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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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第41話 夜半の襲撃

41(閑話込みで45)話目にして、ようやく10万字達成しました!

読んでくれている方々に感謝です!


少しでも皆様の暇をつぶせるように頑張ります!


窓がゆっくりと開けられる音が、部屋の中に静かに響く。

足音も、俺たちの部屋の入り口のドアの近くまで来ているのがわかった。

明らかに、この部屋に何かしらの狙いがあるのだろう。

ルバークが手で指示を出す。

俺は窓の方を、ルバーク自身はドアの方をと。


ロゼの小さな寝息も聞こえている。

今、起こしてもパニックになるだけだろう。

ロゼに掛け布団を顔まで被せ、侵入者から見えないようにする。

シラクモには何も言ってないのに、ロゼの側に陣取り、まるでロゼを守ろうとしてくれているみたいだった。


俺もルバークの肩を叩き、目を塞ぐようにジェスチャーで伝える。

オーク戦を見ていない侵入者たちには、一定の効果は見込めるだろう。

それだけで、ルバークには何をするのかが伝わった。

ルバークは頷くと、手で顔を覆い隠している。


次の瞬間、隣の部屋のドアが音を立てて開き、女性の悲鳴が宿に響き渡る。


「チッ。」と舌打ちがドアの向こうから聞こえる。

侵入者たちは窓を破壊し、ドアを蹴破り部屋へと入ってくる。

廊下の魔石と宿の外の街灯の魔石が、部屋に侵入者たちの影を作る。

俺は目を閉じて魔法を放つと、瞼の裏に閃光が駆け巡る。

侵入者たちは、呻き声を上げながら、目を押さえてその場にうずくまる。

俺も少し目がチカチカするが、行動に移る。


すでに部屋には光の玉が浮かんでいて、侵入者たちは丸見えだった。

侵入者たちは一様に、黒づくめの服装にローブを被り、顔が見えない。

土魔法で窓から入ってきた小柄な侵入者に手枷と足枷をつけ、動けなくする。

何だか変な仮面を被っているようだが、今は放っておく。

ルバークの方を見ると、すでに捕獲は終わっていた。

侵入者二人がそれぞれに鳥かごの中に入れられている。


「ん~、どうしたの?」

後ろからの声に驚いたが、ロゼが目を擦りながら体を起こしていた。

「起こしちゃったわね。」

ルバークは魔法の灯りを消し、部屋の入り口の魔石に触れて、灯りをつけた。

「ダイク君はロゼ君とこいつらの見張りを頼むわ。わたしは他のお客さんとおばさんの無事を確認してくるわ」

ルバークはそう言い残し、部屋を出ていく。

「お願いします!シラクモもルバークさんについていってもらってもいい?」

シラクモは何も言わずに、ルバークの後を追っていった。


しばらくロゼに、今の状況を説明しながら待った。

「え~、ダイク兄、ボクもおこしてよ!」

少し不機嫌そうではあるが、頭を撫でてごまかした。

「俺も寝ぼけてて、よくわからなかったんだ。」

ロゼは捕まっている侵入者や、壊れてしまった窓を見ている。

ロゼが危ないことをしないよう、後ろから見守った。

「ダイク兄、見て!ひもがあるよ!」

窓の外をみて、ロゼは興奮気味だ。

「紐っていうより、ロープだね。これで降りてきて窓を壊したんだね。」

窓の外から見える大通りには、人通りがなく静まり返っていた。

それだけ、夜が深いのだろう。


部屋の外からは、ルバークが暴れているのだろうか。

男の断末魔のような声が聞こえてくる。

捕らえられた侵入者たちは、その声を聞き、戦意を喪失している。


「待たせたわね。おばさんもお客さんも無事だったわ。」

ルバークは侵入者をキッと睨み、俺たちには笑顔を向ける。

侵入者たちはビクッと体を震わせる。

「この人たちはどうしますか?」

このままでは安心して眠ることなど不可能だ。

「大丈夫よ。今、おばさんが兵士を呼びに行ってくれてるわ。引き渡して終わりよ。」

ルバークは再び、侵入者たちに厳しい視線を向ける。

侵入者たちの顔色が仮面越しでも悪いのがわかった。


しばらく待つと、宿の下の階が騒がしくなってきた。

兵士が到着したのかもしれない。

「ルバークちゃーーん!」

宿屋のおばさんの呼び声が聞こえてくる。

「ちょっと、行ってくるわね。二人はこいつらを見ててちょうだい。」

ルバークは足早に部屋を出ていった。


この世界で罪を犯すとどうなるのだろうか。

仮面の侵入者たちを見て、ふと思った。

なんとなく、日本にいた頃の常識で乗り切れていたので聞いてこなかった。

誰かに襲われるなんて初めての経験だった。

魔獣たちに襲われるのは慣れてきたが・・・。


沢山の人が、部屋に近づいてくるのが足音でわかった。

ルバークと兵士だろうか。

シラクモは掛け布団に潜っていく。

「この部屋です。」

ルバークの姿が見え、兵士の方々が部屋に入ってくる。

「君たちか、大変だったな。こいつらは連行するから安心してくれ。」

顔見知りの門番の兵士さんだった。

「よろしくお願いします!」

「します!」

俺たちが返事をすると、顔見知りの兵士は「大丈夫そうだな」と笑っている。


「よし、この部屋は三人だな。連行しろ!」

顔見知りの兵士以外で、侵入者たちを連行しようとしている。

「お前たち、大人しく手を出せ!」

兵士たちは手際よく、侵入者たちに縄をかける。

「君たち、魔法を解いてくれないかな?」

顔見知りの兵士がそう言うと、ルバークは俺を見つめて指を鳴らす。

すると、鳥かごが土に還っていく。

俺も魔法を解き、窓から侵入した者の手枷足枷は土へと還った。


「よし、連れていけ!」

顔見知りの兵士の言葉で、他の兵士が動き出す。

侵入者たちの手にかけた縄を持ち、引っ張るように部屋を出ていった。

「奴らのことは、俺たちが責任をもって対処する。もう大丈夫だ。念のために部屋を調べさせてもらうよ。損害額を出さないといけないからね!」

顔見知りの兵士は申し訳なさそうな顔でそう言った。

「え~、ねれないの?」

ロゼの瞼は半分下がっている。

「すまないが、君たちには下で状況を説明してほしい。下に兵士が待っているから、今から下りてくれ。」


ロゼは不服そうだが、仕方がない。

ローブをロゼに着せて、俺もベッドのシラクモを回収しつつローブを着る。

「行きましょっか。」

ルバークも少し眠たそうだ。

「はい」「は~い」


食堂まで下りると、沢山の人がいた。

兵士たちや宿のおばさん、酒場のテーブルに座っているのは宿のお客さんだろう。

宿の入り口にも野次馬が群がっている。

「あんたたち、大丈夫だったかい?」

宿のおばさんは俺たちを見つけるなり、心配そうな顔でそう言った。

「大丈夫です。怪我もありません。おばさんも大丈夫でしたか?」

「あたしは大丈夫だよ!馬鹿どもの一人を叩きのめしてやったわ!」

身振り手振りを交えて、どう戦ったのかを教えてくれる。

おばさんは夜でも元気だった。


「おばちゃん、もういいかな?こっちの少年たちの話を聞かせてほしいんだ。」

少しチャラそうな兵士が俺たちに割り込んでくる。

「あら、邪魔だったね。あたしは向こうで休んでるよ。何かあれば呼んどくれ。」

おばさんはカウンターの奥へと消えていく。

「・・・いいわ、そこのテーブルで話をしましょう。」

俺たちはテーブル席に移動し、起こった事を話した。


話し終わるころには、空が白んでいて朝になっていた。


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