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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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第38話 市場と試験

シラクモはフードの中にいる。

従魔登録をしたが、シラクモ自らフードの中へと入っていった。


市場は門から繋がる大通りをはさんで、反対側の裏通りにあった。

所狭しと露店が並んでいる。

食材だけでなく、料理も売っているので食べ歩きをしている人もいた。

「うわぁ~、向こうまでずっとおみせなの?」

ロゼが言う通り、かなりの数の店が軒を連ねている。

「ダイク君、予算は気にしないでいいわ。欲しいものを買ってね。ロゼ君も食べたいものがあったら言ってね。」

気にしなくていいと言われても、物の相場がよく分からない。

まずは見てみないことには始まらない。

「ありがとうございます。見て欲しいものがあれば相談しますね!」

そう言って、市場の中へと入っていく。


様々な野菜やお肉、ソーセージなどの加工食品が並んでいる。

「ぼくたち、お遣いかい?」

「うちは安いよ~!」

店主たちが声をかけてきて、市場は活気にあふれている。

ガヤガヤした中、店を見ていくといい匂いが漂ってくる。

「ルバークさん、あれたべたい!」

ロゼも臭いにつられて、食べたくなったようだ。

「いいわよ。おじさん、それを四本ちょうだい。」

銅貨と引き換えに、串焼きを四本受け取っている。


ルバークが買ってくれた串焼きを露店の陰で食べる。

ハーブの香りが鼻を抜け、美味しかった。

鑑定してみると、角兎の肉を串に刺して焼いているみたいだ。

シラクモも、フードから顔を出し、串焼きを頬張っている。

「おっ、お兄ちゃん、そいつはお兄ちゃんの従魔なんだよな?」

シラクモの方を見ながら、串焼き屋の店主が言う。

「そうです。さっき従魔登録もしました。」

シラクモを撫でながら、安全であることを示す。

「そうかい、珍しいから気をつけなよ。」

そう言って、店主はどこかへといなくなる。


何だか物騒なことを言われた。

ルバークたちには聞こえてなかったのか、「次は何食べよっか?」と話している。

串焼き屋の露店は、おばさんが引き継いで焼いている。

捕まえてどこかに売る勢力でもいるんだろうか。

シラクモを簡単に捕まえることなんてできないと思うけれど、警戒はしておいて損ではないだろう。

そんな考えが頭の中から消えず、市場を純粋に楽しむことができなかった。


宿に戻り、夕飯を食べて部屋に戻る。

一応、ルバークに伝えてみるが、問題はないが警戒をしようと話はまとまった。

街にいるうちは、シラクモにはフードの中で過ごしてもらうことになった。


翌朝、朝食を食べてからロゼと手を繋いで冒険者ギルドへと向かう。

もちろん、ルバークもシラクモも一緒だ。

朝早くに行けば人も少ないかと思ったが、朝からギルド内は賑わっている。

人を避けながら、一直線に受付へと出向いた。

「おはようございます!冒険者登録の試験を受けに来たんですけど・・・。」

昨日と同じ受付のお姉さんに話しかける。

「おはようございます!お待ちしておりました。登録される、ダイクさんとロゼさん。従魔のシラクモさんは私についてきてください。」

お姉さんは俺たちをカウンター脇の階段に連れていこうとする。


「わたしは、座って待っているわ。二人とも頑張ってね!」

ルバークは席につき、手を振って見送ってくれる。

「頑張ります!」

「いってくるね!」

それぞれに、ルバークの激励に答えた。


階段の前で、お姉さんは笑顔で待ってくれている。

ロゼと急いでお姉さんの元へと走る。

「こちらです。中でお待ちください。」

階段を上ってすぐの部屋に入ると、体育館のような広い空間があった。

壁際には木製の様々な形状の武器が並んでいる。

お姉さんは俺たちを案内し終わると、扉を閉めて戻っていった。


ロゼと武器を見たり、盾の確認をしていると、扉が開く音がする。

背が高い三十代前半くらいの筋肉質な男性が入ってくる。

上半身には黒光りしている鎧を纏い、腰に剣が二本ぶら下げている。

「待たせたね。ダイクとロゼだね。俺はC級冒険者のビクターだ。試験官を務めることになった。よろしく!」

「よろしくお願いします。ダイクです。」

「ロゼです。おねがいします!」

互いに挨拶を交わすと、ビクターは辺りを見回している。

「ダイクの従魔のシラクモってのは、どこにいるんだ?」

フードを軽く開くと、シラクモが頭の上に出てくる。

「へぇ~、鬼蜘蛛だよな?珍しいな。」

ビクターは近づいてきて、シラクモをまじまじと見つめている。


「早くしけんしようよ!」

ロゼが急かすと、ビクターは咳ばらいをして武器を取りに行く。

「オークを倒したらしいが、武器は何を使うんだ?」

壁際にあった木製の剣を振りながら、尋ねてくる。

「俺は魔法と弓で、ロゼは剣をメインに使ってます。」

「じゃあ、まずはダイクからだな。ロゼはこの中から剣を選んで待っててくれ。」

弓と矢を持って、ビクターが近づいてくる。


「いいか、今から向こうに的が出てくるから、それを弓で射てくれ。」

指差された方向を見るが、今は何もない。

ビクターが壁際に移動し、魔石に軽く触ると、的が現れ動き出す。

「こんな感じだ。いいな、試験開始!」

コクリと頷き、弓に集中する。

矢を的に当てるたびに、次々に違う場所に的が現れる。

落ち着いて、一つ一つ狙いを定め、矢を射る。

十個の的に当てると、矢もなくなり的も倒れて見えなくなる。


「そこまで!次は魔法だ。得意な魔法で的を狙ってくれ。行けるか?」

「行けます!」

ビクターが魔石に触ると、再度的が現れる。

風の刃を飛ばすが、弓と違ってあっという間に的は倒れた。

「そこまで!ダイクはそっちで休んでいてくれ。」

何かを羊皮紙に書き込みながら、指示される。

「ダイク兄、どうだった?」

ロゼが暇を持て余しているのか、駆け寄ってくる。

「う~ん、いいのか悪いのか、よく分かんないな。ロゼも頑張れよ!」

頭を撫でながら、そう言った。


壁際に移動し、座ってロゼの試験を眺めていた。

ロゼの試験はビクターとの打ち合いだった。

ロゼは軽く剣を振っているが、ビクターの顔色はどんどんと悪くなっていく。

分が悪いビクターがロゼの足を引っかけて転ばせようとするが、ロゼはあっさりと躱し、ビクターの剣を飛ばして決着となった。

「ここまでだ・・・。次はダイクとシラクモ!ここへ。」

またしても、ビクターは何かを書き込んでいる。


ビクターが指示する場所に立って待つ。

なんだか、満身創痍に見えるが、試験に集中しよう。

「普段、従魔はどう戦っているんだ?」

書き物を終えたビクターが質問してくる。

「そうですね・・・、俺かロゼの頭の上にいて、危なくなると助けてくれますね。」

「そうか。数字は読めるか?この紙の指示通りにシラクモを動かしてほしいんだ。」

渡された羊皮紙を見ると、番号が散りばめられている。

「わかりました。シラクモ、できる?」

羊皮紙の上に跳んで、番号を眺めると前足を高くあげている。

「行っておいで。」

シラクモは番号通りに走り、戻ってくる。


「嘘だろ・・・。指示を出すわけじゃないのか!?」

ビクターはブツブツと独り言を続けている。

「ダイク兄、おわった~?」

座っているのに飽きたロゼが飛びついてくる。

「ビクターさん、試験は続けないんですか?」

ビクターの目の前で手を振って確認する。

「おぉ、悪かったな。これで終わりだ。一緒に下に行くぞ!」

ビクターについていき、カウンターまで戻ってくる。

ルバークは俺たちが見えると、手を振っている。

向かいには厳ついおじさんが座っている。


「お疲れさまでした。試験は問題なかったみたいですね。証明書を発行しますので、座ってお待ちください。」

「そういうことだ。お前たちは合格だ。お疲れさん。」

ビクターとお姉さんはカウンターの奥の部屋に入っていく。

「ありがとうございました!」

「ました!」


こうして、冒険者試験の幕は閉じた。


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