第9話 花畑
今日も家に差し込む日差しで目が覚めた。
体を伸ばしながら、立ち上がり冷えた空気を吸い込んだ。
ロゼを起こして朝食にする。
朝食は昨晩の余り物の蜂蜜漬けのウルフ肉である。
アイテムボックスの時間経過を確認するため、焼き立てアツアツの状態で葉っぱに包んで収納していた。
「どうなっているかなぁ~。あちっ・・・時間経過はなしかなぁ。。。」
「ダイク兄、なにブツブツ言ってるの?はやくたべよ~!」
「はいはい、わかったよ。手を合わせて・・・せーの!」
「「いただきます」」
朝から温かい肉を美味しく食べることができた。
アイテムボックス様様だ。
「ダイク兄、きょうはなにをするの~?」
「川に行って体拭いたり、着ている服とか家に敷いてた毛皮とかを洗いたいと思ってたけど・・・何かしたいことあるの?」
「あの木がたおれてたところあったでしょ・・・あそこにいきたいんだけど・・・」
「ん~、いいよ。倒木を見に行って、川に行こうか!」
「うん!!!」
ロゼからこれがしたいって言いだすのは珍しいことだった。
育ってきた環境のせいか、甘えん坊ではあるが我儘を言わない子供であった。
もっと自分を出してのびのびと育ってほしい。
シラクモを頭に乗せ、ロゼの手を握って出発した。
枝を拾いつつ、道に生えている草を鑑定しながら倒木までたどり着いた。
食べられそうなものは無かったが、魔力が切れたりすることもなかった。
人や獣の気配はないが、警戒しながら小さな声でロゼ聞いてみる。
「どこを見たかったの?」
「この木のむこうだよ!」と倒木を指差す。
大きな倒木をアイテムボックスに入れてみると、すっかり入った。
大きさの上限はないのだろうか?
「わぁ、すごいねぇ~、こっちだよ!」と手を引かれて走り出す。
「ここだよ、ダイク兄!」
指差す先には、花がチラホラと咲いている場所だった。
「このまえはもう少しきれいだったんだけどなぁ~。」
「寒くなって枯れちゃったのかもね。」
と頭を撫でてやりながら辺りを見回すと、奥の方に見覚えのある花が群生していた。
ロゼの手を引いて、その花の元へと向かう。
「ひまわりだ。。。ロゼ、この花の種は食べられるんだ!」
と種を取り出して、殻を割って中身を食べてみる。ナッツのような優しい味がした。
ロゼとシラクモにも一つずつ食べさせてみる。
「ん~、おいしいねぇ!」
花は枯れ、種も半分以上落としてしまっているが、集めることにする。
種を集めるのは大変なので、花の部分を切り落としてかなりの数をアイテムボックスに収納することができた。
「食べ物も手に入ったし、今日はここまでにして川に行こうか!それでいい?」
「うん、いいよ~!」
手を繋いで川に向かって歩き出した。
「川の上流に行ってみよう。食べられるサイズの魚がいるかもしれないし、一度見ておきたいんだ。」
「いいよ~!」
もう少しで川に着くというところで、前方で枝の折れる音がした。
警戒を強め、短剣を構えて音のした方をジッと睨んだ。
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