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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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閑話 別行動の二人

おいらとルバークはダイクの考えた作戦に従って、行動をしている。

今は、ダイクたちから離れた雑木林に隠れているところだ。

あんなに小さいのに、こんな作戦を考えるなんて・・・。

ルバークは普通に接しているけど、賢すぎるだろ。

魔法も使えると言うし・・・神童か何かなのか。

弟のロゼの剣術にも、度肝を抜かれた。

ウルフに怯むことなく切り捨てる様を見て、すでに敵わないと思った。


「アル君、大丈夫?」

ルバークにそう言われ、オークの奴らへの怒りを思い出す。

いや、ルバークも言っていた。

こういう時こそ、冷静に・・・。


怒りを鎮めて頷くと、ルバークはダイクたちに合図を送ってくれる。

おいらたちは作戦通り、隠れたまま目を閉じて、更に目を手で覆った。

しばらく経つと、ダイクたちの声が聞こえて、オークたちの叫び声が聞こえてくる。

手を外し、目を開けるとオークたちは叫びながら棍棒を振り回している。


「上手くいったみたいね。行くわよ!」

ルバークは、走り出した。

おいらは木に登って、木々を飛び移りながら村のみんなを探す。

奥へと進んでいくと、黒い大きなオークが見えた。

周りにも多くのオークがいる。

もう少し近づくと、黒いオークの奥に一部の村の人たちを見つける。

目を凝らしてみると、女と子供ばかりだ。

全員捕まった訳じゃなかったのか・・・。


少しだけ安心したが、ルーナが村人を庇う様に立っているのが見えた。

「くそッ!」

木を下りて、ルバークの側に行き、状況を説明する。

「村人とオークを離したいわね。」

ルバークが簡単な作戦を立ててくれた。

おいらは再び木に登って、弓を構える。

合図を送ると、ルバークはオークに姿を見せるために立ち上がった。


オークたちはルバークに気がつき、のそのそと近づいてくる。

黒いオークはルーナの髪をつかんで、引きずりながらこっちへ来る。

怒りで震えたが呼吸を整え、矢をつかむ。

ルバークに近づくオークに狙いを定め、矢でつるを引く。


矢を離すと、まっすぐ飛んでいき、オークの脳天に命中した。

矢が刺さったオークは、倒れて動かない。


他のオークたちは、順調にこちらへ移動している。

矢をいくらか放つが、頭に刺さることはなかった。

体にはいくつか刺さったが、痛がっている素振りを見せない。

木を下りて、ルバークに「いくぞ!」と合図を送る。


合図を受けたルバークは、魔法を放ちながら大回りにオークたちを迂回しながら移動を始める。

おいらも、ルバークと反対側へと移動していく。

移動しながらも矢を放つが、オークは倒れてくれない。

みんなのところまであと半分ってところで、矢がなくなった。

矢筒を見てみるが、空だった。

「くそッ!」

まずいと思っていると、背後から知っている声が聞こえてきた。


「お前たち、無事だったのか!?」

捕まらずに済んだ男たちが、農具を片手に草むらに隠れて集まっていた。

「アルこそ、生きてたか!」

捕まっている村人と合わせると、ほぼ全員が雑木林にいることになる。

あとは、助けて村に帰るだけだ。

「話は後だ。オーク共を何匹か引き付けてくれないか?おいらは捕まってるみんなを助けに行く!向こうにいるのは助っ人だ。間違えても攻撃するなよ!」

「わかった!」

そう言って、農具を構え直し、草むらから出てくる。


矢はもうないので、走って捕らえられた村人の元へと走った。

既にルバークが村人を庇う様に、戦ってくれていた。

「遅くなってすまない!矢がなくなった。まだあるかい?」

ルバークは戦いながら、剣をくれる。

「矢はもうないの。それでどうにかしてちょうだい!」

鞘から剣を抜いて、構える。

「あいつらは村の男たちだ。一部オークを引き受けてくれる。」

ルバークにそう説明した。


ちらりと後ろの村人たちを見るが、みんなぐったりとしている。

「くそッ!」

オークに向かって怒りをぶつけるが、皮がぶよぶよでなかなか切れない。

ルバークもオークたちを足止めする程度の魔法しか撃たない。

魔力の限界が近いのかもしれない。


突然、黒いオークがルーナを振り回し始めた。

ルーナの悲鳴が雑木林に響く。

オークたちを避けて抜けて、黒いオークの元へ行くのは厳しい。

絶望感が押し寄せてくる。

「もう、やめてくれ・・・。ルーナァァァ!!!」


心が折れかけた。

その時、向こうからヴィドが鬼の形相を浮かべて、走ってくるのが見える。

そうだ、まだダイクたちがいるじゃないか。

小さな子供にすがりたくなるほど、状況が悪い。

必死に近づいてくるオーク共に、刀をぶつける。


すると、普段は声を荒げることのないヴィドが叫んでいる声が聞こえてくる。

妹のルーナを人質にされて、おかしくなったかと思ったが、違った。

黒いオークの背中側からダイクとロゼが走ってくる。

それを見て、奮起した。


浅い傷でもいいから、オークの足を攻め続けた。

棍棒を避けながら、それでも攻撃を続ける。

おいらが・・・、ルバークが倒れたら、後ろにいる女子供は助けられない。

おいらたちの村人でもないルバークも、頑張ってくれている。

おいらが頑張らずに、誰が守ってくれるのか。


地面が揺れて、叫び声が響き渡る。


誰の声かと、辺りを見渡すと黒いオークが倒れている。

ヴィドがルーナを抱えているのも見えた。

目の前のオークたちにも変化があらわれる。

おいらたちに対する敵対心みたいなものが消えた気がする。


「今のうちに、一気にたたくわよ!!」

ルバークの勇ましい声が聞こえてくる。

向こうの男共も、雄叫びをあげながらオークに攻撃している。

おいらも残った力を振り絞って、攻撃する。

今が攻め時だ。

棍棒が当たろうとも、攻撃の手は止めない。


何匹かは逃げ出すが、ダイクの魔法で倒れていく。

目の前のオークも、ダイクとシラクモが処理してくれた。


あの森で、ルバークに会えたことを神に感謝した。

おいらとヴィドだけでは村は全滅していたかもしれない。


緊張から解放され、足に力が入らずに膝が折れる。

ルバークも座り込んでしまっている。

「ありがとう、ルバーク。」

仰向けに倒れながら、ルバークにお礼を伝えた。


ルバークは複雑な表情を見せてから、微笑んだ。


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