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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第一章 ダイク 五歳
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第17話 魔法の授業

「ちょっと、休憩しましょうか。」

ルバークがマジックバックから茶器を取り出した。


ロゼの職業は勇者候補生となっていた。

神様はロゼを守るために、俺をこの世界に送ったのだろうか。

いや、候補生ってことは他にも何人かはいるってことだろ。

鑑定を使える人や魔道具が普及しない限り、見つかることもないのかな・・・?


カチャリと目の前に湯気の立ったティーカップが置かれた。

「ダイク君、あんまり考えてもしょうがないわ。分からないことは分からないものよ。そんなことより、今日は魔法を練習しましょう。お茶を飲んだらね。」

「・・・そうですね。」

疑問はいったん置いておいて、魔法に集中しよう。

冷えてしまったお茶をゴクゴクと飲み干した。


「さぁ、飲み終わったわね。はじめましょう。」

浄化クリーンと魔法で茶器を綺麗にしてマジックバックに戻しながら言う。

「テーブルが邪魔だから、ダイク君のアイテムボックスに入るかしら?」

言われた通り、テーブルを触り収納する。

ルバークはふーんと顎を触りながらその様子を見ていた。


「どうかしましたか?」

「いや、わたしのマジックバックはね、入れられるものの大きさに上限があるのよ。ダイク君のアイテムボックスはそんな感覚はあるかしら?」

ん~、そんな感覚は正直ない。マジックバックの上位互換なのだろうか。

「たおれてた大きな木もはいってるよね~。」とロゼが言う。

「倒れた木って・・・まさか、あのサイズも入るの!?」

ルバークには、俺が怪我で倒れていた近くの倒木とすぐに分かったみたいだった。


「ルバークさん、考えるのは後にして、魔法の練習に集中してください。」

ブツブツ独り言を続けているルバークの意識を戻してやる。

「ご、ごめんなさい。じゃあ、まずは魔力を感じるところから始めましょうか。」

ルバークは俺とロゼの手を取り、ロゼと俺も手を繋いで輪を作った。


「二人とも、目を瞑ってくれる?ダイク君にまずは魔力流すわね。」

ルバークと繋いでいる右手から温かい何かが流れ込んでくる。

これが魔力なのだろうか。

「温かいものが流れてきています。」

「そう、それが魔力よ!」

意識して右手から左手に、さらにはロゼに流れるように動かしてと言われたので、魔力を動かしてみた。

思った以上に簡単に魔力を移動させることができた。

しかし、左手首の手前あたりから先に魔力を送ることはできなかった。


「ルバークさん、魔力は動かせるんですが、このあたりから先に流れないです。」

左手首を指差しながらルバークに聞いてみる。

「怪我の影響かしら?ちょっと無理やり流してみるわね。ちょっと痛いかも。」

俺たちの手を放して、俺の左手首をさすった。


「ダイク兄、怪我したの?」

心配そうにロゼはこちらを見ていた。

「大丈夫だよ、ロゼ。少し前に怪我をしちゃって、ルバークさんとシラクモが助けてくれたんだ。」

嘘のない範囲で心配をかけないよう、ロゼに軽く打ち明けた。

「もう痛くないの?ルバークさん、シラクモ、ダイク兄を助けてくれてありがとう!」

頭の上のシラクモとじゃれ合っていた。


そんなやり取りをしている中、ルバークは俺の左手首に集中していた。

魔力の温かさを感じるが、痛みはなかった。


「これでどうかしら?」

再び三人で手を繋ぎ、輪を作って目を瞑った。

ルバークから流れてくる魔力は、無事に左手首を通過し、ロゼの方に流れていった。

「わぁ、ダイク兄の方からあったかいのが来たよ!」

嬉しそうな声が聞こえた。

ロゼからルバークへの魔力のリレーはすんなりと進んだ。


「二人とも、魔力は感じられたわね。」

「「はい!」」

今度は繋いでいた手を放して、自分の中にある魔力を探すように言われた。


目を閉じて、集中する。

しかし、探し出すことはできなかった。

「あったよ、ルバークさん!お腹の下あたりにあるのね!」

ロゼははっきりと認識できていた。

お腹の下あたりを探してみるが、見つからない。

「ロゼ君は見つけられたみたいだけど、ダイク君はどうかしら?」

「ぜ、全然見つかりません。俺には魔力が無いんでしょうか?鑑定の魔道具の魔力欄もおかしかったですし・・・。」

魔力”-”の疑問をぶつけてみる。

「魔力が無いことはないと思うわ。今まで火の魔石も使えていたんでしょう。さっきも鑑定の魔道具も使えていたじゃない。固有スキルの二つも問題なく使えているようだしね。魔力探しは今後の課題にしましょう。今は先に進みましょうか。」


そういうと、ルバークは指先にライター程の小さな火を灯した。

「指先に魔力を集中して火をイメージしてみて。火の魔石を使う感じでやってみてちょうだい。」

体内の魔力を感じられなかったけど、一応やってみる。

指先にライターのイメージを浮かべると、あっさりと火が灯った。

ロゼも苦戦していたが、アイテムボックスから火の魔石を取り出して、一度使ってもらいイメージを捕まえるとできるようになった。


「ダイク君もロゼ君も優秀ね。魔力は見つかったかしら?」

俺の方を見ながら言う。

「まだわかりません。でも火をつけられました。魔法って不思議ですね・・・。」

「そう・・・でも、魔法が不思議っていうのは間違いないわね。わたしにもまだまだ分からないことだらけよ。」

ルバークはフフフと笑った。


魔法が使えるようになった俺とロゼは、何度も火をつけたり消したりを繰り返した。

何十回か繰り返すうちにロゼが「きもちわるい~。」と体調不良を訴えた。

ルバークが言うには、魔力を使いすぎたことで酔ったのだと言う。


寝ていれば治るそうなので、部屋まで戻りロゼを寝かせて、この日の授業は終了した。


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