第12話 鬼蜘蛛の森
「この森は鬼蜘蛛の森といってね、ダイク君がテイムしている鬼蜘蛛・・・シラクモって呼んでたわよね?その鬼蜘蛛たちが管理している森なのよ。」
「テイムしている?」
「えっ、違うの?ダイク君の髪の毛の色と同じ色に進化してるからそうだと思ってたわ。」
シラクモを鑑定してみる。
【名前】 シラクモ
【種族】 鬼蜘蛛
ダイクの従魔。
と表示された。
「本当だ・・・いつの間に・・・というか、どうやって!?」
「へぇ。わかるんだ・・・。」
ルバークが興味深そうに顔を覗いていた。
「テイムってなぁに?」
「そうねぇ、簡単にいうとダイク君とロゼ君の仲間とか家族になったようなものかしら。」
「それならダイク兄と森に来た時から家族だよ!」
「そうだな。」
頭の上にいたシラクモを撫でた。
「話が逸れちゃったわね。この森は鬼蜘蛛の森と呼ばれていて、周辺の街の人たちからは聖域のような扱いされているの。わたしもそこまで詳しいわけじゃないんだけど・・・」
ルバークは、この森について話し出した。
昔、活躍した冒険者が、引退後にテイムしていた鬼蜘蛛とこの森に移り住んだことが始まりらしい。
冒険者は余生を過ごし、亡くなった後も鬼蜘蛛は数を増やしながらこの森を守っているらしい。
たまに冒険者なんかがこの森に立ち入ろうとするらしいが、鬼蜘蛛たちが追い返しているとのことだった。ロゼはうつらうつらとしながら聞いていた。
「ん?では、どうして俺たちやルバークさんはこの森に入れたんですかね?」
「おそらく敵意や害意みたいなものをマザーが感じ取ってるんだと思うのよね。」
「そうですか・・・マザーってもしかしてシラクモの親ですか?」
「そうそう、さっきの話の鬼蜘蛛ね。あなたたちの家の木があるでしょ。あのひと際大きな木。あの上に鎮座してるのよ。」
「えぇ、あの木に!?会ったことあるんですか?」
「一度だけね。この森に来たばかりの時に鬼蜘蛛たちに連れられてね。ビックリしたわよ。蜘蛛たちに糸でぐるぐる巻きにされてね、どこかに連れていかれるのよ。わかる!?食べられるのかと思ったわよ。」
「それはすごい体験でしたね。。。」
苦笑いで答える。
「それでね、この森に住むなら子供たちと森の管理をしてくれって頼まれちゃってね。それからは定期的に連絡が来るのよ。あなたたちのことも聞いてたから知ってたのよ。だから安心してちょうだい。」
「ありがとうございます。なんだかいろいろ知って疲れちゃいましたね。聞きたいことも山ほどあるんですけれど・・・ロゼも限界みたいなのでまた来てもいいですか?」
「もう遅いし、今日は泊っていきなさい。これからあなたたちの家に帰るのは遅すぎるわ。」
「・・・すいません、今日だけお世話になります。」
「いいのよ、あなたたちは小さいんだからもっと甘えても。暗くなってきたし、もう少ししたら夕飯にしましょ。」
ドア付近にある魔石にルバークが触れると、天井から吊るされていた魔石に優しい光が灯った。
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