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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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閑話 ロゼの従魔

リンデンとサンテネラに向かう前日の話です。

早朝、ロゼの騒がしい声で目を覚ます。

「ロゼ、朝からうるさくしちゃ駄目だよ。」

目を擦りながら、注意する。

ぼやけた目でロゼを見ると、手の上に小さな鬼蜘蛛がいた。

「ゴメンね、ダイク兄。起こしちゃったね・・・。見て、鬼蜘蛛が目覚めたよ!」

ロゼが手を近づけて、見せてくる。

手のひらの上には金色に輝く体毛を持つ、小さな鬼蜘蛛がいた。

元はシラクモと同じくらいの体格だったはずだ。

今では手のひらに収まるサイズになっている。

「本当だね。よかったね、ロゼ。」

ひとまずロゼと喜びを分かち合い、鬼蜘蛛を鑑定してみる。


【名前】 -

【種族】 鬼蜘蛛

【位階】 15

【体力】 150/150

【魔力】 300/300

【スキル】 -

【固有スキル】 雷魔法


進化とはマザーのように、どんどんと大きくなっていくものと思っていたが、違うみたいだ。

「まだ名前は決めてないの?」

固有スキルの雷魔法も気になるが、名前について尋ねる。

「う~ん、考えてるんだけどいいのが浮かばないんだよね。ダイク兄は何がいいと思う?」

シラクモの時は、体毛の色と蜘蛛を合わせて白銀蜘蛛でシラクモと名付けた。

「金色だから・・・ゴールド、おうごん、こがね、くがねなんて別名があるね。」

自分の知りうる限りの金を絞り出した。

「クガネがかっこいいね!この子の名前はクガネにするよ!」

ロゼが名前を決めると、鑑定の名前の欄が埋まった。

「ロゼ、クガネは雷魔法が使えるみたいだ。朝食を食べたら、見せてもらおうか。クガネに。」

「クガネ、いい?」

クガネはロゼの手のひらの上で、跳びはねている。


目も覚めてしまったし、少し早いが朝食の準備をすることにした。

階段を下りるが、リンデンはまだ寝ているようだ。

「ロゼ、顔洗うよ。」

顔を洗って、早速準備に取り掛かる。

今日はクガネの進化記念を祝って少し豪華にしようか。

たまご、ミルク、はちみつでプリン液を作ってパンを浸す。

フレンチトーストを作っていると、リンデンの階段を下りてくる音が聞こえてきた。

「おはようさん、いい匂いで目が覚めちまった。」

「おはよう、見て、リンデンさん!クガネだよ!」

「おはようございます!」

リンデンは目を擦りながら、クガネを色々な方向から覗き込んでいる。

「何だ、ロゼまで鬼蜘蛛をテイムしたのか?お前らの常識はどうなってるんだ?」

リンデンはそう嘆いているが、俺は気にしない。

シラクモとクガネが望んだ血の契約だ。

リンデンにそれを教える気はないので、聞こえなかった振りをした。


「出来ましたよ!リンデンさんは早く顔を洗ってきて下さい。」

背中を押して、洗面所へと連れていく。

ロゼと協力して、料理をテーブルに並べる。

「クガネも食べるだろ?」

シラクモと同じようにクガネの分も皿を用意する。

リンデンが席に着くと食事が始まった。

「「「いただきます!」」」

この家に慣れたのか、リンデンも真似して食事前に挨拶をするようになっていた。


「リンデンさん、俺たちは裏庭で魔法の練習をしてますね!」

「おう、俺は家でゆっくりしてるぜ。明日からは移動だからな。お前たちもほどほどにな!」

ロゼとシラクモ、クガネを連れて裏庭の東屋へと向かう。


「クガネ、魔法を使ってくれる?」

ロゼが手のひらの上にいるクガネにお願いすると、クガネの体の周りに小さな稲妻が走り出す。

「へー、やっぱり雷魔法なんだね。触ってみてもいいかな?」

クガネが頷くので、触るとパチッと静電気のような痛みがあった。

ロゼは平気そうにクガネに触っていた。

「ロゼは感じないのか?」

「うん、別に何ともないよ!」

血の契約のお陰かは分からないが、ロゼにはクガネの雷魔法が無効なのかもしれない。

「クガネ、もう少し強くできるか?」

クガネは頷くと、バチバチと耳でも聞こえる電流が体の周りを駆け巡った。

ロゼはクガネを落とすこともなく、平然としている。

俺も触ってみるが、痛みもあったがしびれて動けなくなり、体が硬直して椅子から落ちてしまう。

「だ、ダイク兄、だ、だ、だ、大丈夫!?」

ロゼたちが心配そうに見つめているが、しびれ自体はすぐに無くなり、動けるようになった。

「大丈夫、ちょっとビックリはしたけど・・・。」

指先に痛みがあり、見ると火傷をしたように焼けただれていた。

「凄い威力みたいだね。シラクモ、魔法で治してくれるか?」

お願いすると、シラクモと俺の指が淡く光って傷がきれいに無くなる。


「クガネ、他には何かできる?」

クガネに聞くが、体全体を使ってできないと答えた。

「そうか・・・。」

「ダイク兄、あとはボクとクガネでどう戦うかを考えるよ!危ないから、ダイク兄は向こうで自分の魔法の練習をしてて!」

ロゼにそう言われ、シラクモと離れたところで魔法の練習をすることになった。

サクラの『中二病魔導大全』を読んで結界魔法の強化を試みるが、成果は上げられなかった。

もう少しで昼かというときにロゼから声がかかる。

「ダイク兄、見て!」

剣を振りながら、ロゼは満々の笑みを浮かべていた。

「ロゼ、人の前で剣を振っちゃダメだよ!」

「ごめん、ダイク兄。でもここ見て!」

剣の柄の部分にクガネがくっついていた。

刀身が・・・というかロゼ自身もバチバチと電気を帯びている。

「体に影響はないのか?」

ロゼに触れようとすると、パチッと静電気が邪魔をする。

「全然、大丈夫だよ!」

鑑定すると、クガネの魔力がすごい勢いで減っていた。

「そうか・・・ならいいんだ。でも、クガネの魔力もまだあまりないから、使いどころはちゃんと考えないとね。」

「うん、大事な時に使うことにする!」

クガネが魔法を止めたところで、午前の魔法の練習は終わりになった。


このままウルフの襲撃が無ければ、明日から出かけることになる。

久しぶりのサンテネラを楽しむためにも、午後は体力づくりをやめてゆっくり休むことにした。

休むといっても、明日からに備えて外で簡単に食べられるように料理に勤しむ。

好評な唐揚げパンも大量に仕込み、野菜とオーク肉で豚汁も作った。

味見をしていたリンデンにも高評価をもらって、沢山の料理を作り終えるころには日が落ち始めていた。

食事をとって、風呂に入り、ベッドに潜る。

興奮で眠れないかと思ったが、ベッドに入ると気がつけば眠っていた。


その日は、ルバークの夢を見たような気がする・・・。


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