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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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第60話 ルバークとの再会

「そういうことみたいだ。悪いが、今日はルバークに会えないみたいだな。」

リンデンはそう言って、歩き出す。

「ほら、ついて来い!宿に行くぞ!」

立ち止まっている俺とロゼを、手招きしていた。

ロゼの手を取って、リンデンについていく。

「お前たちが言ってた宿でいいよな?前もあそこに泊ってたんだろ?」

「はい、そこでお願いします!」

宿は冒険者ギルドからすぐのところにあるので、あっという間に着く。

夜も更けてきたので、酒場が賑わっていた。


「いらっしゃい!あ~、あんた達かい!久しぶりだね!」

宿屋のおばさんは俺たちを覚えていたみたいで、元気に挨拶してくれる。

「お久しぶりです、おばさん!」

「ひさしぶり、おばさん!」

リンデンはニヤニヤしながらやり取りを見ていた。

「部屋に空きはあるか?この二人を泊めてほしいんだ。金はギルドで持つからよ。」

ジャラッと金貨をカウンターの上に並べて言う。

「ルバークちゃんの部屋じゃ、ダメなのかい?」

「俺たち、今日この街に着いたところで、ルバークさんにまだ会えていないんです。ルバークさんのいないうちに勝手に入るのは気が引けるので、別の部屋でお願いできますか?」

「そうだったのかい。じゃあ、隣の部屋を使いなよ!」

カウンターの下から鍵を取り出して、俺たちにくれる。

「ありがとうございます!」

「じゃ、女将、二人のことを頼むぜ!俺はギルドに戻るからよ!」

「あいよ、任せておきな!」

「はい、リンデンさんもありがとうございました!」

「ありがとう!」

リンデンは手をあげて、ギルドへと戻っていった。

「夕飯はまだだろ?すぐ用意するから、先に荷物を部屋に置いておいで!」

おばさんにペコリと頭を下げて、部屋へと階段を登る。


たいした荷物もないので、置くものもないが部屋に向かう。

鍵に書かれた部屋番号は以前泊った部屋だった。

鍵を開けると、以前と変わらず懐かしさすら感じる。

扉も窓も修理されて、綺麗になっているが窓から見える景色は変わらない。

街灯の魔石が煌々と大通りを照らしていた。

「ダイク兄、お腹すいたよ。早く下に行こう!」

ロゼのお腹からも音が聞こえてきた。

「酒場にお客さんが沢山いたから、ローブは脱いでいこう。シラクモとクガネは戻ってきてからご飯でいいか?」

部屋に入るなり、ベッドに跳びこんだシラクモとクガネに聞く。

二匹は前足をあげながら、頷いてくれる。

「ごめんな。すぐに戻ってくるから、待っててな!」

ロゼと一緒に部屋を後にする。


「遅かったね!準備できてるよ!」

階段を下りると、おばさんの元気な声が俺たちに届く。

「ありがとうございます。」

「あ~、お腹すいたねぇ。ダイク兄、早く食べよ!」

「「いただきます!」」

おばさんはやり取りを微笑ましく見守り、酒場のお客さんの相手をしに行った。

久しぶりにここで食べるが、もちろんいつもの味で、実家のような安心感がある。

酒場が混みあって騒がしいが、この喧騒も悪くない。

食事を美味しくいただいて、部屋へと戻る。


魔法で体をきれいにすると、ロゼはすぐに寝てしまった。

ほとんど走り通しで疲れがあったんだろう。

シラクモとクガネの食事を済ませると、俺もすぐに寝てしまった。



息苦しさを感じて、目を覚ます。

顔の上にシラクモが乗っかっていた。

「シラクモ、苦しいんだけど・・・。」

シラクモは顔からベッドに下りて、何かを伝えようとしている。

「ん~、何?よく分からないよ・・・。」

目を擦ってシラクモを観察するが、よく分からない。

窓からは暖かい日差しが入ってきている。

階下にある調理場からの料理をする音も聞こえてくる。

「ロゼ、起きて。朝だよ。」

ベッドから起き上がり、ローブを羽織りながらロゼに声をかける。

「うん、起きるよ・・・。」

ロゼの準備を手伝って、朝食を食べに部屋を出る。


階段を下ると、おばさんと知っている女性の声が聞こえてくる。

「ほら、下りてきたよ!二人とも、おはよう!」

宿のおばさんの元気な声が響く。

「おはよう、ダイク君、ロゼ君。帰りが遅くなってごめんなさい。」

ルバークがカウンターで俺たちを待っていた。

「ルバークさん!!」

ロゼはルバークを見ると、階段を駆け下りてルバークに抱きつく。

「おはようございます。ルバークさん、おばさん。」

ルバークは俺を手招いている。

近くに行くと、頭を撫でられた。

「ギルドマスターから簡単にだけど、話を聞いたわ。二人とも大活躍したみたいじゃない。」

「ボクにも従魔ができたんだよ!後で見せてあげるね!」

ロゼは嬉しそうにルバークに話をしている。

「さぁ、朝食にしましょうか。おばちゃん、そっちのテーブルでお願いね!」

ルバークは立ち上がると、すぐ後ろのテーブル席に移動する。

俺とロゼも同じテーブルに座る。

「ルバークさんも冒険者になったんですよね?」

「そうなのよ。橋が壊れちゃって、帰れなくなったときにたまたまマスターに捕まっちゃってね。やることも無いし、仕方なく始めたけど、なかなか楽しかったわ。ダイク君とロゼ君は森でどう過ごしてたの?」

俺たちの話は食事を食べ終わっても、部屋に戻っても続いた。


「じゃあ、今日はその魔獣木をマスターに見せに行くのね!もちろん、わたしも行くわ。わたしへのお土産なんでしょう?マスターが取り上げないように見張ってないとね!」

冒険者ギルドにルバークもついて来てくれることになった。

「お願いします。ここでは何の魔獣が生まれるのか分からないので、ルバークさんがいてくれれば心強いです。」

「そうだね、ここでは何が生まれるんだろうね!」

ロゼの目はキラキラと輝いている。

「ロゼも待ちきれないみたいだし、もう行きましょうか。ルバークさん、体は大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。さっきも言ったけど、しっかり交代しながら休んだからね!」

ルバークの話を聞く限りでは、誰かと組んで依頼をこなしていたみたいだ。

「わかりました。じゃあ、冒険者ギルドに行きますか!」

「うん!」

ロゼは勢いよく立ち上がり、俺とルバークの手を引いて走り出す。


宿を出たところにビクターと弧人族のヴィド、猿人族のアルがいた。

「おはよう、お前たち。久しぶりだな!」

ビクターが代表するように挨拶して、ヴィドとアルは片手をあげている。

「お、おはようございます。なんでビクターさんとヴィドさん、アルさんがここにいるんですか?」

「ヴィドさん、アルさん!久しぶり!」

ロゼは俺たちの手を放して、ヴィドとアルのところへ行ってしまう。

「昨日の依頼をルバークと俺たちで一緒に受けていたんだ。これから、報告に行くところだが遅いぞ。ルバーク。」

「ごめんなさいね。久しぶりに二人に会えて、話が止まらなくてね。」

ビクター達も怒っている感じではなかった。

「ヴィドさんとアルさんはなんでサンテネラにいるんですか?村はいいんですか?」

「大きくなったな、ダイク。おいらたちの村にも魔獣が出るようになっちまってな。今は一時的にサンテネラに村人全員で避難してきてるんだ。することも無いから、戦える村人は冒険者登録をしたんだ。少しでも魔獣を減らして、早く村に帰りたいからな。」

アルが丁寧に事の経緯を教えてくれた。

「そうでしたか・・・。」

「ダイクが気にすることじゃない。」

ヴィドは俺の頭を撫でながら、ポツリとつぶやく。


「さぁ、感動の再会も果たしたことだし、冒険者ギルドに行きましょうか!」

ルバークは冒険者ギルドを指差しながらそう言った。

「お前がそれを言うのか?まぁ、違いない。行くか!」

ビクターはつっこみながらも、納得して歩き出す。

俺たちをぞろぞろと引き連れて。


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