第8話 アイテムボックス
「えっ・・・ダイク兄、なにしたの?」
ロゼとシラクモが驚いた顔でこちらを見ている。
「えっと・・・魔法かな!?これ見える?」
「これってなぁに?まほうってすごいね~!」
曖昧な返事をして、ウィンドウを見る。
ウルフの肉×1 と表示されている。
俺にしか見えないウィンドウを指で触るが、ウルフの肉塊は出てこない。
ウルフの肉塊を取り出すイメージを浮かべると、手の先に何かが触れている感覚がした。
それを引っ張り出すと肉塊だった。
再度、肉塊を収納し、葉っぱに包んだ肉も入れてみた。
ウルフの肉×1
蜂蜜漬けのウルフの肉×1 となっている。
色々と試していると、体のどこかが触れている必要があることがわかった。
ついでに心の中で、ウルフの肉塊を見て鑑定を唱えてみる。
【ウルフの肉】
食用可。そこそこの肉質。
とウィンドウに表示された。
そうかそうか。
俺はチート持ちなのか。神様ありがとう。自称神様とか言ってすいませんでした。
「ダイク兄、だいじょうぶ?すごいかおしてるよ。」
「大丈夫だよ!ロゼ、俺は魔法を使えるみたいだ。アイテムボックスっていって、こうやって物を出し入れできる魔法なんだ。」
短剣を消したり出したりして見せてやる。
「うわ~、べんりだねぇ~!!」
シラクモも俺の頭に飛び乗って、撫でてくれているようだった。
「あとは鑑定っていう魔法だね。ロゼも使えるかもしれないから、夜ご飯の後に練習しよっか!」
「うん!!!」
水筒の水で軽く手を洗って、作業に戻る。
家の入り口に屋根を作るイメージだ。
杭をロゼに支えてもらって、上から大きめの石で打ち込んでいく。
土がふかふかなので、簡単に入っていく。
ある程度打ち込んだら足で地面を踏み固める。
それを入り口の脇に三本ずつ立てて、枝と蔓を使って杭を固定していく。
屋根も蔓を張って、その間に葉っぱを挟み込み簡単なものが出来上がった。
これで多少の雨は防ぐことができるだろう。
大した道具もなしに、よくやったと自分をほめてやった。
ロゼもシラクモも喜んでくれた。
一息ついていると、蔓に引っ掛けていた兎の毛皮が目に入った。
床に敷いていたのでだいぶ汚れている。俺とロゼの服も洗いたいし、何より風呂は無理でも体を拭きたい。
今日は時間がないから、明日の予定にしよう。
毛皮をアイテムボックスに入れて、ロゼとシラクモと川へと向かう。
「ロゼ、蜂の巣とか肉とか集めてくれたものもアイテムボックスに入れてもいいかな?」
「いいけど、なんで~?」
「どのくらい入れられるのか知りたいし、どこでも巣蜜が食べられるようになるし、便利でしょ!それに、家に置いておくと何かが来て持ってかれても困っちゃうしね。」
「それはこまっちゃうね~、いいよ入れておいて!!」
水を汲み、家に帰って一通りの荷物をアイテムボックスに入れた。
夕飯は蜂蜜漬けのウルフ肉を焼いて食べた。
肉が柔らかいと好評だった。
家の中に新しい落葉を敷いて、ロゼのアイテムボックスの練習をした。
そして、気が付けば寝てしまった。
評価とブックマーク、ありがとうございます!
モチベーションになります!