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彼岸の隠世  作者: 山葵茶話
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プロローグ

 初投稿です。少しずつ投稿していきます!

 おてやわらかにお願いします。




徒花散子(あだばな ちるこ)、性別は女の子、10歳、身長は140センチ、体重は36キロ、趣味はお絵かき、好きなものはお父さんと甘いもの、赤いランドセル、白いレースのトップスに黒いスカートで学校に通っている」

誤解を解く為に弁明をしておくと、僕が突然自己紹介を始めた訳では無い。そもそも僕は男だし、僕の名前は八幡藪由心(やはたやぶ ゆみ)である。

 では誰が自己紹介をしているのか、という話になるが、僕の隣でへらへらしている彼女、奥之院伊那(おくのいん いな)はどうやら自己紹介をしたわけではないらしかった。

「その子が3日前、我らが六曜町の大安台周辺を最後に姿を消したみたいでね、遅くになっても帰って来ないものだから、その子の母親が捜索願を出したみたいだけど、まだ見つかってないらしいよ」

「なんだよ藪から棒に。それを僕に教えてどうする」

「いやいや、君が追ってる例の“神隠し事件”と関連性があるかと思ったんだよ。本当は気になってる癖に」

 神隠し事件。厳密に言えば、児童失踪事件の類に該当されるもので、ここ最近、この六曜町でたびたび発生しては問題になっている。学校でも近所でも最近はもっぱらこの話題で持ちきりだ。警察も捜索の対応に追われていることだろう。何せ、生死の判別はおろか、死体すら発見されていないのだから。

 しかし、僕がこの事件を追っている、捜索している理由は、事件の解決や失踪した児童の救出に協力するためでもなければ、周囲に感化されたわけでもなく、抑えられない好奇心からである。

 単なる人攫いか、誘拐か、身代金目当てか、それとも――本当に不可解な超常的、複雑怪奇な現象によって消えてしまったのか、それが気になる。

 誰のためでもなく、自分のために、この脳みその奥の疼きを止めるために、僕は気になった事件を追っているのだ。もっとも“神隠し事件”を追い始めたのは最近で、まだ大した情報は集められていない。

 それに、僕の捜索が功を奏した事は現状一度もない。これはここだけの秘密だ。

 捜索も、創作も、思うようにはいかないものだなと思う。

まあ、僕が使うのはフォトブックでも、スケッチブックでもなく、スクラップブックだけれど。

「気にならないと言えば嘘になる」

 僕がそう返すと「でしょー!」と奥之院のボルテージが上昇し始める。

 こうなるとこいつは厄介だ…

「そうだ!あと、見失うまでの徒花ちゃんの写真もあるんだよね〜」

「お前…そんなもの一体どこから…」

「そんなのロリコ…」

前言撤回、僕は警察に協力する。

「通報します」

「うわあ!嘘嘘、嘘だって!スマホ出さないで!番号打たないで!ロリ子って言ったんだよ!本当は、監視カメラの写真だよ!」

 ロリ子でもアウトだろ…

「ふうん。後、行っておくけど情報料は払わないし、写真も買わないからな」

「ちっ、せっかくのビジネスチャンスだったのに」

 言って、奥之院は両手を頭の後ろに回し、悪態をつく。

 言っておかないと、しつこく請求されるからな…

「ていうか、お前、情報屋はやめたんじゃなかったっけ?」

「いや〜、最近また再開したんだよ。お金が必要になったからね」

「小一時間先生に説教されてたのに、よくやるな」

「ふふん。プロだからね」

 奥之院が小気味よく鼻を鳴らし、後ろ向きに軽いステップ踏んだところで、T字路についた。奥之院家と八幡藪家はお互い、反対側に位置しているので、いつもここら辺で解散するのだ。

「んじゃまあ。気になるなら、現場に行ってみることだね。まだ、警察の手がついていないと思うから、今が好機だよ」

「行かねえよ、妹が待ってるんだ」

「あっそう。まあ、好きにすればいいよ。」

 奥之院は行くなら自己責任でと、付け足し、「またねー」と手を振り、僕とは反対の方向を歩いていった。

 僕もそれに応じ手を振ると、家へと続く道を歩く。帰路につく。

 暫くし、振り向いて奥之院が居くなったことことを確認すると、僕はT字路の下の部分に向かう。

 危路につく。

 安心してほしい、妹にはメールをしておいた。

『お兄ちゃんは少し寄り道をしてくるから、お土産、楽しみにしててね』

 勿論、土産話を。


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