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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第一章 ダイク 五歳
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第4話 冬を前にして 2

倒木に辿り着いた。

目の前にすると、大きさがよくわかる。

直径二メートルはあるだろう、立派な大木が木々を縫うように倒れている。

獣のこともあるので、分担して素早く終わらせることにしよう。

ロゼには木の上面を、俺は周囲を見て回る。

こそこそとロゼに伝え、登るのを補助してやる。

「なにかあれば呼ぶんだよ。」と送り出す。


きのこが落ちてきた洞のあたりを捜索するが、何にもなかった。

きのこが生えていた痕跡すらない気がする。

ん~、と顎に手を当てて難しい顔をしていると、ロゼから小さな声でお呼びがかかった。

洞に足をかけ、勢いをつけて登り、ロゼの元へ急ぐ。

「あそこ見て!なにかあるよ~!」

きのこが落ちてきた洞とは別の大きな洞を指差し、小さい声で教えてくれる。

蜂の巣かな?飛んでいる蜂は見当たらない。

巣に顔を近づけ、耳を澄ますが羽音も聞こえてこない。

短剣で突いても蜂は出てこなかった。

「これは蜂っていう虫の巣だね。よく見つけたなぁ。」

頭をワシワシ撫でながら、褒めてやった。

洞に体を落とし、蜂の巣を支えながら短剣で接着面をザクザクと剝がしていく。

剥がれた部分からは蜂蜜の甘い匂いが漂い、完全に木から離れるとなかなかの重量があった。

巣を先に持ち上げ洞から出て、ロゼに渡す。

先に地面へ飛び下り、巣を受け取る。その巣を床に置いて、ロゼを受け止める。


木の解体をして、薪として利用したいが今はどうすることもできない。

他には何もなかったことをロゼに伝え、巣を持って獣の元へ急ぐ。


獣は相も変わらずそこにあった。

巣をロゼに渡し、持って帰れるか聞いてみる。

ロゼは満面の笑顔で頷いてくれる。

獣を吊り上げていた蔓を短剣で引きちぎり、背中に抱えて家路を急ぐ。

なかなかの重さに苦戦しながら、休憩を挟みつつ家に帰ってきた。


「ロゼ、お疲れ様。コッソリできて偉いぞ!!」

「でしょ、ただいま~。あれっ、クモさんかえってきてるよ!」

ただいまと家に入ると、天井に蜘蛛がいた。

あれっ、記憶にあるのは黒っぽい小さい蜘蛛なんだけど・・・

見るからに大きいし、白銀(シルバー)のフサフサの毛が体と六本の足に生えている。

蜘蛛って六本足なんだっけ?

目は顔の真ん中に一つ大きいものがあり、その左右に三つずつあるのがわかる。

何より特徴的なのは猫耳のようなものがあるのだ。

なかなかに可愛らしい見た目をしている。少なくとも嫌悪感はない。

「ほら見て、せいちょうしたあのクモさんだよ~!」

ロゼが手を上げ下げすると、蜘蛛も前足を上げ、同じ動きをする。

確かに、以前からそうやって遊んでいたっけ・・・

まぁ、細かいことを気にしたらキリがないもんね。

「ロゼ、蜘蛛さんに名前をつけてやれば?」

ん~、ん~、とロゼが頭を抱え始めた。


ロゼが頭を働かせている隙に、獣の解体を試みる。

が、毛皮が短剣を通さない。

短剣の錆をどうにかしないと厳しいか、と考えているとロゼがムスっとしながら言う。

「ダイク兄もかんがえて!」

「ごめんごめん、何かいい名前は浮かんだ?」

「ぜんぜん浮かばないよ~。なまえってどうやってつけるの?」

「例えば・・・白っぽい蜘蛛だから白蜘蛛(シラクモ)はどうかな?」

というと体から何か抜けるような感覚に襲われる。

フラリとして膝をつく。

心配そうにロゼが見てきたが、何でもないと立ち上がる。

「ならきまりね、このクモさんはシラクモだよ!シラクモ~、これからなかよくしてね!」

ロゼがそう告げると、シラクモが俺の方に向かって飛んできた。

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