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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第二章 ダイク 六歳
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第26話 癒しと反省会

帰りの船は、会話もほとんどなく対岸に着いた。

気まずい空気を漂わせたまま、家に帰った。

ロゼも疲れたのか空気を読んだのかは分からないが、俺の手を握ったまま静かだった。

シラクモも、俺の頭の上に乗ったままだ。


「二人とも、疲れたでしょう。夕飯まではまだ時間があるし、先にお風呂に入らない?」

ルバークの意見に賛成だった。

「いいですね、ロゼはどう?」

「いいよ!」

装備を外して、裏庭へと向かう。


風呂に着くと、俺はお湯の準備をする。

ルバークはその間にパパっと服を脱ぎ捨て、仁王立ちでこちらを見ている。

「さぁ、早く脱いで。傷の確認をするわよ。」

ルバークの前で脱ぐことに抵抗はすでになくなっている。

ロゼと服を脱いで、ルバークの前で横に並んで立つ。


「最初はロゼ君ね。体をこうしてくれる?ダイク君は後ろ側から確認してちょうだい。」

体を大の字に開けと指示を出すと、ロゼはその通りのポーズになる。

これは少し恥ずかしいな。

そんなことを思いながら、ロゼの背中側の傷を確認していった。


「特に無いわね。ありがとう、ロゼ君。次はダイク君の番よ。ロゼ君は後ろね。」

「はい。・・・ふぅー。」

覚悟を決めて、ポーズをとる。

ルバークがまじまじと体を見ている光景が目に映る。

恥ずかしいので、目を閉じた。


「はい、いいわよ。次は私のをお願いね。」

ルバークがみんなと同じポーズをして、待ち受ける。

背中側に回ろうかと思っていると、ロゼがもう確認を始めていた。

しょうがなく、前の確認をすることにした。

しょうがなく、ね。

頭、腕、控えめな胸と順番に確認して、足のつま先まで傷は無かった。

「大丈夫です、ルバークさん。」

「こっちもだいじょうぶだよ。」

「そう、ありがとう。」と三人と一匹にまとめて浄化クリーンをかけてくれた。


「なんで、ルバークさん!それはボクのやくめでしょ!?」

ロゼは戸惑っているような、そんな表情を浮かべる。

「疲れているかと思って・・・。ごめんなさいね、ロゼ君。」

そう言って、ロゼの頭を撫でていた。


そんな二人を放置して、足からゆっくりと肩まで湯に浸かる。

ロゼとルバークは「ずるい」と言って、バシャバシャと入ってくる。

ルバークは俺の隣に、ロゼは俺の上に乗ってそれぞれに湯を楽しんだ。

怪我をしたときに、少し破れてしまった服も、風呂に入りながら、ルバークが縫って直してくれた。


ゆっくりと風呂に浸かって疲れを癒し、家の中に戻る。

食卓に座って寛いでいると、ルバークがお茶を淹れてくれる。

はぁ~、今日もいろいろあったなぁ、とお茶を啜りながら思った。

「まだ食事には早いわね。今日の反省会でもしましょうか。」

ルバークが真面目な顔を向けて、そう言った。


背筋を正して座り直し、ルバークの話を聞く。

「わたしはね、今日二人を連れていったこと自体はよかったと思うの。結果としては、みんな元気だしね。反省は、ホロホロ鳥の捕獲をもっとうまいことすればよかったわ。あんなに大きな鳴き声を出すとは思わなかったの。ほかにもあるけど、失敗の始まりはあそこだったと思うの。」

そう言って、一口お茶を飲んでいた。

「うまいことって、例えばどんなことができるんですか?」

シンプルにどんな魔法であの群れを対処できるかを聞きたかったのだが、ルバークを困らせた。

「う~ん、そうねぇ。」

「かなりの数がいましたし、俺はすごいなと思いましたよ。あの魔法。」

ルバークは少し照れたような表情を浮かべた。


「ボクはね、もっとくんれんがんばるよ!」

ルバークが「そうね。」とロゼの短い反省を真摯に聞いていた。

「俺は油断してしまったなと思いました。ウルフに囲まれて、案外うまいことやった自信はあります。ルバークさんも、ロゼも周りにいたウルフを倒し切って、安心しちゃいました。いつどこからウルフが襲ってきてもおかしくないのに。」

「そうね、ダイク君は上手いことやったわよ。数も多かったのに、わたしが見た時にはほとんど終わってたもの。」

そう言われて、少し嬉しかった。


「で、ウルフを回収中に襲われた時に、あの時の・・・ウルフにやられた時の記憶が蘇って、動けなくて。」

「ウルフにやられた時ってなんのこと?」

ロゼは首をかしげてこっちを見ている。

「わたしから説明するけど、いい?ダイク君。」

ルバークからの問いに、頷いて答える。


ルバークが、丁寧にロゼに説明してくれる。

「そっか、前にルバークさんとシラクモにたすけられたって言ってたもんね。ちゃんと言ってよ、ダイク兄!」

ほっぺを膨らませて怒った顔で、こっちを見ている。

「ごめんごめん。ロゼに心配かけたくなかったんだ。これからはちゃんと言うよ。」

ロゼのほっぺを潰しながら、ロゼと約束をした。


夕飯の時間になっても、反省会は続いた。

準備をしながら、ご飯を食べながらも。

食べ終わった後も、話は尽きなかった。

途中からは反省会ではなくなったような気がするが、そんなことは指摘しない。

何より、重苦しい雰囲気を変えられてよかったと思った。


結局は、これからも訓練を頑張る。

ウルフの襲撃があれば、蜘蛛たちに交じって、参加する。

ホロホロ鳥はたくさん手に入ったので、縄張りの外に行かない。

こんな感じにまとめられて、それぞれの部屋に戻った。


さぁ、寝るぞって時に思い出した。

レベル上げも楽しみにしていたことを。

まぁ、明日でいいか。

今日は疲れた。


そんなことを考えているうちに、意識はなくなっていった。

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