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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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第34話 オーク討伐後

オークを倒し終えると、ルバークは座りこんでしまっていた。

アルも仰向けに倒れて動かない。


「ルバークさん、アルさん。無事ですか!?」

心配して駆け寄り、二人の顔を覗き込む。

「わたしは大丈夫。大きな怪我は無いわ。ダイク君は大丈夫?」

ルバークは答えてくれるが、アルは親指を立てて応える。

「大丈夫です。二人は休んでてください!」

そう言って、捕まってた人たちの元へと向かう。


引き摺られてここまで連れてこられたのか、みんな泥だらけだ。

魔法で全員をきれいにする。

みんなぐったりとしているが、命に別状はなさそうだ。

これで怪我の状態を確認しやすくなっただろう。


「ダイク兄ー!」

ロゼが叫びながら、農具を持った村人たちと一緒に駆け寄ってくる。

「ロゼ、頑張ったな!」

勢いよく胸に飛び込んできたロゼの頭を撫でて、褒めてやる。

村人たちは各々の家族や知り合いで集まり、無事を確認し合っていた。


「怪我をしている人はいるかしら?」

いつの間にか、ルバークとアルが後ろに立っていた。

アルは怪我をしているのか、腕を押さえている。

村人たちからも、声があがり始める。

「捕まっていた人たちは、何かしら怪我をしていそうね。ダイク君、お願いできるかしら?」

俺に、というより、シラクモにお願いしているんだろう。

「シラクモ、いいかな?」

頭の上にいるシラクモに確認する。

シラクモが激しく上下に揺れているのを感じる。


「みなさん、この鬼蜘蛛は俺の従魔です。回復魔法が使えます。」

村人たちの反応は様々だが、疑いの目が強いかもしれない。

デモンストレーションとして、アルに魔法をかけて、見てもらうことにする。

「アルさん。すいませんが、まず体験してみてもらえますか?」

痛そうにしている腕を見て、お願いする。

「いいぜ!痛みが消えるなら助かるよ。」

シラクモは俺の腕まで下りてきて、アルに向けて魔法を放つ。

シラクモとアルの体が一瞬光る。

「おぉ、すごいな!痛みが消えちまったよ!!」

アルは腕をぐるぐる回しながら、治り具合を確認している。


村人たちは、一様に驚いている様子だった。


そういえば、ヴィドは無事だろうか。

周囲を探すと、ジェネラルに髪を掴まれていた獣人を抱えて近くにいた。

抱えているのは、ヴィドの妹だろう。

「次は、そちらの方ですね。シラクモ、お願い。」

シラクモとヴィドの妹の体が一瞬光る。


「助かった、ダイク。ありがとう。」

ヴィドが頭を下げて、お礼を言った。

俺も魔法をかけて、ヴィドの妹の血が滲んでいる毛並みをきれいにする。

ヴィドの妹は傷がなくなり、体がきれいになったことを驚いている。

「ヴィドさんは大丈夫でしたか?」

ヴィド自身に傷は見えないが、確認する。

「俺は大丈夫だ。村の奴らを頼む。」

頷いて、村人たちの方を向くと、ルバークが手招いている。


「シラクモ君はどのくらい魔法を使えそうかしら?一応、傷のひどい順番に並んでもらっているわ。次の人を治すときに確認してもらえる?」

鑑定をして、魔力の減り具合を見ろってことかな。

シラクモを鑑定すると、魔力は400残っている。

「シラクモ、次はこの人をお願い。」

先頭に並んでくれている人の前に移動し、シラクモを傷口に近づける。

シラクモと、村の女性が一瞬光る。

再び鑑定すると、魔力は350だった。


一回当たり50魔力を消費しているなら、あと七回で打ち止めだ。

「ルバークさん、あと七回くらいが限界だと思います。」

ルバークに結果を報告する。

「怪我のひどい人たちは治せそうね。分かったわ、ありがとう。」

並んでいる村人たちに、シラクモは次々に魔法をかけていった。


「すいません。ここまでみたいです。」

八回目の回復魔法が発動せず、魔法の治療は終了する。

「ありがとよ。お前さんたちのお陰でみんな助かった。あとは、傷薬でも塗れば治る傷だ。本当にありがとよ。」

村の中で、一番年上であろうおじさんに感謝された。

俺の手を両手で握って、何度も何度も頭を下げている。

「いえ、みなさんが無事でよかったです。」


「わたしたちはオークを回収してから村に戻るわ。ヴィド君、アル君はみなさんを連れて先に戻ってくれる?あっ、あとはロデオの様子も見てもらえるかしら?」

ルバークのそんな声が聞こえてくる。

「おし、おいらに任せておけ!みんな、村へ帰るぞ!」

アルを先頭に、ぞろぞろと村へ帰っていく。

捕まっていた人たちも、自分の足で歩いている。

ごはんを食べて、寝れば大丈夫だろう。


それからは、ルバークとロゼと一緒にオークの回収をした。

「二人とも、凄かったわね。怪我もなく終わってよかったわ。」

突然、俺とロゼを捕まえて、抱きしめながら言う。

「がんばったからね!ねっ、ダイク兄!」

ルバークの腕の中で、ロゼは言った。

「ルバークさんもお疲れさまでした。」


一通り、オークの回収が終わると、村へと向かった。


農具を持って戦っていた男衆が迎えてくれる。

捕まっていた女性と子供たちは家で休んでいるんだろう。

「村長はいるかしら?オークの処理について話がしたいんでけど・・・。」

村人たちは微妙な反応を見せる。

「もしかして・・・オークに・・・・・・。」

ルバークは聞いちゃいけないことを聞いてしまい、失敗したという顔をしている。

「いや、違うんだ、ルバーク。村の全員無事だ。恐らくな。村長は一人で馬に乗って逃げたらしいんだ。」

アルが微妙な反応の真相を教えてくれた。


結局、ルバークは男衆を引き連れて、話し合いへ行ってしまった。


俺とロゼもついていこうかと思ったが、ルバークに止められた。

ロデオをお願いと。

ロデオを探して村を歩くと、馬小屋にロデオはいた。

空の馬小屋は、もともとは村長が乗って逃げたという馬のものだろう。

「ロデオ~!」

ロゼはロデオを見つけるなり、走り出す。


小屋の中には餌と水が用意されている。

鞄からブラシを取り出し、ロデオの体に丁寧にあてていく。

ブラシ掛けが終わるころ、馬小屋に一人訪ねてくる。

「さっきは助けてもらってありがとう!私はルーナ。ヴィドの妹です。」

弧人族の女性、ルーナが笑顔を見せてそう言う。

「気にしないでください。俺はダイクです。後ろにいるのはロゼです。」

討伐後は普通にしていたのに、ロゼは俺の後ろに隠れている。


「今日は私の家で休んでください。」

お腹をさすりながら、手招きをして家へと向かって歩き出す。

そう言えば、ヴィドが妹は妊娠しているって言ってたっけ。

まだお腹が膨らんでいるようには見えないので、見ただけではわからなかった。

そんなことを考えながら、ルーナの後をついていく。


日は沈み始めて、きれいな夕焼けが見え始めた。




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