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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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第28話 からあげ

家の中に戻ると、ルバークの姿はなかった。


「ロゼ、そろそろお昼だから、ルバークさんを呼びに行くよ。」

「ボクも行く!」

俺の手を取り、「早く!」と促す。

階段を上がり、ルバークの部屋の扉をノックする。

しかし、返事も物音もしなかった。

ロゼと顔を見合わせ、扉を開けてみる。


鍵があるわけではないので、ノブを捻るとギィと軋む音を立てて開いていく。

部屋の中にルバークはいなかった。

机の上には、俺が書き出した羊皮紙とペンが置かれたままだ。

ロゼと手分けして、家中を探したが、いなかった。

もしかして、襲撃でもあったのかな?

それとも、マザーからの呼び出しかな?

考えても分からないので、料理でもして待っているか。


「ルバークさんがいないから、さっきのお肉でも焼いて食べようか。焼いているうちに、ルバークさんも帰ってくるかもしれないし。」

「そうだね。ルバークさん、どこいったんだろう・・・。」

寂しそうなロゼを、キッチンまで連れていく。

「ほら、ロゼも手伝って!」

料理で気を紛らわせようと、手伝ってもらうことにした。


二つのフライパンを出してコンロにのせる。

ロゼには、胸肉を焼いてもらうことにした。

アイテムボックスから胸肉を六枚取り出し、両面に塩を軽く振った。

「皮の付いている方から焼いて、パリッと焼けたらひっくり返してね。」

「ボクにまかせてっ!」

ジューっという音とともに、美味しそうな臭いが漂ってくる。

何度も焼き色を確認しながら、焼いてくれるロゼが可愛かった。


俺は唐揚げの下準備をする。

もも肉を取り出して骨を丁寧に包丁で外して一口大に切る。

骨はまとめて、今度、鶏ガラと一緒にスープでも作ろう。

手羽も、手羽先と手羽元に分けるように切った。

切り終えたもも肉と手羽をボールに入れておく。

ニンニクを細かく刻んで、適量の塩と一緒にボールに入れて揉みこむ。

あとはしばらく置いて、小麦粉をつけて揚げるだけだ。


「なんだかいい匂いがするね、ダイク兄!お肉はもうすぐ焼きおわるよ!」

フライパンを見ると、皮目がパリッと美味しそうに焼けている。

「ロゼ、上手に焼けてるよ!出来たらこの皿に入れてね。」

棚から皿を取り出し、コンロの近くに出しておく。


「もう食べる?それとももう少し待ってみる?」

ロゼの反応を待ってみた。

「もうすこし待とうよ。ルバークさんがかえってくるかもしれないしね!」

そう言うので、料理を続行する。


ロゼが焼いてくれた胸肉はアイテムボックスに入れて、温かいまま保存しておく。

「今度は油を使うから、そっちのテーブルでクッキーを作ってくれる?」

冬の間に、ロゼとクッキーを何度も作ったので、もうお手の物だ。

「うん、いいよ。どのくらい作る?」

「残ってる蜂蜜全部使っちゃおうか。もうこれしかないけど・・・。」

そう言って、小麦粉と蜂蜜、ひまわりの種を取り出す。

「わかった。もうこれしかないの・・・。」

「そうだよ。アイテムボックスにまだクッキーは入ってるから、大事に食べような。」

頭を撫でようと思ったが、肉もニンニクも触っているので、浄化クリーンを俺とロゼにかけてから、撫でてやった。


キッチンに戻り、調理器具にも魔法をかけてきれいにする。

フライパンに油を入れて、温める。

温めているうちに、肉に小麦粉をまぶした。

まぶし終わるころには、油の温度もちょうどよさそうになっていた。

一つずつ手で油の中に落としていく。

パチパチといい音を立てて、肉たちが油の中を泳いでいる。

ニンニクのいい匂いが部屋に広がっていった。


唐揚げが揚げ終わっても、ルバークは帰ってこない。

もうそろそろロゼが作ってくれたクッキーも焼きあがるころだ。


「ルバークさん、帰ってこないね・・・。」

玄関のドアを見て寂しそうにつぶやいた。

ロゼがまた寂しいモードに入ってしまった。

「もう少しで、クッキー焼けるよ。こっちおいで。」

ロゼはトボトボとオーブンを見にきた。

オーブンを開けると、こんがりと焼けている。


「ほら、うまくできたか味見してみな。」

焼き立てのクッキーをロゼに渡すと、熱々のまま口にした。

「うん、熱いけどうまくできてる。ダイク兄もたべてみて!」

食べかけのクッキーを口元に持ってくるので、そのままパクリと食べた。

うまく焼けているし、味も申し分なかった。

ロゼを褒めていると、シラクモが玄関の方に向かって跳ねた。


ルバークが帰ってきたのかもしれない。

そう思い、ロゼと靴を履いて玄関のドアを開けて、外に出る。

辺りを見回すと、いつものきれいな森が広がっている。

しかし、ルバークの姿は見当たらない。


「シラクモ、ルバークさんがかえってきたんじゃないの?」

ロゼは残念そうに、シラクモに問いかける。

シラクモはロゼの話を聞いていないかのように、湖の一点を見つめている。

俺もその方向を見てみるが、特に何もない。

「シラクモ、ルバークさんか?それとも、何かいるのか!?」

もしかしたら、魔獣でも入り込んできたんだろうか。


シラクモは湖の方に向かって、歩き出す。

警戒しながらついていくと、湖の向こうからルバークの船が見える。

「ロゼ、ルバークさんが帰ってきたよ。」

ロゼは気がつくと、「おーい!」と手を振っている。

近づいてくると、ルバークだけじゃないことに気がついた。


「ダイク君、ロゼ君、遅くなってごめんなさい。緊急だったの。とりあえず家の中に入りましょう。」

そう言って、船を下りてくる。

一緒に乗っていた人たちも下して、船を片付けて足早に家へと向かっていった。

同乗していた人たちも、こちらを見つつ、ルバークに続いていく。

俺はペコリと頭を下げて、ルバークたちを追った。


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