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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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第64話 新たな街へ

翌朝、ルバークとロゼを連れて、冒険者ギルドへ向かった。

ルバークも冒険者ギルドに登録したので、一緒に依頼を受けようとなったためだ。

掲示板を見るが、Dランクまでの依頼で面白そうなものが見つからずに、悩んでいた。

ルバークはなんでもいいと言ってくれるが、ロゼは討伐の依頼がいいと言う。

しかし、討伐の依頼で俺たちが受けられるものは無かった。

「ロゼ君、残念だけどどうする?」

「何が残念なんだ?」

背後からビクターが話しかけてきた。

「魔獣討伐の依頼を受けたかったんですけど、ランク制限で受けられないんです。」

「あ~、なるほどな。」

掲示板の依頼をビクターは一通り見渡す。

「なら、俺もついてくぞ。それならBランクまで受けられるだろ。」

「いいの?ビクターさん!」

「あぁ、お前たちの実力は知ってるからな。これでいいか?」

ビクターが取った依頼は、サラマンダーという魔獣討伐の依頼だった。

「これ、Bランクですよ。俺たちで討伐できるんですか?」

「大丈夫だ。俺も一度、パーティを組んで討伐したことがある。お前たちとなら問題は無い。」

「ボクはこの依頼でいいよ!」

「ビクター君、本当に大丈夫なんでしょうね?」

「あぁ、俺を信用しろよ。昨日まで一緒に依頼をこなしただろ!」

ビクターはそう言って、依頼書をカウンターに持って行ってしまう。


「ほら、お前たちもタグを持ってこっち来い!」

ビクターがカウンターで俺たちを呼ぶ。

本当に大丈夫だろうか。

ランクだけで考えれば、俺とロゼはDランク、ルバークはFランクだ。

実力とランクは必ずしも一致しないが、不安が残る。

「ダイク君、そんな難しい顔してないで行きましょうか。」

ルバークは平然と言った。

「ルバークさんは不安じゃないんですか?」

「ビクター君が嘘を言ってるとも思えないわ。ダメなら逃げ帰ればいいじゃない。」

「そうだよ!ダイク兄は心配性だなぁ。」

ロゼが俺の手を引いて、カウンターまで連れていく。


「ビクターさん、まさか、そちらの御三方と依頼を受けるんですか?」

キャサリンも心配そうに言った。

「そうだ、キャサリン。こいつらは下手をすれば、俺よりも強いから大丈夫だ。」

「・・・そうですか。ですが、危険なことに変わりはありません。危ないと思えば、撤退も視野に入れつつ、慎重な行動をお願いしますね。」

「わかってる。場所は俺が分かるから説明はいらない。登録を頼む。」

ビクターは俺たちのタグを集めて、依頼の登録を済ませる。

「みなさん、本当に気を付けて、無事にお戻りください。」

キャサリンは最後まで心配そうな顔をしていた。


ビクターに続いて、冒険者ギルドを出る。

「貸馬と荷車を借りに行くぞ!」

「ロデオじゃダメなの?」

「そうね、ビクター君。わたしの愛馬で行きましょう。お願いしてくるから、宿の入り口で待っててちょうだい。」

ルバークは宿に向かって走っていってしまった。

ロゼはロデオに久しぶりに会えることに、目を輝かせている。

「俺たちも宿の入り口に行きましょうか。」

ビクターを伴って、近くの宿まで歩いた。

「無理やり誘って悪かったな。」

「いえ、ロゼも討伐の依頼を望んでいたので、ありがたいです。」

「ボクも嬉しいよ!みんなで出かけられるの!」

話をしていると、ロデオが荷車を装着して宿の前に停まる。

「さぁ、乗って。行きましょう!」


ビクターの指示で、別の門からサンテネラを出る。

鬼蜘蛛の森から離れるように、整備された街道を進んでいく。

「見えてきたぞ!あの山の中腹にサラマンダーの巣があるんだ。今日はあの山の麓の街に泊るぞ!」

ビクターが差す方向には、遠くの方に山がいくつも並んでいた。

日帰りだと思っていたが、泊りがけの依頼みたいだ。

広い街道が整備されていて、道中は所々で冒険者や兵士がテントを張って警備をしていた。

「全然、魔物いないね。」

ロゼは退屈そうに、俺の膝の上に座っている。

「あの人たちのお陰で、こんなにスムーズに進んでるんだよ。ビクターさん、あの人たちも依頼されて警備してるんですよね?掲示板にありましたっけ?」

「警備の仕事は、領主から依頼があるんだ。長い契約で縛られるから、俺は受けたことがないな。でも、人気があるからすぐに募集は終わるんだ。」

「へぇ~、そうなんですね。」

休憩を挟みながら、麓の街を目指してロデオは走る。


魔獣に襲われることも無く、夕方前までに街に辿り着いた。

街はレンガの壁で囲われていて、要塞のような雰囲気がある。

サンテネラと比べると小さな街だが、通りには多くの人が見える。

街の奥には、大きな山々が聳え立っていた。

「フィリムへようこそ。何用でこの街に?」

街の入り口に立つ兵士が、ロデオの前に立ち塞がり聞いてくる。

「サンテネラの冒険者ギルドから来た。サラマンダーの討伐依頼だ。」

ビクターは門番に冒険者タグを見せる。

俺たちもそれに倣って、タグを兵士に見せる。

「そうでしたか。どうぞお通りください。」

兵士はロデオの脇に避けて、俺たちを通してくれる。


「人がいっぱいいるね!」

人だけでなく、店も沢山並んでいる。

「ここは何か有名なものでもあるんですか?」

「鉱石が有名だな。あの山で取れたものだな。あとは、フィリムの街を抜けて山を越えると王都があるんだ。ここは中継地として栄えているんだ。」

王都か・・・いつかは見てみたい。

「そう言えば、この国の名前って何ていうんですか?」

「なんだ、知らないのか?ベルカイム王国っていうんだ。」

「王国ってことは王様がいるんですよね?」

「そりゃ、そうだろ。ルバークに教えてもらってないのか?」

一般的な教養は教えてもらったが、国やどこに何があるのかは教えてもらっていない。

「そういえば、忘れてたわね。」

「まぁ、お前たちはまだ小さい。ゆっくり学べばいいさ。あっ、ルバーク、停まってくれ。今日はここに泊るぞ。」

ビクターは荷車から下りて、宿へと入っていく。

「地図って売ってたりしませんかね?」

雑貨屋などでも見たことがないので、聞いてみる。

「チズって何かしら?」

ルバークと地図について問答するが、知らないみたいだった。

サクラの残した本にも地図は無かった。


「ルバーク、ロデオは宿の裏に厩舎があるから、そこに連れて行ってくれ。」

ビクターが宿から顔を覗かせていった。

「わかったわ。二人は先に宿の中で待っててちょうだい。」

そう言われ、俺とロゼは荷車から下りる。

下りたのを確認すると、ルバークはロデオを走らせ通りの角を曲がっていった。

「お前たち、中で待ってようぜ。」

ビクターが扉を開けて、俺たちを手招く。

中に入ると、サンテネラの宿とは違い酒場は無かった。

「食事はどこでとるんですか?」

「ここの宿に食事はつかない。外に食いに行こうぜ!」

「いいね!そろそろお腹すいたよ、ボク。」

「じゃあ、ルバークが来て部屋に荷物を置いたら食いに行くか!」

そんな話をしていると、ルバークが宿の裏口から入ってきた。

ビクターに案内され、部屋を見に行く。

俺たちも大した荷物が無いが、ビクターもほとんど持っていない。

「ビクターさんは泊まりなのに、なんでそんなに荷物が少ないんですか?」

ビクターは何を言ってるんだという顔をする。

「俺も浄化くらいは唱えられるんだぞ。そんなに大荷物がいるか?」

そうか・・・俺はビクターのことを何も知らない。

武器は腰に差している剣を使うんだろうが、魔法はどうなんだろう。

「ビクターさんは魔法は何が使えるんです?」

「そんなことは、飯でも食って話そうぜ!ほら、行くぞ!」


俺とロゼは部屋から出ていったビクターを追いかける。


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