の身勝手な愛で…愛する教え子の学び舎を、怖させやしない!」
ありゃ~…これは被害が甚大なものになるぞぉ~?
俺の危惧を無視して二人は交戦を始める!
「貴様は調子に乗り過ぎだ、ここで鼻をへし折ってやる!」
「こっちのセリフだ、アンタの捻じ曲がったプライドと自己承認欲求を壊す!」
いや、レヴォルーションさん…「プライド」と「自己承認欲求」はほとんど同じ使い方をする言葉ですぜ?
しかし、あんな化け物と互角に渡り合えるレヴォルーションは凄い…これまで様々な神と戦って来た俺から見ても正真正銘の化け物だ…!
お互い互角な戦況だったので、暫く戦闘が続くと思ったが…
「ぐううっ!?」
「おいおい、右腕がお留守だぜ!」
徐々にレヴォルーションが優勢になる!
まさか、最初に放った腐食の技が想像以上に影響を及ぼしてるのか!?
「千里君…見せてあげよう。
今回は二つ見せてあげよう…僕の『異能』を!」
すると、レヴォルーションは自身の周りに6つの結界を生み出した!
「きっ…貴様…!?
また私を虐めるのか…!?」
「『虐める』…?聞き捨てならん表現をするな!
『虐める』んじゃなくて、『導く』んだよ」
更に、その結界から硬度が高そうな鎖が飛び出す!
その鎖は瞬く間に〈革命の神様〉の全身を覆い尽くす!
「『顕現召喚・不解の鎖』…!
これで、召喚が解除されるまで反省しとけ!」
「私は…千里君を…好きなだけなのに…!!」
お…俺は〈革命の神様〉に好意を抱かれてたのねぇー!?
女性に言葉を掛けるのが初めてだったから全然ピンと来なかったけど、俺は乙女の恋心を擽った言葉を吐いた訳なのね!?
愛の言葉を口にする〈革命の神様」にレヴォルーションはこう言葉を掛ける。
「歪んだ愛情と一方的な恋心なんか野良犬も食わねぇよ。
それだけお前の思いは身勝手で独り善がりだった訳だ。
お前の愛を否定するつもりはないが、千里君が困ってんじゃねぇか?
〈革命の神様〉がそんな醜態を晒してて、恥ずかしいとは思わねぇのかよ?
だから俺に負けるんだ。俺よりも思いも力も半端で、立場に何時までも依存するお前と何度戦っても負けるつもりはない。
暫くそこで反省してろ!」
「ぐぅぅっ…!!」
お…終わったのか…?
あまりにも状況が変動し過ぎて頭の中の計算処理機能が追いついて行けないんですけど?
「さぁ、これでファーストフェーズは終わった」
「フ…ファーストフェーズ?」
ファーストフェーズ?つまり、まだ解決しないといけない問題が残っているという事か?
だが、俺に一方的な愛を投げて来た〈革命の神様〉は戦闘不能に追い込んだし、それ以外に俺達の脅威になる存在は何処にも居ないはずだ。
だが、レヴォルーションは俺を連れて学園の門の前に瞬間移動する!
「お…おい!?いきなりどうしたんだよ、レヴォルーション?」
「君に…最初のミッションを指令する…僕が周りの雑魚を一掃するから、君は目の前に居る男を無力化及び殺害を執行しろ…いいね?」
俺は動揺しながら目の前の光景を見る。なるほど、だからレヴォルーションは警戒を解かなかったんだ。
俺とレヴォルーションの目と鼻の先に武装した数十人の神様と思わしき連中が居やがった。
しかし、奴等の顔触れには見覚えがあっった。
「ここが我等が主の出来損ないが転がり込んだ屋敷か?」
「お、探してた奴が目の前に居るぞ!」
「懸賞金1億円は私のものだぁー!!」
奴等は俺を見つけると全員襲い掛かって来る!
なるほど、ようやく思い出せたよ…コイツ等は俺が属していた神の家の関係者だ。
俺が失踪したから捜索及び反逆罪者として殺害の指令が出たのだろう。
だが、俺もそう簡単に殺られる程軟な男ではない。
俺は奴等の攻撃を全て回避する!
「おいおい、避けてんじゃねぇよ…?」
「お前はあの方の為に死んで貰うぞ!」
俺とコイツ等は無関係ではない。だが、関係があるからとか何だとかは関係ない!
「俺は俺の自由の為に戦う…邪魔すんなら殺すぞ?」
「おいおい、君は大将のアイツを倒すの!
他の雑魚は僕が片付けておくからさ?」
「俺達が雑魚だと…?」
「ふざけんな、まずはお前から死んで貰うぞ!」
「私を愚弄した罪、命を以って償ってもらうぞ!」
さて、俺は大将さんを殺せば良いのか?
他の雑魚はレヴォルーションに向かって殺意剥き出しのまま戦っている。
「おい、千里…?」
「ん、何だよゴミ?」
俺が相手する大将さんとも少し縁がある。
どういう縁かと言うと、俺に殺しのイロハを教えてくれた教師とでも言えば良いか?
「私がお前に教えた恩を仇で返すとはどういう料簡だ…おい?」
「フン、お前には散々お世話になったな?
でも、お前も俺から自由と時間を奪った…そして、今も俺から自由を奪おうとしているな?
殺しのイロハを教わった恩があると言えど、俺の自由を奪うのなら、お前も殺す…!」
正直な話、殺しのイロハを教わった事に何も恩も感じない。つーか、なに余計な事叩き込んでくれたんだと、頭の中でブチ切れているぜ?
「残念だよ…私はお前を愛していたのに…!」
「愛してるなら、殺しのイロハ以外も教える事が出来ただろうが!」
俺と大将さんが正面からぶつかる!
さて、このままいつも通り戦うのは飽きたし、早速…「異能」を使ってみるか…!
俺は両手を叩いてボソボソと呪文を唱える!
「『万物反転・剣技』!」
俺がその力を行使すると、大将さんと俺の位置が入れ替わった!
「なにぃっ!?」
その展開に対応出来なかったのであろう。奴は見事に体勢を崩す!
俺はその隙を見逃さなかった!
奴の背中を同じ「異能」で切り裂く!
「『万物反転・内臓』!」
すると、奴の内臓と骨格と筋肉の位置が入れ替わったのか、体勢が更に崩れる!
もしや、体の外側に内臓が入れ替わってくれたのか?
面白い…与えてくれた張本人は不審極まりなかったけど、この力があれば自由を勝ち取る事も夢ではない!
「ゴフッ…きっ…貴様…!」
「残念だよ、神様であろう者が…人間の俺に無様に負けるなんて…」
俺は奴を最期に煽ってやった。
その煽りに激昂したのか、奴は殺意剥き出しで俺に襲い掛かる!
しかし、その行動も想定範囲内だ。
「がはっ…!?」
「なに激しい運動してんだよ?
内臓が剥き出しの状態でそんな激しい動きすれば、内臓が全部潰れる事も想定範囲内だろ?」
奴は自分の身に起きている現状に気付かず、臓腑を全部自身の動きで破裂させ、そのまま臭い血を残して死んで逝った。
「ふぅ…これが、一つ目の『異能』…
これで、俺は自由を勝ち取るんだ!」
一方その頃、レヴォルーションは…
「おいおい、お前等の親玉さん…僕の教え子に瞬殺されちゃったみたいだね?」
「嘘だろ…あの人が瞬殺だと…!?」
「うわぁぁぁ!!」
レヴォルーションに男二人が襲い掛かる!
しかし、彼は冷静に対応する。
「『劣化再臨・腐食』、『劣化再臨・浸食』!」
「腕が…腕がぁぁ!?」
「体が…壊れて…!?」
襲い掛かる二人を「異能」で返り討ちにした!
残りの雑魚は15人…さぁ、どうやって被害を抑えながらこの人数を消す?
「ふぅ…雑魚とは言え、数が多いな?
じゃあ、少し暴れようか…!」
するとレヴォルーションは自身を取り囲む雑魚を結界の様なものの中に閉じ込め、自身にバリアを展開した。
「『顕現召喚・剣聖』、『顕現召喚・守護者』…」
「何だ…!?」
「何をするんだ!?」
これはまさか、合体技か…?
「『顕現召喚・合体・守護聖撃』…!」
レヴォルーションがその技を放つと、彼の周りに居た雑魚共は肉片も残さず切り刻まれ、辺り一面が血の海と化した!
「ふぅ…これで、学園の被害はゼロに済んだな?」
これにて、唐突に始まった俺の「異能」を使った最初の戦いは幕を閉じたのだった。