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変化

目が覚めると外はもう日が落ちかけていた。

隣にアイリスの姿はない。


「どこ行ったんだ?」


階段を降り一階へ行くと賑やかな声が聞こえてきた。

アイリスがはしゃいでマーサさん達と話している。


「おや、良く眠れたかい?」


マーサさんが俺に気付き声をかけてくれた。


「おかげさまで」


マーサさんの隣に目をやるとエプロン姿の女性がアイリスと喋っていた。


「娘のユーリだよ」


「ユーリです。初めまして。ゆっくりしていってくださいね」


ユーリさんがニコリとこちらに笑顔を向ける。

とても感じの良い人だった。


「ユウキです。ありがとうございます」


挨拶を終えたところでマーサさんがコーヒーを勧めてくれたのでいただく。

アイリスが満面の笑みを浮かべこちらに向かってきた。


「ユウキ!ユウキ!マーサとユーリと沢山おしゃべりしてた!色々教えてもらっちゃった!」


嬉しすぎるのか子供の様にはしゃぐ姿を見ると、とても1万4,000年も生きているとは思えない。


「何を教えてもらったんだ?」


「丈夫な赤ちゃん産む為にお腹は冷やしちゃ駄目なんだって!」


ブボッ!?


飲んでいたコーヒーを吹き出す。


「はい!?」


思わずマーサさんを見てしまった。


「いや、アイリスちゃんからあんた達が夫婦だって聞いたもんだからねぇ。あら、あんたも随分ウブなんだね。じゃあ野暮な事を言うのはよそうかねぇ」


マーサさんは笑いながらカウンターの奥に下がって行った。


一階部分は宿屋の受付と食堂になっており、食堂は夜になると酒場としてお酒も提供する様になっているらしい。


「おい!ババア!酒はまだか!」


罵声が聞こえる方向に顔を向けると兵士のような格好の3人組が偉そうに酒を飲んでいた。

どうやらセルヘイブの兵士では無さそうだ。


「あんたら!他のお客さんもいるんだ!もう少し行儀良く飲んどくれ!」


酒を兵士達のテーブルにドンッ!と置くと兵士達を一喝する。


「なんだと!偉そうに!こんなチンケな店で飲んでやってんだ!もっと可愛げに接客しやがれってんだ!」


兵士達は文句を言いながらも酒を煽る。

なんとも聞くに耐えないが、此処で問題を起こす訳にもいかない。


マーサさんがこちらに近づいてきた。


「マーサ、大丈夫?」


「あら、アイリスちゃん!気遣ってくれるのかい?ありがとうね」


マーサはアイリスに優しく微笑む。


「あいつらはダスバイトの兵士達さね。半年ほど前ミスティス付近の森でダンジョンが発見されたとかで、ミスティスを占領してダンジョン攻略してるんだよ。それにしてもミスティスからでも結構距離があるはずなのに、なんでこんな何もない村に来るのかね」


ダスバイト……、聞いた事がある。

ダスバイト帝国は軍事国家で特にダンジョン攻略に力を入れている国だ。

各国を武力で制圧し、その勢力を拡大していると聞く。


兵士達の話し声が聞こえてくる。


「それにしても何でお偉いさん達はこんな辺鄙(へんぴ)な村にまで兵を派遣するかね。こんな所に亜人共が逃げ込むとは考えにくいが。」


「全くだ!酒でも飲まねぇとやってらんねぇぜ!おい!姉ちゃん!ちょうど良い、俺達にお酌してくれよ!」


そう言うと兵士達はユーリさんに絡み出した。


「すいません!離してください!」


ユーリさんが絡んで来た兵士の1人を突き飛ばす。


「このアマ!やりやがったな!」


突き飛ばされた兵士が逆上し、ユーリさんに拳を振り上げた。


「流石にやり過ぎだ」


俺は兵士が振り下ろす拳を掴んだ。


「なんだ!テメェ!関係ねぇ奴は引っ込んでろ!」


「行儀良くしろって言われたろ?」


掴んだ腕を捻りあげる。


「イテテェ!!」


他の兵士が俺に向かって殴りかかる。

やけに兵士達の動きがスローモーションに見える。

腕を掴んでいた兵士を、殴りかかってくる兵士達に向け突き飛ばす。

面白いぐらい兵士達が吹き飛んだ。


「この野郎!ただじゃおかねぇ!」


そう言うと兵士達は剣を抜いた。


「ちょっとあんた達!」


マーサさんが仲裁に入ろうとするのをアイリスが制止する。


「ユウキなら大丈夫」


兵士の1人が剣を振り上げ襲いかかって来る。

剣筋すらはっきり見える。


コイツら本気か?


余りのスローモーションに避けるのを止め、剣を指で止めた。

周りから見たら片手で白刃取りをしてる状態だろう。


指先に力を入れると紙粘土の様に脆く、剣を真っ二つに折ってしまった。


「ヒィイイ!!何だコイツ!?」


兵士が怯え始めた。


「次はお前らの腕も折ってやろうか?」


「悪かった!!もう出てくから許してくれぇ!!」


慌てて逃げようとする兵士の1人の首根っこを捕まえる。


「代金を忘れてるぞ」


兵士が懐を弄り、代金をテーブルに置いて逃げ帰っていった。


「あんた凄い手練れだったんだね!あいつらを追い出してくれて助かったよ!ありがとう」


「助けてくれてありがとうございます。ユウキさん」


「いえいえ、そんな大した事は……。お2人には散々お世話になってますし、これぐらい……」


「何言ってんだい!こっちこそ大した事はしちゃいないよ!今から感謝の気持ちをこめて腕によりをかけて晩ご飯作るから、それまでゆっくりしてな!」


そう言ってマーサさんとユーリさんは調理場に下がって行った。


「ユウキ、カッコ良かった」


アイリスがこちらに近づきニコリと微笑んだ。


「ありがとう。……なぁ、アイリス。なんか体が変なんだ。さっきも相手の動きが凄く遅く見えたり、剣だって片手で折れた」


アイリスに先程感じた違和感を話す。


「それは私の力がユウキに沢山流れたから。人間離れした能力もそのせい」


「なるほど」


アイリスの言葉は納得できるものだった。

切り落とされた両腕が治るほどの力だ。

人間離れした力を得ても仕方ない事なのだろう。

そういえば最近ステータス確認してなかったし確認してみるか。


そう思いながらステータスプレートを確認してみる。



◆◆◆◆

須藤ユウキ 

性別:男

年齢:18歳

加護主:アイリス

眷属:0人

異能スキル:【禁忌に触れし者】【神の花婿】

スキル:【属性魔法】【魔法操作】【身体強化】【魔力強化】【物理耐性】【魔法耐性】【状態異常無効化】【複合力】【不老不死】【加護】【言語理解】【文字理解】

◆◆◆◆


……何これ?

…………どゆこと?

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