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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第一章 ダイク 五歳
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第11話 ルバーク

美味しい食事に舌鼓を打ちながら、ルバークに俺たちのことを話した。

両親と孤児院に捨てられたことや、この森に来てからの生活のことを。

魔法のことは伝えなかったが、ルバークは涙を目に溜めて静かに聞いてくれた。

突然立ち上がって俺たちの後ろに回ると、頭を抱き寄せ撫でてくれた。

「そう、二人とも辛かったのねぇ・・・まだ小さいのに・・・。」

「ダイク兄といっしょだったからつらくなかったよ!」

ロゼがそういうと、ルバークの涙腺は決壊した。


「「ごちそうさまでした!」」

「フフフ、それも挨拶?」

涙を拭いながら笑いかけてくる。

「そうです。食べ終わったときの。ルバークさん、とても美味しかったです!」

「おいしかったです!」

食事でロゼの警戒心か人見知りかが緩まったようだ。


「ルバークさんのことを教えてもらえますか?」

「そうねぇ。どこから話したらのいいか・・・まずはこれを見てくれる?」

ヘアバンドを外しながら言う。

右目の上部の生え際あたりから、五センチ程の角が頭形に沿うように生えていた。

「これが生えてきちゃってね・・・街にいられなくなったの。」

「だいじょうぶ?・・・いたいの?」

ルバークの角を触りながらロゼが聞く。

「痛くないから大丈夫よ。ロゼ君はいい子ねぇ。でね・・・」

ロゼを膝の上に抱えて、頭を撫でながら詳細を教えてくれた。


始まりは魔熱病というものに(かか)ったことから始まるらしい。

この病は生死を彷徨うほどの高熱が襲ってくる病気らしい。

罹患したほとんどが高熱の末に亡くなる、恐ろしい病なのだと。

ルバーク自身も朦朧とする意識の中、死を覚悟したらしい。

しかし、数日で熱は下がり、今度は頭が割れるような痛みに襲われ、頭に角が生えていたとのことだった。

「治癒院で世話になりながら、病を克服したんだけどね・・・この角でしょ・・・。魔族なんじゃないかって噂になってしまって。治癒院を出るころには街中に噂が広まっていてね・・・。家に帰ってマジックバックに物を詰め込んで、逃げるように街を出たのよ。」

そこからはいくつかの街を巡っていたみたいだが、行く先々で噂が広まっていて、この森に逃げ込んだのだとルバークは語った。


「角が生えたぐらいで・・・ひどいですね・・・。」

「ボクはこわくないよ!」

俺もルバークの近くに歩み寄り、ロゼとルバークを抱きしめた。

「ありがとう、二人とも・・・まぁ、初めのころは悲しかったわねぇ。角が生えちゃったのは確かだけど、わたし自身は何も変わらないのにね・・・でもね、もう二十年近くこの森に住んでるし、たまに街に下りて買い物したりできてるしね。蜘蛛たちもいるし、楽しく暮らしてるよ。」

「二十年近くって・・・どういうことですか?」

「あぁ、わたしにはね、ドワーフの血が混ざってるのよ。もう三十六歳になるわ。」

「エ~、そうなの?ぜんぜん、わからなかったなぁ!」とロゼは驚きながら言う。

少し年上くらいかと思ったが、前世の俺よりも年上だったのか・・・。

それにしてもドワーフかぁ。異世界だなぁ。


「次に、この森について話をしましょうか。この森はね、鬼蜘蛛の森といって・・・」

ルバークが語りだした。


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