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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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第86話 試食

あけましておめでとうございます。

本日より、投稿を再開します。

ルーナの家でロイと遊びながら、ヴィドとアルの帰りを待った。

お茶を飲み干し、しばらく経つと二人が帰ってきた。

二人は籠を背負っており、何かを採ってきたみたいだ。


「お帰りなさい、みなさんが待ってくれてますよ。」

ルーナは二人に駆け寄り、荷下ろしを手伝う。

「ただいま、ルーナ。どうしたんだ、揃いも揃って。ルバークは体調が良くなったみたいでよかったな!」

驚きながらもアルはルバークの回復を喜んでくれる。

「お邪魔してるわ。なんでアル君はわたしが病気だったことを知ってるの?」

ルバークは不思議そうな顔を浮かべている。

「森から治療院に行く途中でお二人に会って、治療院まで案内してもらいました。ルバークさんは朦朧としていたので覚えてないかもしれませんが。」

「あら、そうだったの。アル君もヴィド君もありがとうね。この通り、元気になりました。」

「本当によかったな。ダイクとロゼも。」

「あの時はありがとうございました。」

「ありがとう!アルさん、ヴィドさん!」

「いい。気にするな。」

ヴィドは顔には出さないが、照れくさそうにそう言った。

「で、何かおいらたちに用でもあったのか?」

「そうなの。疲れているでしょうから、お茶でも入れるわ。座って落ち着いて話しましょう。」

ルバークはお茶を淹れ始めた。

「わたしはこれを村のみなさんにお裾分けしてきますね。ルバークさんたちはゆっくりしていってください!ロイのことは任せるわね。」

ルーナはヴィドにロイを預けて、収穫物を小分けにした籠を持って出て行った。


ロイはヴィドの腕の中に納まると、眠たそうにうつらうつらとしている。

「すまない。寝かしつけてくる。」

ヴィドはそう言って、奥の部屋に入っていく。

「わたしもロイのことを見てるわ!話は好きにしてちょうだい!」

ノームも奥の部屋へとロイを追って入っていった。

「ノームって赤ちゃんが好きなのかな?」

ロゼがこそっと耳打ちしてくる。

「そうなんだろうな。ロゼも一緒に行ってもいいよ。ノームが変なことしないように見張っててくれるか?」

「わかった!ボクも行ってくるね!」

ロゼは嬉しそうに立ち上がり、奥の部屋へと入っていく。

ルバークもノームだけでは心配だったのか、こちらを見て頷いていた。

お茶を淹れ終わるころには俺、ルバーク、アル、ヴィドの四人がテーブルを囲んだ。


「で、話ってなんなんだ?」

アルはお茶を啜りながら、聞いてくる。

ルバークはこちらを見て、話すように促してくる。

「どこから話したらいいのか・・・。村の近くにある川の上流に、滝があるのはご存じですか?」

「知ってるが、その滝がどうしたんだ?」

「そこで魔獣木が見つかったんです。そこで生まれてくる魔獣は魚の魔獣なんです。」

「見つかったことは知ってたが、ダイクたちが取ってくれたことも知ってるぜ!」

「そうなんだけどね・・・。」

ルバークが魔獣木をアイテムボックスに入れておけないことを説明してくれた。

「ダイク君の表情が変わらないでしょ?食事の味も感じられなくなっちゃったの。」

ヴィドとアルは驚いた顔をしていた。

「そういえば、そうだな。ダイク、お前大丈夫なのか?」

アルは心配そうにそう言った。

「心配しないでください。今は魔獣木は持ってないんです。これから少しずつ良くなっていくはずです。」

「・・・そうか。」

ヴィドは一言だけ呟いた。

「それで滝の話に戻るんですけど、あそこに魔獣木を置かせてほしいんです。今も一時的に置かせて持ってますが・・・。」

「それはいいが、また魔獣が増えたりはしないのか?」

「溢れてこないように入り口は閉じました。魔獣自体は弱いので問題は無いと思います。最終的には、この村の人たちで管理していただけないかなぁと思ってます。勝手で申し訳ないんですが・・・。」

「それもいいんだ。ただ、魔熱病の心配はないのか?」

「ないとは言い切れません。でも、なるべく魔獣木に近づくことなく魔獣を収穫できるように考えてます。」

「収穫ってなんだよ。討伐の間違いだろ?」

「いえ、合ってます。倒しはしますが、美味しく食べれるはずです。最終的にはこの村の名物になってくれたらなと思っています。」

「名物って・・・。まぁ、今は置いておきましょう。本当に食べれるのかしら?」

ルバークは懐疑的な目をしている。

「魚って食べないんですか?」

「川でたまに捕ったりするが、あんまり美味しいとは思ったことはないな。土臭いというか、生臭いというか・・・。」

アルまでそんなことを言ってくる。

「ルバークさん。今日はもう遅いですし、この村に泊めてもらいましょう。魔獣木の件は一旦置いておいて、魚の美味しさをお教えしようと思います。いいですか?」

「そうね、今日は・・・というか、数日は村にいる必要がありそうね。いいわ。ダイク君の料理は美味しいし、期待してるわね!」

その言葉を聞いて立ち上がり、調理場を借りることにする。


ルーナが戻って来ると、調理場に立つ俺に驚いていた。

「ルーナさん、調理場をお借りしてます。あと、このパン貰ってもいいですか?新しいものと交換して下さい。」

調理場の端にあった、乾燥したパンを手に取り聞いてみる。

「ど、どうぞ。あるものでよければ、お好きに使ってください。」

困惑気味のルーナをルバークは椅子に座らせて、事のあらましを伝えてくれる。

納得してくれたのかはわからないが、気にせずに調理を進めていく。

「ルバークさん、このパンを細かくちぎってもらってもいいですか?」

さすがに手が足りずに応援を頼む。

「いいわよ!それだけでいいの?」

「はい、お願いします。」

アイテムボックスからサーモンを取り出すと、ヴィドが後ろから覗いてくる。

正直、魚を捌いたことはないが、何となくで三枚に下ろしていく。

頭を落として、背側と腹側から骨に沿って包丁を入れることで何とか下ろすことができた。

不格好なサーモンを塩焼きとフライで食べてもらうことにする。

適当な大きさに切り、塩を振って焼く作業はルーナに任せることになった。

ルバークにお願いしようと思ったが、「わたしが。」と手をあげてくれた。


油を用意して温めて、小麦粉、卵、パンくずを纏わせ揚げていく。

「意外と美味しそうな臭いだな!」

背後からアルの失礼な言葉が聞こえてくる。

「ちょっと、アル!そんなこと言ったら失礼よ!でも、本当にいい匂いですね。」

ルーナがアルを叱りながら、大きく息を吸い込んだ。

部屋の中にはサーモンがうまい具合に焼けた臭いが充満していた。

「フライももう良さそうですね。試食を始めましょうか!」

焼けたサーモンとフライを皿に並べてテーブルへと持っていく。

「美味しそうな臭いじゃない!なんでわたしを呼ばないのよ!」

いつの間にか、目の前にノームがいた。

ヴィドたちの目があるので、反論はできない。

「ロゼも呼びましょうか。みんなで食べてみてください。」

「わたしが呼んできますね。」

ルーナが奥の部屋へと迎えに行ってくれる。

ロゼを待つうちに、塩と醤油を皿に出して準備しておく。

「いい匂いだね!これは何なの?」

ロイは眠っているのか、ロゼとルーナだけ戻ってきた。

「ダイク君が作ってくれたのよ。魚の魔獣のお料理よ。」

「揃ったので、食べましょうか。焼いたものはそのままでも美味しいと思います。フライ・・・パンくずを付けて揚げたものは、皿にある塩か醤油をつけて食べてください。」


俺の説明が終わると、一斉に皿へと手が伸びて試食が始まった。


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