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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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第67話 地底湖

風の吹いてくる横穴を少し進むと、洞窟に抜け出た。

今まで通ってきた道は、円の下部を削ぎ落した板蒲鉾状の道だった。

ビクターが言うには、サラマンダーが掘ってこの形をしているとのことだ。

目の前には鍾乳洞のように、つららのような石が天井と地面を埋め尽くしていた。

「ここをサラマンダーが通っていったのね。」

ルバークの言う通り、地面のつららは一部が崩れており、何かが通った跡が残っていた。


洞窟内の広さは十分だが、足場が悪い。

段差や鍾乳石の残骸を避けながら、跡を辿って洞窟を進んでいく。

シラクモとクガネはそんなのお構いなしに、側面の壁を伝って先を行く。

天井の鍾乳石から、水滴がポタリと垂れてくる。

鑑定してみるが、特に害は無さそうだ。

だが、日が入らないせいか空気が冷たい。

服が水滴で濡れると、余計に寒く感じた。


しばらく進むと、ビクターの足が止まった。

「これ以上は無理か・・・。」

諦めるかのように、ビクターはポツリと呟いた。

サラマンダーの跡は、地底湖へと繋がっていた。

天井の鍾乳石も完全に水中に潜ってしまっている。

泳ぐことができなければ、サラマンダーの跡は追うことはできない。

光の玉を近づけると、湖底が見えるほどの透明度で、小さな魚が泳いでいるのが見えた。

鑑定してみて、水を少し舐めてみるが水質に問題は無さそうだ。

「ボートでも行けそうにないですね・・・。なので、俺が泳いで先を見てきますよ。サラマンダーの足跡は続いてますしね。」

アイテムボックスから蔓を取り出し、端っこをロゼに渡す。

「ダイク兄、大丈夫なの?」

俺以外の三人は心配そうに俺を見ている。

「心配しなくていいよ。この透明度だから、何かあれば見えるからね。ロゼが危ないと感じたら、蔦を引っ張ってくれるか?」

装備を外して服を脱いでパンツのみになり、蔓を体に巻き付けて結ぶ。

「わかった!危なくなったら、引けばいいんだね!」

「うん、お願い。シラクモはみんなと待っててくれ。」

そう言うと、シラクモは俺の頭に跳び乗り、離れようとしない。

「シラクモ君は大丈夫よ。お風呂も一緒に入るくらいだもの。シラクモ君、ダイク君をお願いね。」

それを聞くと、シラクモは俺の頭から離れて地底湖へと飛び込み、潜っていった。


俺も足から静かに入水する。

水は冷たいが、我慢して一気に頭まで潜る。

目を開けてみるが、問題なくはっきりと見えている。

向こうの方には日差しが入ってきている場所も見える。

「プハッ。・・・じゃあ、行ってきます!」

みんなに声をかけて、シラクモを追うように潜水する。

先を行くシラクモは、六本の足を器用に使って泳いでいた。

湖底には小さな穴が開いており、そこからシラクモを餌と勘違いした大きな魚が出てきた。

しかし、シラクモが水中でも関係なく、素早く足を使って倒していく。

倒された魚を回収しつつ進むと、キラキラと輝いている水面が見える。

だんだんと苦しくなってきたので、水面を目指して泳ぐ。

水面から顔を出すと、大きな蜥蜴が目の前に倒れていた。

驚きの余り、少し水を飲んでしまいせ返ってしまう。

よく見れば、大蜥蜴の上にシラクモが立っていた。

「ゴホゴホッ、シラクモが倒したのか・・・。ゴホッ、お、驚いたよ。」

シラクモは大蜥蜴の上で前足をあげている。

鑑定すると、この恐竜のような大蜥蜴がサラマンダーだとわかった。

天井は吹き抜けて日差しが降り注ぎ、鱗が鈍く光っている。


洞窟は水から出た小さなスペースで途切れていて、先にはサラマンダーが掘った穴が続いている。


「シラクモ、ここでサラマンダーが来ないか見ててくれるか?俺はみんなを連れてくるよ。」

シラクモが手を振ってくれる。

体に巻いた蔦を、サラマンダーに結びつけて、再び水中へと潜る。

変な水生生物がいないため、問題なく戻ることができた。

「プハッ。先にまだ道が続いてます。サラマンダーも確認できました。蔦を辿れば問題なく向こうへ行けます。」

陸に上がりながら、説明する。

「お疲れ様。怪我も無いようね。」

ルバークは俺の体を、頭からつま先まで確認する。

「ボクは行くよ!」

ロゼはそう言って、服を脱ぎ捨て湖に飛び込んでいく。

「わたしも行くわ。」

ルバークも肌着以外を脱ぎ捨て、行ってしまう。

「お、俺・・・泳げないんだが・・・。」

「わかりました。蔦を体に巻いてください。俺が向こうから引っ張ります。息は止めて、障害物に当たらないようにしてくださいね!」

「お、おう。」

心配そうな顔をしながらも、ビクターは服を脱ぐ。

ビクターの服をアイテムボックスにしまって、再び向こう側へ潜っていく。

水中を抜けると、さらにサラマンダーの死体が増えていた。


「やっぱり、こっちにはサラマンダーがいるわね。・・・あれっ?ビクター君は?」

服を着ながらルバークが尋ねてくる。

「泳げないみたいで、こっちから引っ張ることになりました。」

「そうなんだ!ボクもサラマンダー倒したよ!ダイク兄とルバークさんは、ビクターさんを引っ張ってあげてね!ボクはシラクモとクガネで来る奴を倒すよ!」

ここはロゼに任せて、ビクターをこっちに引っ張ることに集中する。

「よし、引っ張りましょうか!」

服を着たルバークが蔦を持つ。

俺も蔦を持ち、蔦を引っ張った。

しばらく引っ張ると、ビクターの姿が見えてくる。

どこかで擦ったのか、腕から血が流れている。

「ゴパッ、ガハゴホ、だ、助かった・・・。ゴホゴハっ。」

ビクターの顔からは、水なのか分からない水分が垂れている。

「大丈夫よ。落ち着いて呼吸を整えて。」

ルバークはビクターの背中をさすってあげている。

「少し休んでてください。シラクモ、こっちに来て!」

洞窟の先まで進んでいるシラクモに声をかけると、すごいスピードでこちらに来てくれた。

「ビクターさんの腕の怪我をお願いできるか?」

シラクモはコクリと頷き、ビクターの腕と共に淡く光り出す。

「おい、お前ら・・・マジか。」

それ以上、ビクターは何も言わなかった。


「これ、ビクターさんの服です。服を着て、少し休憩しててください。俺はロゼの加勢に行きます。」

ルバークにビクターの服を渡して、ロゼの元へと走る。

もちろん、アイテムボックスにサラマンダーを回収しながら。

ロゼの元に辿り着くまでに、十体以上のサラマンダーを回収している。

「ダイク兄、すごい数だよ!」

ロゼは嬉しそうに迫りくるサラマンダーをバサバサと切り伏せている。

外皮は固いと言われていたことが嘘のように、ロゼの一振りでサラマンダーは倒れていく。

そこにシラクモも頭から離れて参戦するものだから、俺の出番はなかった。

戦闘の邪魔にならないように、サラマンダーをロゼの背後で回収する。


「フフフ、凄まじいわね。」

ルバークは笑っているが、ビクターの口はあんぐりと開いたままだ。

「ビクターさん、もう平気ですか?」

体調やもろもろを込めて質問する。

「あぁ、もう大丈夫だ。だが、本当にお前たちはどうなってるんだ・・・。」

ビクターは頭を抱えてブツブツと何かを言っている。

「気にしたらダメよ。そんなことより、この先が気になるわね。これだけのサラマンダーがいるのよ。やっぱり、あるのかしらね・・・魔獣木。」


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