第7話 ステータスと家の増築
明るくなり、目を覚ました。
朝靄に日が差し込み、幻想的な朝だ。
自称神様の夢を見た。
何かを話していた気がするが、夢から醒めるとぼんやりとしたものへと変わっていく。
ただ一つ、ハッキリと思い出した。
魔法のことをすっかり忘れていたのだ。
ロゼを起こさないように静かに家を出る。
体を伸ばしながら周囲を見回すと、家のある木と近くの木の間に蔓が張られていた。
まるで、洗濯物を干すように毛皮がかけられていた。
確認のしようもないが、獣を吊るしてくれたのはシラクモなのかもしれない。
一通り柔軟運動を終えると、小さい声で唱えてみる。
「ステータスオープン。」
体の中から何か放出されるような感覚があり、目の前にウィンドウが浮かぶ。
名前と年齢はわかる。ほかにも何か書かれているみたいだが、文字化けしていて読めない。
ん~、あんまり役に立たないなぁ。
ほかの魔法を試そうと手首を握り、右手を前に突き出しているところをロゼが見ていた。
「おっ、おはようロゼ。」
動揺を見せないように言う。
欠伸をしながら挨拶を返してくれた。
平静を装い朝食の準備をする。
朝食といっても、昨晩の残った肉を焼いた状態で葉っぱに包んでいたものだ。
食べながら、今日はどうする?とロゼが聞いてくる。
今日は家を広くしよっかとなんとなく答える。
食後、早速作業に取り掛かる。
ロゼには家の周りに落ちている枝や、落葉、蔓や蔦を集めるように指示を出す。
シラクモはロゼの頭に乗り、手伝っているようだ。
家の中の落葉を外に出し、床に敷かれていた兎の毛皮を拾い集める。
後で洗おうと、蔓にまとめて引っ掛けておく。
家自体は自然物なのでそのままに、高さが足りないので家の中を掘ることにした。
腐葉土だからなのか、難なく手で掘ることができた。
三十センチほど掘って家の中で十分に立ち上がることができるようになった。
ロゼが拾い集めている材料を物色し、二メートルほどの太めの枝を六本選んで先端を短剣で削り、杭のようなものを作る。
「ボクもやるよ!」とある程度採集を終えたロゼが言った。
「こうやって削って先を尖らせるんだ。削りカスも使うから葉っぱを敷いてやってみて。」
短剣を研いだおかげか、サクッと一本仕上がった。
ロゼの方も順調みたいだ。
危なげなく、作業を進めている。
三本ずつ削り終えた頃には、日が高くなっていた。
「ロゼ、休憩にしよう!そういえば、蜂の巣ってどこに置いたの?」
「こっちにおいておいたよ!」と持ってきた。
「味見してみよっか。」
層になっている巣蜜を切り出し、そのままロゼに嚙り付かせる。
「美味しい?」
ん~と頬に両手をあてて、キラキラした目で頷いた。
「いただきます。」
手を合わせて一口食べると、口の中にねっとりとした甘みが広がった。
「あ~、ボクもいただきます言いたかったのに・・・」
「ごめんごめん、もう一口食べれるから、ね。」
いただきますと手を合わすロゼの口に巣蜜を入れた。
もちろんシラクモにもあげた。
前足を器用に使って食べながら、体を震わせていた。
ついでに夕飯用の肉を切り出し、一口大にカットして蜂蜜と和えて葉っぱに包んだ。
残りの肉もどうにか処理しないとダメになってしまう。
肉に触れながら収納と心の中で唱えた。
触っていた肉塊がパッと消えてなくなった。
目の前にはウィンドウが浮かび上がった。
評価とブックマーク、ありがとうございます!
モチベーションになります!