第6話 シラクモ 2
どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。
錆研ぎにすっかりと夢中になり、いつの間にかピカピカの短剣に生まれ変わっていた。
ロゼの方を見やると、うっとりとピカピカの短剣を見つめていた。
「ロゼ、上手にできたね。急いで帰ろうか。シラクモも待ってるよ!」
「そうだね、シラクモにもピカピカ見せてあげないと~!!」
水分を補給し、水筒にたっぷりと水を詰め込み帰路へ着く。
切れ味の確認ついでに、木に巻き付いている蔓や蔦を集めながら帰ってきた。
「シラクモ、ただいま~!」とテンション高めに短剣を見せつける。
シラクモは前足をあげて答える。
解体作業はすっかり終わっており、肉は大きな葉っぱの上に置かれていた。
なんて出来る蜘蛛なんだ・・・
今も毛皮の上で何かしているようだ。
シラクモにお礼を言い、食事の準備に取り掛かる。
ロゼには火をつける準備をお願いして、今日食べる肉を切り出す。
ロゼは穴を掘り、その中に落葉を敷き、枯れ枝を組んでいた。
「じゅんびできたよ~!」
元気に背中に飛び乗ってくる。
鞄から魔石を取り出し、穴の中の落葉に火をつける。
大きな肉の塊を直火で炙る。いい匂いが辺りに漂う。
短剣を火で炙って消毒し、肉塊の表面を削いで一口サイズの肉にする。
さらに両面にしっかり目の焼き色をつける。
肉から油が滴って、短剣がさらに輝いて見える。
フーフーと冷ましてロゼに食べさせる。
「あーーん。。。ん~~~、すごいおいしいよ!!ダイク兄も早くたべて!!!」
急かされながら、いただきますと口に肉を放り込んだ。
肉質は固めだが、臭みやクセはなく、肉自体の味が濃いがさっぱりとしている。
今日はこのままの素材の味を楽しんで、明日からは蜂蜜をつけてみてもいいかもしれない。
シラクモの分も用意し、細かく切って葉っぱにのせてあげた。
両前足を器用に使って、あっという間に肉が無くなった。
満足したのか、ピョンピョン跳ねて獣の毛皮があるところへと戻っていった。
「いただきますってなぁに?」とロゼが聞いてくる。
食事の前の挨拶のようなもので食材に感謝を、という話をしてやる。
ロゼもいただきますと挨拶をして肉を頬張った。
久しぶりの肉に興奮しつつ、満腹になるまで食べ続けた。
食べ終わったころには、すっかりと辺りが闇に包まれていた。
お腹がいっぱいになったせいか、疲れからか、火の灯りに浮かぶロゼの顔は眠そうだ。
火の後始末として、掘った土を被せ、家の中に戻り落葉に包まれる。
ロゼは腕に抱きつくようにしてすぐに寝息を立てていた。
天井の木の根っこを見ながら、いつの間にか眠りについた。
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