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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第一章 ダイク 五歳
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第10話 人がいた

ガサガサと音を立てて何かがこちらに近づいてくる。

ロゼを後ろ手に庇いながら距離を取るように後退した。


「なんだ、君たちか!」

ローブを頭から被った人が草むらから顔を出した。

背丈は俺よりも少し大きいくらいだろうか。

「君たちかってどういう意味ですか?」

警戒しながら答える。ロゼはすっかり俺の後ろに隠れてしまっている。

シラクモはロゼの頭の上で動かない。

「あぁ、そうかそうか。会ったことはなかったのよね。初めまして、わたしはルバーク。」

そう言って、フードを外した。

ヘアバンドをした、少し年上くらいの可愛らしい女の子だった。

「初めまして。俺はダイクです。後ろに隠れてるのはロゼです。俺たちのことを知ってるんですか?」

「そんなに警戒しないでよ。別に危害を加えたりしないわよ。ん~、長くなるから良かったらわたしの家に来ない?そろそろご飯にしようと思ってたの。食べながら・・・ね!?久しぶりに人に会ったのよ、わたしに付き合ってよ。」

ルバークから目を離さずに考え込んでいると、シラクモが俺の頭に飛んで、ルバークの頭の上に飛び移った。

両前足をあげて、こっちに来いとでもいうかのように動かしていた。

「大丈夫よ。わたしはこの蜘蛛たちとも仲がいいの。ついてらっしゃい!」

シラクモを乗せたまま草むらの向こうに消えていった。

「ダイク兄、シラクモが行っちゃうよ・・・」

悲しげな表情で、ポツリとつぶやいた。

ロゼの手を握りしめ、ついていくことにした。


一定の距離を保ちつつ、後ろをロゼとついていく。

進むほどに段々と木々の間隔が狭くなり、木の根や岩で道の起伏も激しくなってきた。

「長いこと歩かせて悪いわね。もうすぐよ!ほら見えてきた!!」

木々を抜けると開けた空間に大きな湖が広がっていた。

ルバークが指差す先には白い壁と窓と扉があった。

丘に飲み込まれるように建っていて大きさはわからないが、すごくファンタジーな家だった。


「さぁ、遠慮しないで入って。」

扉を開け、ローブを脱いで壁掛けに仕舞いながら言う。

恐る恐る足を踏み入れる。

「そこの椅子に座って寛いでね。あっ、その前に」

そう言って、俺たちの目の前まで近づいた。

浄化(クリーン)

頭の上から足のつま先まで洗われるような感覚があった。

よく見ると服もきれいになっていた。

後ろに隠れているロゼの方を見ると、金色の髪につやがでて天使の輪ができていた。

「ありがとうございます。ちょうど川で水浴びしようかと思ってたんです。ルバークさんは魔法が使えるんですか?」

「この寒いのに水浴び?風邪をひいちゃうよ。魔法は・・・そうねぇ。ある程度使えるわよ。教えてあげましょうか?」

「・・・教わりたいとは思うんですが、もう少しお互いのことを知ってからでもいいですか?」

「フフフ、そうよねぇ。ごめんね。まずはご飯にしましょう!そこの席について!」

腰に着けていた巾着のようなものを取り出しながら言う。

その巾着に手を入れて、中から皿に盛りつけられた料理をテーブルに並べていた。

ルバークの向かいにロゼを座らせながらその様子を見ていた。

「これ?これはマジックバックって言って、いろいろと入れておける魔道具の一種よ。初めて見たかしら?」

「はい。火をつける魔石くらいしか見たことないです。」

「それと比べると珍しいものではあるんだけどね。さぁ、まずは食べましょう。沢山あるからお腹いっぱい食べてね!」

一応、鑑定してみたが毒なんかはないみたいだ。

「ロゼ、せっかくだし、いただこうか。」

手を握りながら聞いてみる。

「うん、わかった。」

もじもじと小さな声が返ってくる。

「「いただきます。」」

「なにかしら、それ?」

「食べる前の挨拶みたいなものです。」

「そうなの。沢山食べてね。。。」


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