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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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第108話 滝までの道づくり

すいません、遅くなりました。

本日より更新時間を変更させていただきます。

20:00 → 00:00

「こんにちは、ビクターさん。体調はどうですか?」

元気そうに見えるが、本人にしか分からない問題があるかもしれない。

角の大きさも以前と変わりなく見えるが、確認の意味を込めて質問した。

「おう、ダイク!特にこれと言って、問題ないぜ!今日も魚を捕ってきたんだ!」

ビクターの牽く荷車には二十匹ほどの様々な種類の魚が並んでいる。

「毎日、魚を捕りに行ってくれてるみたいですね。ありがとうございます。」

「ダイクも元気そうで安心したぜ!それで、今日はどうしたんだ?」

「村で作ってる干物を見せてもらいに来たのと、冬の間の魔獣木をどうするかを相談しに来たんです。」

「そうか・・・。魚が痛んじまうから、村の人に魚を預けてからでもいいか?」

「それもそうだな。ビクター、魚はおいらに任せてダイクたちと話をしておいてもらえるか?おいらもすぐに戻るからな。ダイクもそれでいいだろ?」

「はい、問題ありません。」

「すまないな、アル。ありがとう。」

荷車を受け取ったアルは軽快な足取りで村へと戻っていった。


「話は村に戻ってからにせんのか?」

ガンドが聞いてくるが、首を振って答える。

土魔法を使って、その場に椅子とテーブルを作り話し合いができるようにする。

「どうぞ座ってください。お茶を淹れますので。」

アイテムボックスからお茶のセットを取り出して、お茶を煮出す。

「ほら、ヴィドさんも座って!ビクターさんも、ガンドさんもだよ!」

ロゼがみんなを椅子に座らせているうちにお茶もいい具合だ。

お茶を配り終えると、話し合いが始まる。


「ビクターさん、単刀直入にお伝えしますけど、毎日魚を捕りに行くのは止めてください。村の人たちが心配しているそうですよ。」

それを聞いて、ヴィドが目を閉じて深く頷いた。

「なんだ、その話か!俺も分かってはいるんだ。村の人にも言われるからな。でもな、俺は今までずっと冒険者だけをしてきたんだ。まぁ、今も冒険者ではあるんだがな。」

全員の視線がビクターに向いている。

「冒険者っていうのはあんまり感謝されないだろ?依頼人に直接会うことも滅多に無いしな。それがこの村にいて魚を捕ってくると、みんなが感謝してくれるんだ。それを聞くと、気がつけば毎日滝へと行っちまうんだよな。」

「そうでしたか・・・。ビクターさんは村のみなさんといい関係を作れているんですね。」

「でも、心配かけるのは間違ってるとボクは思うよ!」

ロゼの言う通りではある。

だが、ビクターの気持ちもすごく共感できた。

誰かに必要とされると、無駄に頑張れてしまうことがあるのだ。

「そうだね、ロゼ。もしビクターさんが倒れたら、魔獣木の管理が難しくなってしまいます。三日に一回くらいに減らしてもらえませんかね?」

「俺からも頼む。」

そう言って、ヴィドが軽く頭を下げた。

「・・・わかったよ。三日に一回にすればいいんだな。」

うな垂れながらも納得はしてくれたみたいだった。


「ありがとうございます。それで、冬の間の話に移るんですが、ビクターさんはどうしたいですか?」

「どうしたいって、どういうことだ?雪が降れば、家に籠るしかないだろ?」

軽く首を傾け、何を言ってるんだという顔をしている。

「冬の間も魚を捕れるなら、捕りに行ってくれますか?」

「もちろん、雪が降り積もるまでは続けるぜ!ダイクはなにが言いたいんだ?」

意図がうまく伝わらず、ビクターは聞き返してくる。

「簡単に言えば、滝まで繋がる屋根を作りましょうかって話です。雪が降っても魚を捕りに行けるように。」

ビクターのみならず、ヴィドの首も傾いた。

まぁ、口で言っても伝わらないよな。

立ち上がり、魔法を使って柱を四本立てて、三角形の屋根を柱の上にのせた。

「こんな感じのものを滝まで伸ばしますかって話です。雪を防ぐ工夫はもう少し必要ですが、これで冬の間も滝まで行けるようになりますよ。」

「こ、これを本当に滝まで作れるのか?それなら雪が積もっても魚を捕りに・・・、いや、魔獣木の管理ができるな!」

ビクターから本音が零れたが、この様子なら冬の間もお願いできるだろう。

「わしも手伝うぞ!滝まではどのくらいの距離があるんじゃ?なるべくまっすぐに伸びていた方がよいじゃろ?」

「それなら、ボクも手伝うよ!」

「もちろん、俺だって!」

「俺もアルだってきっと手伝うぞ。」

全員が手伝ってくれるなら、今日中にでも作業は終わらせられるかもしれない。

「ありがとうございます。じゃあ、早速作業に入りますか!」

魔法で作った椅子やテーブル、雪除けを崩して村へと向かった。


「ここを作り始めにしていいですか?」

合流したアルと村の裏手で滝の方角を見て話し合う。

「ああ、ここなら誰にも邪魔にならないし、雪が積もっても人力で雪掻きができるからな。」

糸を括りつけた枝を地面に差して、建造物の起点とする。

滝までの道のりをロゼ、ガンド、ヴィドを中継して、終点の滝でビクターが待ってくれている。

それぞれが糸を持って、出来るだけまっすぐ道を作るために協力してくれた。

「ダイク兄ー!もういいよー!」

ロゼからの大声が聞こえてきた。

姿は見えないが、滝までの糸張りが終了した合図だった。

「アルさん、行きますよ。行きは邪魔な木を収納しながら道を均します。帰りに一気に屋根を作ってくる予定です。」

「おう、そうか。・・・なんだかおいらがいないうちに、凄い計画になったんだな。ビクターの説得も助かったぜ。」

「気にしないでください。もともと、面倒を持ち込んだのは俺ですし。三日に一回で納得してもらったので、毎日いかないように村の警護でもお願いしてください。」

アルと話をしながら、屋根の邪魔になりそうな木をアイテムボックスに入れていく。

シラクモも先を行き、邪魔な木に魔法を使ってくれている。

「ありがとう、シラクモ。次はそっちの木を頼むよ!」

シラクモの手伝いもあり、あっという間にロゼの元までたどり着いた。


「ボクは魔獣を警戒しておくね!ダイク兄、頑張ってね!」

クガネと二手に分かれて、道の左右を警戒してくれる。

「おいらもやることが無いから、木の上から警戒しておくぜ!」

アルは身軽な足取りで木に登っていき、周囲を見渡している。

起点からロゼの待っていた場所で、一旦糸を切って枝に括って地面に差す。

切った糸も同じように枝に括り、近くに差しておく。

「ガンドさーん!いいですかー?」

呼びかけるように大声をあげると、ガンドから返事があった。

「いつでもよいぞー!」

ガンドまで続く道を、道幅を確保しながら木を回収していった。


滝に着くまで同様に繰り返すと、かなりの量の木を回収することとなった。

振り返ると、アルたちの村まで一直線の道ができている。

「結構な量の木を回収してきましたが、アルさんたちの村でいくらか使いますか?」

すぐには使えないかもしれないが、二、三年乾かせば薪として使うことができる。

ガンドに物を作ってもらうにしても、とてもじゃないが使いきれる量ではなかった。

「いいのか?それなら村に戻ったら相談させてくれ。」

滝の側でアルと話し合っていると、ロゼが滝の方へと歩き出す。

「ダイク兄、ちょっと魔獣木を見ていこうよ!ビクターさん、いい?」

「ああ、いいぞ!何も変わりは無いが、見ていってくれ。」

ロゼに手を引かれて、滝の中へと入ることになった。

振り返ると、後ろにはガンドもついて来ている。

村に住む三人は手を振って見送っていた。

「ガンドさんも待っていた方がいいと思いますよ。魔獣木には魔熱病という病気が・・・。そういえば、ガンドさんは病気に罹ってないんですね。」

ガンドの額を見ても、角が生えているなんてことは無い。

地下で一年以上もの間、魔獣木の側にいながら、魔熱病に罹っていないのだ。


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