第27話 レベルアップと解体
朝起きると、ロゼは俺の腕に巻き付いて寝ているが、シラクモがいない。
静かにロゼを剥がして、部屋を出る。
階段を下ると、ルバークの話し声が聞こえてきた。
「おはようございます。ルバークさん、シラクモ。」
ルバークが椅子に座って、机の上に向かい合うようにシラクモはいた。
シラクモは手をあげて挨拶してくれている。
「おはよう、ダイク君。顔を洗ってらっしゃい。」
ルバークがそう言うので、何も言わずに洗面所に向かう。
ルバークとシラクモで何をしていたんだろうか。
今までにない朝を疑問に思いながら、顔を洗った。
ルバークの元に戻ると、シラクモはいなくなっていた。
「シラクモはどこに行ったんですか?」
「ロゼ君が起きるまで、お願いしたわ。いつもそうしているんでしょ?」
お茶の準備をしながら言う。
まぁ、そうなんだけど・・・。
何をしていたのかを聞くか、聞かないかを迷っていると、ロゼが階段を下りてきた。
「おはよう、ダイク兄とルバークさん。」
眠そうな顔をして、目を擦っている。
「おはよう、ロゼ。」「おはよう、フフフ、まだ眠たそうね。顔洗ってらっしゃい。」
俺はロゼの手を取り、洗面所に連れていった。
ロゼが顔を洗っているうちに、シラクモを背後から捕まえてみようとするが、ヒョイと避けられてしまう。
くるりとこちらを向き、なんだとでも言いたそうな目をシラクモが向けてくる。
別に、問い詰めたりしようとは思っていないが、何だか少し悔しいな。
ロゼが顔を洗い終わると、朝食の準備を手伝った。
朝食はいつも通りのパンとスープ、野菜の煮込みがでて、美味しくいただいた。
食後のお茶を飲んでいるときに、鑑定のことを思い出した。
「ルバークさん、昨日はバタバタして忘れちゃいましたけど、鑑定結果は残しますか?」
ルバークはハッとした顔をして、羊皮紙と羽ペンを取り出した。
「残さないわけないじゃない!」
興奮しているのか、前のめりで顔が近い。
それぞれ鑑定して書き出した。
【名前】 ダイク
【称号】 転生者
【職業】 -
【位階】 6
【体力】 200/200
【魔力】 -
【従魔】 シラクモ
【スキル】 火魔法 風魔法 水魔法 土魔法 光魔法 無属性魔法
【固有スキル】 アイテムボックス 鑑定
レベルが3上がった。体力も50増えている。
【名前】 ロゼ
【称号】 -
【職業】 勇者候補生
【位階】 6
【体力】 270/270
【魔力】 120/120
【スキル】 火魔法 無属性魔法
【固有スキル】 成長加速
レベルが4上がった。体力が50、魔力が20増えている。
ルバークとシラクモは変化が無かったので、書かなかった。
「レベルの上がったのは、俺とロゼだけみたいです。ルバークさんとシラクモは変わりません。」
書いたものをルバークに見せると、目を光らせて、羊皮紙を持って階段を駆け上がっていった。
あの様子じゃ、すぐには出てこないだろう。
「ロゼ、今日は訓練じゃなくて、昨日捕ったホロホロ鳥の処理をしようか。」
「うん。そうだね。シラクモもてつだってよ?」
シラクモは前足をあげて頷いている。
キッチンからいくつかの調理用具をアイテムボックスに入れて、外に出る準備をした。
裏庭に出て、まずロデオの世話をする。
昨日は起きて早々に出かけたので、ロデオの世話を忘れていた。
餌箱や水の減り具合をみると、ルバークが代わりにしてくれたことがわかった。
あとでお礼を言わないとな。
昨日の分も気持ちを込めて、小屋の清掃後に念入りにブラシをかけてやる。
自己満足かもしれないが、いつもよりロデオが凛々しく見える。
ロデオがきれいになったところで、東屋に移動する。
アイテムボックスから全部で十二羽いるホロホロ鳥を、とりあえず二羽取り出す。
「ロゼはこっちの鳥をお願いね。」と一匹渡す。
頭はすでに無いので、ひっくり返してみるが血は流れてこなかった。
「こうやって羽を毟るんだ。」
ロゼに見せながら、羽を引っ張るように抜いていく。
羽は黒に白いラインが所々に入ってきれいな色味をしていた。
ニワトリなんかより二回りくらい大きいが、簡単に羽がなくなり、鳥肌を見せた。
「ダイク兄、こっちもおわったよ!」
「ありがとう、もう一匹お願いね。」とロゼに新しい鳥を渡す。
ロゼは無心で羽を抜いている。
羽のなくなった鶏肉を見て、どうやって捌こうか考えていた。
正直、捌き終わった部位しか見たことがない。
ん~、と頭を抱えていると、シラクモが鶏肉の前に跳んできた。
シラクモの様子を見ていると、前足を使って捌き始めた。
まるで魔法のように、次々と解体が進む。
「シラクモ、お前すごいな。ウルフの時といい・・・ありがとうな!」
邪魔しちゃいけないと思って撫でなかったが、解体のスピードが上がったように見えた。
肉や内臓などを分けておけるように、シラクモの前には一面に葉っぱを敷いておいた。
解体はシラクモに任せて、羽毟りに戻る。
無心で作業を続けると、昼前までに解体まで終えることができた。
角兎の解体で慣れているのか、グロイと思うことはなかった。
浄化で清めてから、ロゼとシラクモを褒めた。
「これで、美味しい料理を作ってやるからな。」
「ほんとに?ダイク兄の作ってくれるごはんはおいしいから、楽しみ!」
シラクモも嬉しそうだし、ロゼも嬉しいことを言ってくれる。
解体された鶏肉は肉と骨、内臓にそれぞれ分けられ、置かれている。
心臓や肝臓、砂肝は鑑定で取り分けて、水でよく洗っておいた。
それ以外の臓物は食べられるんだろうが、よく分からない。
今回は葉っぱにまとめてくるんでおく。
残りの鳥ガラとまとめてアイテムボックスに入れた。
大量の羽も収納して、東屋全体に浄化をかけて作業は終了した。
頭の中には、焼き鳥や唐揚げ・・・鶏料理のオンパレードだった。
調味料が限られているので、塩味がメインになってくる。
それでも、想像するだけで涎が口の中にあふれてきた。
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