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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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第37話 サンテネラの冒険者ギルドへ

まだ、夜中だろうか・・・目が覚めた。

ロゼとルバークは気持ちよさそうに眠っている。

シラクモも起きたのか、頭の上に飛び乗ってくる。

「ごめん、起こしたか。」

シラクモは前足を高くあげて、左右に体を揺らしている。


窓の外を見ると、街灯の魔石が煌々と輝いて部屋の中まで照らしている。

今がどのくらいの時間なのかはわからない。

しかし、出歩いている人の姿がちらほらと見える。

下の酒場からも声が聞こえてくる。

カーテンを閉めて、ベッドに戻るといつの間にか眠っていた。


「ダイク兄、朝ごはんたべにいくよ!」

ロゼの声で目が覚める。

「おはよう、ロゼ。」

「おはよう、ダイク兄!」

挨拶を交わして、身支度を整えて階段を下りていく。

ルバークは宿のおばさんと話し込んでいる。


「「おはようございます!」」

ルバークとおばさんに挨拶をする。

「おはよう!これで揃ったね。今、ご飯持ってくるよ。座って待ってて!」

おばさんは朝から元気に働いている。

「おはよう、二人とも。お腹すいたでしょ。」

カウンターからテーブルへと移動して、俺たちを待ち受ける。

昨日の夜ご飯を寝過ごしたため、お腹はペコペコだった。

話を聞いていると、ルバークとロゼも食べずに寝てしまったみたいだ。


「お待たせ!」

おばさんが朝食を並べてくれるが、朝食にしては豪華というか量が多い気がした。

「こんなに朝食が出るんですか!?」

テーブルが埋まるほど、品数も多い。

ルバークは平然とお茶を啜っているが、ロゼは目を輝かせている。

「うちの宿は、朝と晩は飯付きだからね。昨晩の分も出してるんだよ。」

さすがにシラクモは出せないので、パンにおかずを挟んでアイテムボックスに入れた。

それでもとても食べきれる量じゃないと思った。

しかし、三人でがっついて食べると、みるみるうちに皿は空となった。

とても美味しかったし、何だか食べなれた味だった。


重たいお腹を抱えて、部屋に戻る。

シラクモにご飯を食べさせていると、今日の予定が告げられた。

「今日は冒険者ギルドに行ってオークの解体をお願いしてから、市場に行きましょう。」

ルバークの言葉に心が躍るようだった。

冒険者ギルドもそうだが、市場に早速行けるようだ。

「いととぬのはいいの?」

ロゼの疑問にルバークは笑顔で答える。

ロゼと二人で顔を見合わせると、説明してくれた。

昨日、ロデオを預ける際に、積み荷を生地屋に持ち込んでもらったらしい。

朝早くに清算が終わり、かなりの儲けが出たみたいだ。


お腹が落ち着くと、宿を出て冒険者ギルドへと向かった。

ルバークを先頭に、ロゼと手を繋いで裏通りを歩く。

この裏通りは飲食店や雑貨、武器などを扱う店が多い。

キョロキョロと辺りを見回しながら歩いているので、ルバークが止まったことに気がつかずに、ぶつかってしまう。

「すいません!」

慌てて離れて謝罪する。

「フフフ、いいのよ。ここが冒険者ギルドよ!」


建物自体は周りと変わらないが、大きな看板が出ている。

人の出入りも激しい。

武器を持った人だけでなく、様々な人が出入りしている。

「行くわよ!」

気がつけば、ルバークはギルドの入り口に立っている。

小走りで追いかけ、ギルドの中へと入った。


「サンテネラの冒険者ギルドへようこそ。ご用件を伺います。」

カウンターに着くと、愛想のいいお姉さんが笑顔で対応してくれる。

「さんてねら?って何?」

ロゼが頭を傾け、お姉さんに聞いている。

「この街の名前よ。そういえば言ってなかったわね。今日はオークの解体をお願いしたいんだけど・・・。」

この街はサンテネラっていうのか。

そう言えば、聞き逃していたなぁなんて考えていると、ロゼに手を引かれる。


カウンターの脇にある扉の中まで引っ張られ、連れてこられる。

部屋の中は、冷蔵庫にでもいるかのようにひんやりとしている。

筋肉の盛り上がったおじさんが、タンクトップで解体作業をしていた。

「おうっ、どうしたんだ!」

俺たちに気がつき、声をかけてくる。

「オークの解体をお願いしたいの。どこに出せばいいかしら?」

「マジックバック持ちかい?空いているスペースに出してくれ。」

ルバークがマジックバックから取り出す振りに合わせて、アイテムボックスからオークを空いているスペースに出していく。

これは事前にルバークとすり合わせていた。


「おいおい、何の真似だい?そんなまどろっこしいことしないでいいぜ。」

ルバークと目を見合わせ、驚いているとおじさんが一言告げる。

「アイテムボックスだろ。」

バレたことよりも驚きが勝り、声が出なかった。

「俺の目は特殊でな。魔力の流れが見えるんだ。嬢ちゃんのマジックバックからは魔力は動かなかった。兄ちゃんからは膨大な魔力が動いた。・・・で、鎌をかけた訳だが。その様子じゃ、当たってんだろ。どれだけ入っているんだい?」

ロゼに揺さぶられ、我に返る。

「オークがあと16体とジェネラルオークが1体、あとはウルフが20体近くあります。」

「わたしもウルフが50体近く持ってるわ。」


そう言えば、ヴィドとアルにウルフを渡すのを忘れていることを思い出す。

帰りに寄ることはできるだろうか。

現実逃避かもしれないが、頭の中にはヴィドとアルが浮かぶ。

遠くの方で何か言っているが、俺の耳には入ってこなかった。

気がつけば、カウンターに戻っていた。

目の前には冒険者登録書なるものがある。


「あれっ!?冒険者登録をする予定、ありましたっけ?」

隣でロゼを膝に抱いて、羊皮紙に書き込んでいるルバークを見つめて問うた。

「ダイク君、聞いてなかったのね。冒険者になると解体費用が安くなるって話で、今ならウルフとオークも戦歴に加えてくれるっていうから、いいわねってなったじゃない。」

ルバークが少し呆れ気味に、笑いながら教えてくれる。

そうだったのかと納得をして、羊皮紙に書き込んでいく。

とはいっても、名前と年齢くらいだ。

「従魔の登録もできるかしら?」

受付のお姉さんは新たな羊皮紙をカウンターにのせる。

「こちらに種族名と名前をお願いします。」


「書けましたか?はい、大丈夫みたいですね。あちらに座ってお待ちください。」

お姉さんが羊皮紙を三枚持って、カウンターの奥の部屋へと消えていく。

指示されたテーブルに移動し、座って待った。

ロゼは当然のように、俺の膝の上にいる。

「ルバークさんはとうろくしないの?」とロゼが聞く。

「わたしはいいの。いろいろあったから、あんまり名前を残したくないの。」

ロゼは首をかしげているが、納得できる理由だった。


カウンターの奥の部屋からお姉さんがこちらに向かってくる。

「お待たせしました。戦績登録の正当性を確認するために、簡単な試験を行うことになりました。明日の朝、またお越しください。従魔のシラクモさんには、こちらのタグを見える位置につけてください。このタグさえあれば、街中でも一緒にいられるようになります。何か質問はございますか?」

そう言って、タグを渡してくれる。

「ん~、特にないです。ありがとうございます!」

「ございます!」

お姉さんは笑顔で一礼し、カウンターへと戻っていった。


タグ・・・というか鉄でできたプレートを眺めていると、ルバークが立ち上がる。

「さぁ、市場へ行きましょう!シラクモ君、出てらっしゃい。」

シラクモがフードからテーブルの上へと、俺を伝って出てくる。

「わかりやすいところがいいわよね・・・。前足にでもどうかしら?」

タグをシラクモに当てながら、装着場所を探してくれている。

「前足でいいと思います!シラクモもいい?」

片方の足をあげて、ここと装着場所を指定してくる。

「フフフ、わかったわ。」

マジックバックから布を取り出し、タグを縫い付けてくれる。

「これはダイク君がつけてあげなさい。」

ルバークから受け取ったタグを、シラクモの前足に外れないようにつける。

「痛くないか?」

シラクモはタグをつけた状態で動き回り、着け心地を確認しているようだった。


気がつけば、周りから好奇の目で見られていた。

俺たちは逃げるように、ギルドを飛び出し、市場へと向かった。


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