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転生したら森の中でした。  作者: コウ
第三章 ダイク 七歳
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第99話 オアシス

「あ゛~、暑いわね~。」

トレントの指し示す方向に砂漠を歩くが、なかなか魔獣木までたどり着かない。

砂に足をとられて進むペースが遅いのもあるが、何よりも日差しがきつい。

砂漠では日陰に隠れることもできず、直射日光を浴びていた。

「ロゼ、少し休憩にしよう!ルバークさんも、ロゼのところまで頑張ってください。」

だいぶ先を歩くロゼの足を止め、ルバークにはもう少し頑張ってもらう。

「頑張れ~!ルバークさ~ん!」

暑さなど問題ではないかのように、ロゼは元気だった。

土魔法でパラソルを作り、日陰を作り出す。

「はぁ~、ありがとう、ダイク君。」

コップに水を入れて渡すと、ルバークは一気に飲み干した。

「ありがとう、ダイク兄!」

ロゼものどを鳴らして美味しそうに水を飲む。

アイテムボックスから軽食を取り出すと、ロゼの手が伸びる。

「ルバークさんも食べてくださいね。食べないとこの先、体力が持ちませんよ。」

ルバークはラップサンドを手に取るが、一口齧っただけで止まってしまう。

「それにしても、魔獣がいませんね。助かりますけど、なんか不気味ですね。」

バルテペスの警備兵が言っていた魔獣も、ギルドで聞いた魔獣もまだ見かけてすらいない。

「いいのよ。この暑さで、魔獣なんか相手にしてられないわ。」

顔に大粒の汗を流しながらルバークは言った。


休憩を取り終えると、再び歩き出す。

植物も一切生えていない、砂だけの大地が見渡す限り広がっている。

「トレント、一体どこに魔獣木があるんだ・・・。」

トレントはずっと同じ方向に枝を向けている。

暑さもそうだが、代り映えのしない景色に心が折れそうになってくる。

「ダイク兄!水があるよ!」

砂丘の上で、ロゼがこちらに叫ぶ。

「ルバークさん、あの丘を越えれば水辺があるみたいですよ!もう少しです。頑張ってください!」

すっかり下を向いて歩いているルバークに声をかける。

「本当なの!?そこで休憩にしましょう!」

ルバークの手を取って、一気に砂丘を駆け上がると、そこにはオアシスがあった。


「本当に魔獣がいないね!」

ようやく見つけた水場にも魔獣の姿はない。

水を飲みに来ていてもおかしくは無いはずだが、一匹もいなかった。

「はぁ~、気持ちいいわよ!ダイク君も入りなさいよ!」

ロゼとルバークは足を水辺に入れて、涼を取っていた。

俺も靴を脱いで、水の中に入っていく。

「ルバークさん、まだトレントは砂漠の先を指してます。行けそうですか?」

「ここまで来たら、行くしかないわよね。もう街まで戻れる気もしないわ。魔獣木を回収して、さっさと帰りましょう。」

「そうだね!もう少し歩いたらあるといいね!」

水分を十分に取って、休憩すると再び歩き始める。


オアシスを迂回するが、トレントの枝はオアシスを向いている。

「どういうことでしょう?トレントはここを枝で指していたみたいですね。」

魔獣も魔獣木も見当たらない。

「水の中にあるのかしら?・・・わたし、泳げないわよ。」

ロゼも隣で不安そうな顔をしていた。

「大丈夫です。俺が泳いで見てきますね。二人はここで待っていてください。」

服を脱ぎ捨てると、シラクモが頭にしがみ付いた。

「シラクモ、無理しないでいいんだぞ。潜ることになるかもしれないし、待っててもいいぞ。」

そう言っても、シラクモは頭から離れない。

「じゃ、行ってきます!」

シラクモを頭に乗せたまま、水の中へと入っていく。


オアシスの水は透き通っていて、中の様子がよく見える。

泳ぎながら、水中を確認していくと、ちょうど中央の辺りに底の見えない大穴が開いていた。

「ルバークさん、底の方に穴が開いています!ちょっと、見てきますね!」

水中から顔を出して、潜るってくることを報告する。

「ダイク君、無理しちゃダメよ!何かあったら、すぐに戻ってきなさいね!」

「ダイク兄!頑張ってね~!」

頷き返して、大きく息を吸って大穴へと潜って入る。

トレントは水中でも問題ないようで、枝を大穴の方へと差している。


大穴を潜って進むと、膜のようなものが張っていた。

なんだろうと思い触ってみると、膜に引きずられるように落ちた。

「痛っ!」

中は真っ暗で受け身をとることもできずに、腰から砂の地面に叩きつけられる。

「いたた、シラクモ、トレント。大丈夫か?」

光の玉を浮かべると、シラクモは頭から離れて俺の側にいた。

怪我は無さそうで、前足をあげている。

「ここは、なんなんだ?上にあった膜みたいなのは結界か何かだったのかな?」

上空にある膜からは一滴の水も落ちてこない。

さっきまで水に浸かっていたのに、髪の毛も体も完全に乾いている。

日差しが入らないため、ここは温度が低く体が冷えてくる。

アイテムボックスから脱いだ服を取り出して、着ていく。

服を着たことで落ち着くことができ、改めて周りを見る余裕ができた。

俺たちが落ちたのは、小さな円形の洞窟のようなところだった。

暗くて良く見えないが、出口や通り道は見当たらない。

トレントの枝はまだ下の方を差している。


ここよりもまだ下に、魔獣木はあるのか。


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