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オタサー課外活動


 第1回目のサークル活動から1週間後、今日は東京ビッグサイトで開催されるアニメジャポンというイベントにサークル員で行くことになっていた。



 大学は都内だが学生は歩いて10分の寮で生活している人もいれば、片道2時間以上かかる群馬などから通っている人もいるため現地集合となった。


 目当てのブースはない為特に早く集合することもなく、開場が始まってから着くくらいの時間に東京ビッグサイトの最寄りの駅で待ち合わせている。



俺が駅に着くと既に先輩達が待っていた。

「遅くなってすみません!」

これが体育会系の部活だったらシメられてしまうのではないかと不安になる。

「いやいや、気にしないで!後は桜井さんだね!」

代表は今日も優しい。というか新入生が2人そろってビリとは印象が悪いな。

「お、女の子は色々あるからね…」

「さっきモーニングコールしたら起きてたから大丈夫なはず!」

「なっ…お前いつの間に…」

桜井さんは早くもサークルの姫になるべく騎士を育成し始めていたらしい。


 

 数分遅れて桜井さんが早歩きでやってくるのが見えた。

 「遅れてごめんなさいっ!お化粧してたらいつの間にか時間経ってて…」

今日は人混みを長時間歩くことを考えたのかスカートではなくうさ耳パーカーにホットパンツ、そしてお約束のニーハイにピンクの運動靴だ。

「全員揃ったね!じゃあ早速向かおうか。」

代表が人数を確認し出発の合図をした。


会場は駅から歩いて10分程だが人が多いためもう少し掛かるだろう。

そして同じ目的地を目指しているであろう人達は心無しか早足で、ここは強歩大会の道中かと錯覚しそうになる。

信号機付近では交通指導員が出動し余裕を持って渡れるよう青であっても一定の人数で区切っているため、かなりの人で込み合っている。

意図せずに前後の人にぶつかりたりして女子にはキツいんじゃないかと桜井さんの方を見ると…


「僕の後ろ着いて来てね!」

「もし見失いそうだったら掴まっていいからね!」

サークル員が壁となり桜井さんを囲んでいて、その姿はSPに護衛される超重要人物の様だった。

四方を強靭な防御壁で守られているようでこれなら大丈夫そうだ。俺の心配は取り越し苦労だったらしい。

ちなみに小さなハンドバッグまで持ってもらっていてなんとも羨ましい限りだ。



しばらく歩くとようやく大きなホールの入口が見えてきた。

距離や時間はそんなに掛からないものの人混みで少し疲れてしまっていたが、会場から好きなアニメの主題歌が聞こえてきて俺のHPは回復した。


会場の中も人で溢れていてすごい活気だ。

 オタクなら誰でも目にしたことがあるような人気アニメを制作している企業ブースが多く出店していてワクワクしてくる。

他にも一般参加者が体験できるブース、アニメ関係者や声優のトークショー等もあるらしく入場時に配られたパンフレットを片手にどこに行こうか悩んでいる。



少し話し合った結果、とりあえず入口から近い場所で行われている今期1番人気のアニメを制作している企業ブースに行ってみることにした。


「「おぉ~…」」

先輩達が感嘆の声をあげるのも頷ける。

人気ヒロインの等身大パネルや原作者の生原稿が展示されていた。

皆は早速スマホで記念撮影を始めている。

するとスーツを着たスタッフらしき人が近寄ってきてチラシとクリアファイルを差し出してきた。

「よかったらこちらを配布していますのでお待ちください!」

会場限定のクリアファイルを配っていてなんと無料で貰ってしまった。

…アニメストアなら300円以上はするからかなりお得な気分だ。


同じようにサークル員が興味のあるブースを周り、1時間も経つ頃にはかなりの量の配布物を貰ってしまった。

物販ブースなどで惹かれる物もあったが、タペストリーや抱き枕カバーなどどれも1万円を超えていたためまだアルバイトをしていない俺は泣く泣く諦めた。

ちなみに桜井さんは先輩にソシャゲキャラの缶バッチを買わせ…いや、買ってもらってご満悦だ。



「そろそろお昼休憩にするかー?」

「そうッスね!女性もいるから立ちっぱなしは辛いよね」

先輩達の提案に対し桜井さんは、

「ええ~そんな気にしなくて大丈夫ですよぉ!」

とにこやかに返すもテンションが少し低いように感じる。

駅に着いてから2時間は立ちっぱなしだったため他のサークル員の顔から若干疲れが見える。

「皆疲れてるしとりあえずそこのワゴンで軽食でも買おうか!」

と代表の一言で、会場内に出店しているフードコートでお昼を食べることになった。


限定コースターが着いてくるコラボメニューと聞いて買ってしまったが冷静にコーラとハンバーガーで1200円は高いな…



昼食を取りながら午後はどこを見に行くか話し合った。

「午後から推し声優の声優のあいにゃんのステージがあるから行きたいと思う!」

「俺はまいたそのトークショー聞きに行きたいかな。」

「僕はアイドルマイスターのミニライブを…」

サークル員が各々好きな声優の名前を挙げる。

話をまとめると自分のイチオシ声優が出演するイベントを観に行きたいようだ。

しかしそれぞれ目当ての人物や開催時間が違うため1度解散して再び集合するのがいいだろう。

「じゃあ2時間後にもう一回ここに集合にしよう!」

目当てのイベントが終わったら今いるフードコートに戻ってくることになった。



「桜井さんはどのステージ観に行く?良かったら俺とあいにゃんのステージに…」

先輩が桜井さんを誘いかけたが

「う~ん…私は行きたい企業ブースあるからそこ行ってみるね!」

「でも女の子1人放置する訳には…」

「2時間くらい大丈夫ですよ!」


桜井さんは行きたいブースがあるようだ。俺も声優にはあまり興味がないため誘ってみようか。

「俺も企業ブース行こうと思ってたから一緒に回ろうか?」

俺の方を見た桜井さんは少し嫌そうな顔で

「あ…?えぇ~…」

とモゴモゴ言っていたが

「それなら安心だね!1年生同士仲良く回っておいで!」

代表に押し切られる感じで俺と桜井さんは2人で会場を回ることになった。




「じゃあ2時間後に!解散!」



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